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ドラコニス公爵家救済計画 7
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「ま、そんなとこだ。……もちろん、それだけじゃな――っ!」
そこで話してた言葉が途切れた。
なぜなら、アルファルドに真正面から抱き寄せられたから。
な、なんでいつも急なの!?
アルファルドって本当に読めないんだけど!
こんな風に抱きしめられたら、ドキドキが止まらないよー!!
「あ……? アルファルド……?」
男の身体だと身長差が丁度良すぎて顔が真横にくる。いくら背が伸びてもやっぱりアルファルドよりは細身な私は、またまた丁度良く腕の中に収まってしまう。
どうしたんだろう……こんな雰囲気になるような場面じゃなかったと思うんだけど。
ポーションだらけの部屋を前に、私の声が響いてる。
アルファルドは私の体に腕を回して緩く締め付けながら、自分のおでこを私の肩に置いてる。
「…俺はスタンピードの時、この屋敷から出なかった……」
「……」
「…外で聞こえる悲鳴や叫び声……帝都が破壊されていく音を聞きながら……、ざまあみろと思ってた……」
「っ」
「…このまま、何もかも壊れて無くなればいい……と」
まるで私に懺悔でもしてるみたいな告白。
そういえば……アルファルドが変わったのって、凱旋授与式でシリウスに会った後だって言ってたな。
私が初めて会った時、正しくゲームで見たアルファルドの姿だったし。
「…お前は俺を高潔だ、高尚だ……と言うが、俺はそんな立派な人間じゃない。お前の考えの方が、よほど立派だ……」
背中に回った腕でギュッと私を抱き締めて、すごく苦しそうに言葉を吐いてる。
「…俺は……他の人間が憎くて仕方なかった。みんな苦しんで死ねばいい……俺をこんな目に合わせた連中なんて、生きる価値もないと、全てを恨んでいたッ」
自分の気持ちを吐き出したアルファルドは、叱られた子供みたいに小さく震えてた。
あぁ、そっか……
何であの時アルファルドが言葉に出来なかったのか、わかった気がする。
私……わかってるようで、全然わかってなかったんだ…アルファルドの気持ち。
私もアルファルドの背中に腕を回してそっと抱きしめると、アルファルドの身体がピクッと動いた。
「ごめん……アルファルド。俺、知らない内にお前を苦しめてたんだな」
ポツリと呟くと、アルファルドは私の肩に乗せてた頭を僅かに振ってる。
「………違う……」
「いや、違わない。お前がそうやって苦しんでるのがいい証拠だ。本当にごめんな、わかってやれなくて……」
やっぱりアルファルドは首を横に振るだけで、言葉には出さなかった。
私がアルファルドを追い詰めてた。ホント、馬鹿だな……自分が嫌になる。
「お前にそう思わせてるのは、お前を取り巻く環境のせいだ。周りの人間がお前を追い込んで苦しめてる」
「……」
「お前がそんなふうに感じるのは当然だ。俺もお前の立場なら同じ事を思うだろう……」
「……」
「今でもお前は、その時と同じことを思っているのか?」
「………いや……」
迷いのある応え。
まだ心の中の憎しみは全部消えたわけじゃないよね。それは仕方ないよ。
「俺は別に構わないぜ、お前が世の中全てを恨んでても……それがお前に必要なら俺は止めない」
「……」
「人間なんて勝手な生き物なんだ。みんな自分に都合の良いように考えて生きてる。……それでも、今のお前は変わってくれただろ?」
「…それは……、シリウス卿のおかげだ……」
そうなんだよね。まさかシリウスの存在がここまでアルファルドに影響を与えるだなんて思わなかったな。
それはまぁ、良かったんだけど。
「別に誰のおかげでもいいんだ。俺はさ、これだけ過酷な逆境で生きてきたお前が、こんなに毎日一所懸命働いて……他人の事もちゃんと考えて……文句一つこぼさないで……今、お前ができる最善を尽くしてる」
「……っ」
「それが俺にとってはすごく嬉しくて、誇らしいんだ。……言葉が足りなくてゴメンな」
アルファルドを抱きしめてた腕に力を込めて、逞しい腕の中で目を閉じた。
私が勘違いしてた。
無口なとこはあるけど、今のアルファルドがすっかり変わっちゃって……体格も性格も全然違う人物になったと思ってた。
でもやっぱり、私の知ってたアルファルドもちゃんといて……
寂しがり屋で臆病で、傷付くことを怖がってた彼はいなくなったわけじゃなくて……私が気付かないだけだったんだ。
「俺はそんなお前が好きだ。……今までのお前も全部引っくるめて、俺はアルファルドが大好きなんだ」
「…アト、リクス」
そう……、やっぱりアルファルドは、私の知ってるアルファルドだった。
「俺のすることにお前が引け目を感じる必要はない。俺だって私利私欲の為にやってる」
「……」
「お前がどう思ってても、俺の意見は変わらないぞ? やっぱりお前は十分立派な人間だ。……だからもっと、胸を張って生きろ」
背中に回された腕に力が籠もって、苦しいくらい抱き寄せられて、そのままアルファルドはしばらく私を離さなかった。
廊下から少し離れた部屋の角で、ベッテルさんとリタさんが私達のやり取りを見て泣いてたのも知ってたけど……
私はアルファルドを慰めるみたいに、ただひたすら抱きしめてた。
「ま、そんなとこだ。……もちろん、それだけじゃな――っ!」
そこで話してた言葉が途切れた。
なぜなら、アルファルドに真正面から抱き寄せられたから。
な、なんでいつも急なの!?
アルファルドって本当に読めないんだけど!
こんな風に抱きしめられたら、ドキドキが止まらないよー!!
「あ……? アルファルド……?」
男の身体だと身長差が丁度良すぎて顔が真横にくる。いくら背が伸びてもやっぱりアルファルドよりは細身な私は、またまた丁度良く腕の中に収まってしまう。
どうしたんだろう……こんな雰囲気になるような場面じゃなかったと思うんだけど。
ポーションだらけの部屋を前に、私の声が響いてる。
アルファルドは私の体に腕を回して緩く締め付けながら、自分のおでこを私の肩に置いてる。
「…俺はスタンピードの時、この屋敷から出なかった……」
「……」
「…外で聞こえる悲鳴や叫び声……帝都が破壊されていく音を聞きながら……、ざまあみろと思ってた……」
「っ」
「…このまま、何もかも壊れて無くなればいい……と」
まるで私に懺悔でもしてるみたいな告白。
そういえば……アルファルドが変わったのって、凱旋授与式でシリウスに会った後だって言ってたな。
私が初めて会った時、正しくゲームで見たアルファルドの姿だったし。
「…お前は俺を高潔だ、高尚だ……と言うが、俺はそんな立派な人間じゃない。お前の考えの方が、よほど立派だ……」
背中に回った腕でギュッと私を抱き締めて、すごく苦しそうに言葉を吐いてる。
「…俺は……他の人間が憎くて仕方なかった。みんな苦しんで死ねばいい……俺をこんな目に合わせた連中なんて、生きる価値もないと、全てを恨んでいたッ」
自分の気持ちを吐き出したアルファルドは、叱られた子供みたいに小さく震えてた。
あぁ、そっか……
何であの時アルファルドが言葉に出来なかったのか、わかった気がする。
私……わかってるようで、全然わかってなかったんだ…アルファルドの気持ち。
私もアルファルドの背中に腕を回してそっと抱きしめると、アルファルドの身体がピクッと動いた。
「ごめん……アルファルド。俺、知らない内にお前を苦しめてたんだな」
ポツリと呟くと、アルファルドは私の肩に乗せてた頭を僅かに振ってる。
「………違う……」
「いや、違わない。お前がそうやって苦しんでるのがいい証拠だ。本当にごめんな、わかってやれなくて……」
やっぱりアルファルドは首を横に振るだけで、言葉には出さなかった。
私がアルファルドを追い詰めてた。ホント、馬鹿だな……自分が嫌になる。
「お前にそう思わせてるのは、お前を取り巻く環境のせいだ。周りの人間がお前を追い込んで苦しめてる」
「……」
「お前がそんなふうに感じるのは当然だ。俺もお前の立場なら同じ事を思うだろう……」
「……」
「今でもお前は、その時と同じことを思っているのか?」
「………いや……」
迷いのある応え。
まだ心の中の憎しみは全部消えたわけじゃないよね。それは仕方ないよ。
「俺は別に構わないぜ、お前が世の中全てを恨んでても……それがお前に必要なら俺は止めない」
「……」
「人間なんて勝手な生き物なんだ。みんな自分に都合の良いように考えて生きてる。……それでも、今のお前は変わってくれただろ?」
「…それは……、シリウス卿のおかげだ……」
そうなんだよね。まさかシリウスの存在がここまでアルファルドに影響を与えるだなんて思わなかったな。
それはまぁ、良かったんだけど。
「別に誰のおかげでもいいんだ。俺はさ、これだけ過酷な逆境で生きてきたお前が、こんなに毎日一所懸命働いて……他人の事もちゃんと考えて……文句一つこぼさないで……今、お前ができる最善を尽くしてる」
「……っ」
「それが俺にとってはすごく嬉しくて、誇らしいんだ。……言葉が足りなくてゴメンな」
アルファルドを抱きしめてた腕に力を込めて、逞しい腕の中で目を閉じた。
私が勘違いしてた。
無口なとこはあるけど、今のアルファルドがすっかり変わっちゃって……体格も性格も全然違う人物になったと思ってた。
でもやっぱり、私の知ってたアルファルドもちゃんといて……
寂しがり屋で臆病で、傷付くことを怖がってた彼はいなくなったわけじゃなくて……私が気付かないだけだったんだ。
「俺はそんなお前が好きだ。……今までのお前も全部引っくるめて、俺はアルファルドが大好きなんだ」
「…アト、リクス」
そう……、やっぱりアルファルドは、私の知ってるアルファルドだった。
「俺のすることにお前が引け目を感じる必要はない。俺だって私利私欲の為にやってる」
「……」
「お前がどう思ってても、俺の意見は変わらないぞ? やっぱりお前は十分立派な人間だ。……だからもっと、胸を張って生きろ」
背中に回された腕に力が籠もって、苦しいくらい抱き寄せられて、そのままアルファルドはしばらく私を離さなかった。
廊下から少し離れた部屋の角で、ベッテルさんとリタさんが私達のやり取りを見て泣いてたのも知ってたけど……
私はアルファルドを慰めるみたいに、ただひたすら抱きしめてた。
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