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アトリクスとルリオン 1
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「おい…、アトリクスとか言ったな」
朝、寮から講堂へと移動していた廊下で、待ち構えてたルリオン様にいきなり呼び止められた。
この人は我が友マイアの想い人。
肩までの光り輝く金髪を紐で横流しに縛り、彫りの深い芽吹いた草木のような若葉色の二重、レグルス様とは違いこの人はキツめで知的な顔の作りをしてる。
ルリオン・デュ・アンキロス公子。
オクタンと二人で歩いてて、ルリオン様は廊下の壁に凭れて腕を組んでた。
「…何か用か?」
そのまま通り過ぎても良かったけど、この人を無視すると面倒だからやめといた。平気そうに話しかけたけど、内心はちょっとドキドキしてる。
壁に凭れてた体を起こしてゆっくり歩き、立ってる私の目の前で止まった。
「話がある。顔を貸せ」
「…嫌だと言ったら?」
「!……貴様はつくづく無礼な奴だ。…悪い話じゃないから着いてこい」
顔をクイッと横へ振り、庭園の方への移動を促してるみたい。
ハァ……また?
もう、ほっといてほしいな…。
「あ、アート、君……」
隣にいたオクタンが不安気な顔で私を見てる。
もう、何度目?!
メインキャラが私にいちいち構うの、やめてほしいんだけど!!
心に苛立ちを感じながら、オクタンに笑顔を向ける。
「オクタン、悪いけど先に行っててくれ。俺もすぐ戻るから」
片手でポンとオクタンの肩を叩いて話す。
「ん…うん。…んと、早く…来てね……」
「ハハッ、心配するなっ」
私を見たまま立ち止まってるルリオン様。
まだ生徒もまばらで、でも廊下歩いてる生徒は歩きながら、何事かと私達を横目で見てた。
オクタンはおずおずしながら講堂へと向かった。途中振り返りながらやっぱり心配そうだった。
「時間がない。早く来い」
今度は振り返りもせずルリオン様が足早に庭園の奥の方へと移動する。
「だったら呼び出すなよ」
ルリオン様を追って庭園のレンガ道を歩いていく。結構奥まで来たけどまだルリオン様の足は止まらない。
「…貴様、誰にものを言っている…」
「わからないのか?お前しかいないだろ」
「口の減らないやつだ!」
私もちょっと慇懃無礼に挑発する。
レグルス様もそうだけど、ルリオン様とも正直関わりたくない。
挑発でもして怒って敵対してくれる方がありがたいんだけどな。
結局庭園の一番奥まで来た。もちろん周りにだれーもいないよね。聞き耳立ててる人すらいないよ。
木々が立ち並んでる前で立ち止まり、ルリオン様はその木に寄りかかりながら私に話し出す。
「私は下手な挑発には乗らない。貴様に話がある…」
ルリオン様が寄りかかってる場所から間を空けて私も立ち止まった。
「なるべく手短にしてくれよ」
「ふんっ、いちいち癪に障る奴だ!」
挑発に乗らないのにイライラしてるなら結局乗っちゃってるし。
「私がわざわざ貴様を呼び出したのは、卒業後の話をするためだ」
まだ卒業まで半年はあるのに、もう卒業後?…というか、卒業後って私はもういない予定だし。
いきなり飛躍した話に頭をガリガリと掻く。
「あのなぁ…」
「話を遮るなっ、貴様にとってはまたとない話だ」
もうなんとなく嫌な予感しかしない。
木に寄りかかりながらルリオン様は、若干偉そうに話してる。
「…一応、聞いてやるけど…」
「貴様の態度は粗暴だが、礼儀は一応弁えている。頭脳も認めたくないが平民にしては明晰だ。容姿もまあ見れるくらいには整っている…」
え…なに?もしかして…褒められてる?いや、むしろ貶されてる??
ルリオン様って結構プライドが高くて、レグルス様以外の人の事は絶対認めないし褒めない。
レグルス様至上主義でこんな風に他人に近づくことすら珍しいのに。
素直に喜べない褒め言葉だな…まぁ、ルリオン様に認められるって中々ないんだけど…全然嬉しくない。
それに、馴れ合うつもりなんて全くないんだよね。
「レグルス殿下も貴様を気にかけている。今までない事だ…あの方は将来皇帝の座に着くことを約束されている。だからこそ下々の者には平等に接するよう努められているんだ。それがだ!貴様と話したその後から、殿下は変わられた!」
自分の意見を、まるで私なんていないみたいに好き勝手に話していくルリオン様。
「ハァ……それは、光栄なことだな…」
「そうだろう!貴様は認められたのだ!今からでも私と共に行動し、殿下のお側で働き役に立つんだ。私の補佐として殿下を支えろ。この様な誉れ高い栄誉は、平民の貴様には身に余る程だ!」
私の言葉に気を良くしたのか、ルリオン様の話しは止まらない。饒舌にペラペラと話していくんだけど、私は半分も聞いてなかった。
いやー…無理だわ…。
レグルス様至上主義なのはわかるけど…私は貴方の言いなりじゃないし。
ルリオン様ってこんなキャラだったっけ?もう少し知的な印象があったんだけど…私が平民だから、こんなぞんざいな態度取ってるだけなのかな…。
私はルリオン様へと呆れ顔を向ける。
「…話しはそれだけか?」
「いいか、今言った事を必ず実行しろ。貴様にとってこれ以上ない栄光だろう!」
私の言葉なんて全く聞いてなくて、腕を組んで横に顔を反らしたドヤ顔のルリオン様にイラッとする。
「おい…、アトリクスとか言ったな」
朝、寮から講堂へと移動していた廊下で、待ち構えてたルリオン様にいきなり呼び止められた。
この人は我が友マイアの想い人。
肩までの光り輝く金髪を紐で横流しに縛り、彫りの深い芽吹いた草木のような若葉色の二重、レグルス様とは違いこの人はキツめで知的な顔の作りをしてる。
ルリオン・デュ・アンキロス公子。
オクタンと二人で歩いてて、ルリオン様は廊下の壁に凭れて腕を組んでた。
「…何か用か?」
そのまま通り過ぎても良かったけど、この人を無視すると面倒だからやめといた。平気そうに話しかけたけど、内心はちょっとドキドキしてる。
壁に凭れてた体を起こしてゆっくり歩き、立ってる私の目の前で止まった。
「話がある。顔を貸せ」
「…嫌だと言ったら?」
「!……貴様はつくづく無礼な奴だ。…悪い話じゃないから着いてこい」
顔をクイッと横へ振り、庭園の方への移動を促してるみたい。
ハァ……また?
もう、ほっといてほしいな…。
「あ、アート、君……」
隣にいたオクタンが不安気な顔で私を見てる。
もう、何度目?!
メインキャラが私にいちいち構うの、やめてほしいんだけど!!
心に苛立ちを感じながら、オクタンに笑顔を向ける。
「オクタン、悪いけど先に行っててくれ。俺もすぐ戻るから」
片手でポンとオクタンの肩を叩いて話す。
「ん…うん。…んと、早く…来てね……」
「ハハッ、心配するなっ」
私を見たまま立ち止まってるルリオン様。
まだ生徒もまばらで、でも廊下歩いてる生徒は歩きながら、何事かと私達を横目で見てた。
オクタンはおずおずしながら講堂へと向かった。途中振り返りながらやっぱり心配そうだった。
「時間がない。早く来い」
今度は振り返りもせずルリオン様が足早に庭園の奥の方へと移動する。
「だったら呼び出すなよ」
ルリオン様を追って庭園のレンガ道を歩いていく。結構奥まで来たけどまだルリオン様の足は止まらない。
「…貴様、誰にものを言っている…」
「わからないのか?お前しかいないだろ」
「口の減らないやつだ!」
私もちょっと慇懃無礼に挑発する。
レグルス様もそうだけど、ルリオン様とも正直関わりたくない。
挑発でもして怒って敵対してくれる方がありがたいんだけどな。
結局庭園の一番奥まで来た。もちろん周りにだれーもいないよね。聞き耳立ててる人すらいないよ。
木々が立ち並んでる前で立ち止まり、ルリオン様はその木に寄りかかりながら私に話し出す。
「私は下手な挑発には乗らない。貴様に話がある…」
ルリオン様が寄りかかってる場所から間を空けて私も立ち止まった。
「なるべく手短にしてくれよ」
「ふんっ、いちいち癪に障る奴だ!」
挑発に乗らないのにイライラしてるなら結局乗っちゃってるし。
「私がわざわざ貴様を呼び出したのは、卒業後の話をするためだ」
まだ卒業まで半年はあるのに、もう卒業後?…というか、卒業後って私はもういない予定だし。
いきなり飛躍した話に頭をガリガリと掻く。
「あのなぁ…」
「話を遮るなっ、貴様にとってはまたとない話だ」
もうなんとなく嫌な予感しかしない。
木に寄りかかりながらルリオン様は、若干偉そうに話してる。
「…一応、聞いてやるけど…」
「貴様の態度は粗暴だが、礼儀は一応弁えている。頭脳も認めたくないが平民にしては明晰だ。容姿もまあ見れるくらいには整っている…」
え…なに?もしかして…褒められてる?いや、むしろ貶されてる??
ルリオン様って結構プライドが高くて、レグルス様以外の人の事は絶対認めないし褒めない。
レグルス様至上主義でこんな風に他人に近づくことすら珍しいのに。
素直に喜べない褒め言葉だな…まぁ、ルリオン様に認められるって中々ないんだけど…全然嬉しくない。
それに、馴れ合うつもりなんて全くないんだよね。
「レグルス殿下も貴様を気にかけている。今までない事だ…あの方は将来皇帝の座に着くことを約束されている。だからこそ下々の者には平等に接するよう努められているんだ。それがだ!貴様と話したその後から、殿下は変わられた!」
自分の意見を、まるで私なんていないみたいに好き勝手に話していくルリオン様。
「ハァ……それは、光栄なことだな…」
「そうだろう!貴様は認められたのだ!今からでも私と共に行動し、殿下のお側で働き役に立つんだ。私の補佐として殿下を支えろ。この様な誉れ高い栄誉は、平民の貴様には身に余る程だ!」
私の言葉に気を良くしたのか、ルリオン様の話しは止まらない。饒舌にペラペラと話していくんだけど、私は半分も聞いてなかった。
いやー…無理だわ…。
レグルス様至上主義なのはわかるけど…私は貴方の言いなりじゃないし。
ルリオン様ってこんなキャラだったっけ?もう少し知的な印象があったんだけど…私が平民だから、こんなぞんざいな態度取ってるだけなのかな…。
私はルリオン様へと呆れ顔を向ける。
「…話しはそれだけか?」
「いいか、今言った事を必ず実行しろ。貴様にとってこれ以上ない栄光だろう!」
私の言葉なんて全く聞いてなくて、腕を組んで横に顔を反らしたドヤ顔のルリオン様にイラッとする。
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