上 下
228 / 392

校外実技演習 12

しおりを挟む



 こうしてる間にもアケルナーが暗黒竜と戦ってる。
 やっぱり対一じゃいくらアケルナーでもキツいみたいで、いくら火属性の魔法剣使っても、魔法耐性も強くて魔力量の多い暗黒竜の方が絶対的有利。
 次第に圧され始めてる。

 リゲルやマイアも戦ってた敵を倒してこっちに向かってくる。

「アルファルド、一緒に戦ってくれるか?」

「…それは…もちろんだ。…お前は俺が守る」

「ありがとな、アルファルド。でもさ…俺も守られてばっかじゃ嫌なんだ。少しは役に立たないとっ」

 アルファルドに向かって微笑んでると、リゲルとマイアが合流する。

「アケルナー!無茶するなよぉ!!」

「コールサック卿!無謀ですわっ!」

 戦ってるアケルナーは全然話し聞いてなくて、暗黒竜の相手に夢中になってる。

「リゲル、マイア。お前らもこれ飲んどけ」

 二人に近付いてハイポーションを渡す。

「なっ、いらねーよ!平民から施しなんか受けるか!!」

 リゲルがすかさず突き返して来るけど、ここでそういうのはいらないんだよね。

「いいから黙って飲め。ごちゃごちゃ言ってると死ぬぞ…」

「…っ!」

 リゲルを射竦めて有無を言わせず威圧する。
 
「くっ…緊急だから、仕方なく飲むだけだぞっ!」

 マイアは何も言わずに飲み干した。リゲルもブツブツ言ってたけどやけ酒みたいにあおってる。

 腰に差してあったハイポーションを隣にいるアルファルドにも渡す。

「お前もちゃんと回復しとけ」

「…あぁ」

 アルファルドもちゃんと回復したのを確認してから三人に向かって話す。

「いいか、お前ら…暗黒竜は普通のドラゴンと違って闇属性魔法を放ってくる。あの黒い炎が来たら全力で回避しろ。間違っても立ち向かおうなんて思うなよ」

「や、闇属性!?あの真っ黒なドラゴンは暗黒竜なんですの?!そんなものは伝説上の生き物なのでは?」

「なんでお前がそんな事知ってんだよ?!しかも闇属性って、失われた四大元素ロストマジックだろ!?新世界で存在しないはずじゃないのかよ!!」

 そりゃあ驚くよね。
 でも存在するんだよ。これが出て来るってことはデネボラの復活が近いって事。

 ちらっと隣に立ってるアルファルドを見る。

 でも、アルファルドは闇落ちしてない。それはスゴく嬉しいのに、不安が収まらない。

「とにかく、俺が指示を出すからその通りに従ってくれ」

「何でだよっ!!なんでお前の言うことなんて!!」

 リゲルが吠えてるけど無視。

「聞かなくてもいいが、このままだとアケルナーが死ぬぞ?お前1人であれに勝てるのか?」

「っ!…お前っ…!」

「わたくしは構いません。貴方のお手並み拝見と致しますわ」

 腕を組みながらニッコリと優雅に笑ってるマイア。
 こんな状況なのに余裕あるね。さすがマイアだよ。

「オクタン!!アンカと一緒に教授と合流して避難しろ!ここは危ないっ!」

 数メートル離れた木の下に避難してたオクタンに声をかけた。
 
「あ、んと、わかった!んと、アート君、気をつけてね!」

「おぅ!お前らもな!」

 オクタンがアンカの肩を抱いて山を降りてく。これでひとまず安心だね。

 ただこのメンバーをどう纏めるか…。

 暗黒竜と戦ってるアケルナーはすでに手負いになってる。あのアケルナーでも一人じゃ無理。

「アケルナー!!いったん下がれっ!!アルファルド、もう一度背中の付け根に向かってメテオを打ってくれ!」

「…あぁ」

 ドラゴンでの戦闘では長期戦は向かない。本来なら一瞬で勝負つけないと駄目なんだ…向こうの方がHPがずば抜けて多いから。
 やっぱりポラリスの不在がイタイなあ。闇属性には光属性が効果的なのに。

 アケルナーが後方へ下がり始めると、アルファルドが手を前に構えて特殊火属性魔法を暗黒竜の背中に放つ。
 巨大な隕石の塊が暗黒竜の背中に直撃して、本格的に飛行困難になった。

「ギャウッーー!!」
 
 でもメテオでもこのくらいのダメージしか与えられない。これって人類最高峰の攻撃魔法なのに。

 暗黒竜が暴れて地響きみたいに揺れてる。アースクエイク食らってるくらい揺れが酷い。

「くそっ…なんて、力だよっ」
「これが、暗黒竜の…」

 戻ってきたアケルナーは暗黒竜の爪でやられたのか傷だらけで、魔法剣の多様で辛そうにしてた。

「早く飲めっ!お前に回復してもらわないと困る」

 剣で身体を支えてたアケルナーが投げたハイポーションを受け取ってニヤッと笑ってる。

「有り難く頂きます。これでまだ戦えますね…」

 下がってハイポーション飲んでるアケルナーは怖いから放っといて、マイアとリゲルにも指示を出す。

「マイア!アクアウェイブ、リゲル!エアロエッジ!同時に展開して暗黒竜の両目を狙え!!」

「クソっ!偉そうにぃ!!」

「よろしくってよ!」

 リゲルは文句言いながらも一応魔法を放つ。マイアとリゲルで暗黒竜に次々と魔法を当てていく。

「グギァァ!」

 暗黒竜は翼をバタつかせようとしてるけど、負傷してて上手く翼を広げられない。

「アルファルド、アケルナー!二人が撃ったら間髪入れず同時にインフェルノを撃て!マイアはインフェルノに向けてウォーターアローを放ってくれ!」

「それでは魔法が霧散してしまいますわっ!」

「いや、それでいいんだ!急げっ!!」

 みんな言われた通りに動いてくれてる。
 私は目の前でメインサブキャラ達が自分の指示で動いてることにめちゃくちゃ興奮してる!

 ポラリスやレグルス様、ルリオン様が居なくてもこのメンバーは十分強いっ!むしろ私的にベストメンバーくらいな感じだし!


しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

悪役令嬢を拾ったら、可愛すぎたので妹として溺愛します!

平山和人
恋愛
転生者のクロエは諸国を巡りながら冒険者として自由気ままな一人旅を楽しんでいた。 そんなある日、クエストの途中で、トラブルに巻き込まれた一行を発見。助けに入ったクロエが目にしたのは――驚くほど美しい少女だった。 「わたくし、婚約破棄された上に、身に覚えのない罪で王都を追放されたのです」 その言葉に驚くクロエ。しかし、さらに驚いたのは、その少女が前世の記憶に見覚えのある存在だったこと。しかも、話してみるととても良い子で……? 「そういえば、私……前世でこんな妹が欲しかったって思ってたっけ」 美少女との出会いが、クロエの旅と人生を大きく変えることに!?

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

処理中です...