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校外実技演習 1
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ポーション作りも順調で、アヴィオール学長とのやり合いの後はまた外で薬草を採取してる。
あの日以降モンスターに出くわすこともなく、普通に採取できてる。
一応ポーション作ってるのは周りには秘密。
オクタンにもかなり脅して、ただ薬草について研究してるだけだからって念押しして言っといた。
ま、誰も見に来ないし。
私達が何してるのかなんて知らないし、興味も無いだろうね。
ポーションもハイポーションもドラコニス公爵家で保管してもらってるからとりあえず一安心。
場所は余るほどあるからって、毎日のようにアルファルドが袋に詰めて持って帰ってくれてるんだ。
一回に作れる量もかなり増えて、たぶんストックだけでも相当量ある。
今までの全部売ったら天文学的数字になると思うよ。
もうそろそろ時期かな? 二学年に進級するし。
とりあえず来たるべき時が来たら有効に活用する為に、今はひたすら作り続ける日々を続けてる。
◇◆◇
この日の講義で実技演習の話があがった。
初めての校外実技演習は、ティブル山脈の山間で行われるんだ。
ここには教授、副教授も何名か参加して、低級モンスターの討伐から始めていくんだけど……
だがしかし、私は憂鬱で仕方ない。
「ハァ……、遂に校外実技演習か……」
「んと…、楽しみ?」
「いやあー……、正直全く……」
「んと、そ、そう……なの?」
「オクタン、考えてみろよ。俺の実力を……」
「あっ、ん、んと……」
「俺ってさ、実戦向きじゃないの。ただの足手まといなの……お前はもう上級魔法使えるだろ? 羨ましいぜ」
「え……、んと……、や……そ、そんな……こと」
あるよねー。そうなんだよ。
オクタンてやっぱ凄くて、2学年に上がる前には水属性の上級魔法使えるようになった。
ポーション作りで細かい魔力操作を練習するようになってから格段に魔法レベルが上がったみたいだね。
うんうん、棚ぼただよ。
私はいつまで経っても風属性の補助魔法のみ。
本来持ってる無属性魔法も攻撃には特化してないし、身体強化なんてもっての外、結局魔法主体で戦うってなると完全に戦力外なんだよね。
アカデミアの構内の机で顔を横に這わせて項垂れてる。
「そ……言えば、んと…チーム、は?」
横で座ってあせあせしてるオクタンが思い出したように言ってる。
実技演習の参加自体は自由。
でも普通はみんな参加するし、参加しない生徒なんてまずいない。
この校外実技演習は各属性ごとに4人一組のチームを作る。火属性は圧倒的に少ないからそこは他の属性で埋めるんだけど。
「んー……俺、参加しないかも」
「え! な、なんで?!」
「行く意味ないだろ? 俺と組みたいヤツなんていねぇよ」
不貞腐れたように言ってたら、反対隣で聞いてたアルファルドが珍しく話に割り込んできた。
「…俺は、同じチームでも構わないが……」
相変わらずそっぽを向いて話してる。
私は机に顔つけたまま、顔の向きだけアルファルドの方を向いた。
「アルファルド! ……本気か?」
「…あぁ」
なんだか最近アルファルドまで可愛いって思うようになって来ちゃって、正直困る。
「んと……、僕も……、あ、アート君と……組みたい、な」
「――! オクタンまで……」
なんかめちゃくちゃ嬉しい!!
本気で参加するのやめようと思ってたんだけどなぁ。強化能力使えないから、真面目に邪魔なだけだし。
机からガバッ起き上がった私は両手を伸ばして、二人の体を左右から抱き寄せた。
「お前らいい奴らだ……! ありがとな、二人とも!」
「あ、あ、んと……うん」
「……」
嬉しくてギュ~っと力を入れてると、周りからキャ~とかすかな声が聞こえる。
ん? なに?
不思議に思って見渡すと、何名かの女生徒が頬を赤くしてこっちを見てた。
どうしたんだろう? 騒ぐような人でもいるっけ?
自分の周りをキョロキョロするけど、レグルス様とかルリオン様がいるわけでもない。
「…おい、いい加減離せっ」
「あっ。ハハッ、悪ぃな」
「へへっ……、んと…頑張ろ、う」
怒り口調のアルファルドとは逆に、オクタンは嬉しそうだった。
パッと手を離すと、アルファルドはまだそっぽを向いてる。
ふふっ、素直じゃないな~。まぁそこが良いんだけどさ。
ポーション作りも順調で、アヴィオール学長とのやり合いの後はまた外で薬草を採取してる。
あの日以降モンスターに出くわすこともなく、普通に採取できてる。
一応ポーション作ってるのは周りには秘密。
オクタンにもかなり脅して、ただ薬草について研究してるだけだからって念押しして言っといた。
ま、誰も見に来ないし。
私達が何してるのかなんて知らないし、興味も無いだろうね。
ポーションもハイポーションもドラコニス公爵家で保管してもらってるからとりあえず一安心。
場所は余るほどあるからって、毎日のようにアルファルドが袋に詰めて持って帰ってくれてるんだ。
一回に作れる量もかなり増えて、たぶんストックだけでも相当量ある。
今までの全部売ったら天文学的数字になると思うよ。
もうそろそろ時期かな? 二学年に進級するし。
とりあえず来たるべき時が来たら有効に活用する為に、今はひたすら作り続ける日々を続けてる。
◇◆◇
この日の講義で実技演習の話があがった。
初めての校外実技演習は、ティブル山脈の山間で行われるんだ。
ここには教授、副教授も何名か参加して、低級モンスターの討伐から始めていくんだけど……
だがしかし、私は憂鬱で仕方ない。
「ハァ……、遂に校外実技演習か……」
「んと…、楽しみ?」
「いやあー……、正直全く……」
「んと、そ、そう……なの?」
「オクタン、考えてみろよ。俺の実力を……」
「あっ、ん、んと……」
「俺ってさ、実戦向きじゃないの。ただの足手まといなの……お前はもう上級魔法使えるだろ? 羨ましいぜ」
「え……、んと……、や……そ、そんな……こと」
あるよねー。そうなんだよ。
オクタンてやっぱ凄くて、2学年に上がる前には水属性の上級魔法使えるようになった。
ポーション作りで細かい魔力操作を練習するようになってから格段に魔法レベルが上がったみたいだね。
うんうん、棚ぼただよ。
私はいつまで経っても風属性の補助魔法のみ。
本来持ってる無属性魔法も攻撃には特化してないし、身体強化なんてもっての外、結局魔法主体で戦うってなると完全に戦力外なんだよね。
アカデミアの構内の机で顔を横に這わせて項垂れてる。
「そ……言えば、んと…チーム、は?」
横で座ってあせあせしてるオクタンが思い出したように言ってる。
実技演習の参加自体は自由。
でも普通はみんな参加するし、参加しない生徒なんてまずいない。
この校外実技演習は各属性ごとに4人一組のチームを作る。火属性は圧倒的に少ないからそこは他の属性で埋めるんだけど。
「んー……俺、参加しないかも」
「え! な、なんで?!」
「行く意味ないだろ? 俺と組みたいヤツなんていねぇよ」
不貞腐れたように言ってたら、反対隣で聞いてたアルファルドが珍しく話に割り込んできた。
「…俺は、同じチームでも構わないが……」
相変わらずそっぽを向いて話してる。
私は机に顔つけたまま、顔の向きだけアルファルドの方を向いた。
「アルファルド! ……本気か?」
「…あぁ」
なんだか最近アルファルドまで可愛いって思うようになって来ちゃって、正直困る。
「んと……、僕も……、あ、アート君と……組みたい、な」
「――! オクタンまで……」
なんかめちゃくちゃ嬉しい!!
本気で参加するのやめようと思ってたんだけどなぁ。強化能力使えないから、真面目に邪魔なだけだし。
机からガバッ起き上がった私は両手を伸ばして、二人の体を左右から抱き寄せた。
「お前らいい奴らだ……! ありがとな、二人とも!」
「あ、あ、んと……うん」
「……」
嬉しくてギュ~っと力を入れてると、周りからキャ~とかすかな声が聞こえる。
ん? なに?
不思議に思って見渡すと、何名かの女生徒が頬を赤くしてこっちを見てた。
どうしたんだろう? 騒ぐような人でもいるっけ?
自分の周りをキョロキョロするけど、レグルス様とかルリオン様がいるわけでもない。
「…おい、いい加減離せっ」
「あっ。ハハッ、悪ぃな」
「へへっ……、んと…頑張ろ、う」
怒り口調のアルファルドとは逆に、オクタンは嬉しそうだった。
パッと手を離すと、アルファルドはまだそっぽを向いてる。
ふふっ、素直じゃないな~。まぁそこが良いんだけどさ。
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