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町作り 続

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 アカデミアの試験も一段落して、ずっとやりたかったことをここで一気にやることにした。

 まずはしばらく放置状態の私が作った町。

 アトリクスになってから帝都の周りとか、その他の首都を回って色々調べてた。
 遅くなったけど、そろそろかなっと思って早速実行して行こう!

 平民街、貧困層街を回って気づいたのは親を失った子供達。
 誰も助けてくれる人もいなくて、いずれは飢え死にするか、生き延びても闇組織へと堕ちてしまう子供がほとんどなんだ…。
 少しでもそんな子供達を救いたくて、私はあの町を作り上げた。
 特にスタンピードが起きることがわかってたから、更に孤児が増えるのを予想してた。
 
 真夜中。

 皆が寝静まった頃。
 私はシリウスの姿へと変わって、夜の街へと繰り出した。

 屋根伝いに移動しながら、路地裏や廃墟になった家の中を気配探査する。
 寒さをしのいで、飢えをゴミを漁りながら何とか生きようとしてる子供達の元へ。

 んっ…!いたっ!

 私が道端で横たわって子供の前へと降り立つ。

「…………」

 何も見てないような虚ろな目で…、私を見ても怖がることもしない。もう、話す気力もないのか、言葉すら出てなかった。

 すぐにその子を布に包んで抱えて、空へと飛び立った。
 ここからうちの領地までは最速で行っても一日はかかる。
 トップスピードで駆けながら、急いで町へと向かった。






 ◇







 早朝。
 開閉式の扉を叩いた。
 
「ふぁ~、誰だい……っ!!あなたは…、シリウス様!!」

 扉が開くと門番を務めてるヤンさんが私を見て驚いてる。
 腕に抱えてる子供を見ると、ヤンさんは察してくれた。

「…この子も運が良い。これで生きる事ができる」

 私はその子をヤンさんに渡すと、頷きながらすぐに空へと飛び立った。

「お気をつけてー!」

 空へと向かったヤンさんは笑顔で私を見送ってくれた。
 
 何人目かな?あの子で。
 あの町もだいぶ人口が増えてきた。
 それがいい事だとは思わない。
 増えれば増えるほど、私にとっては悲しいから。
 
 子供の頃、たまに町で見かけてた孤児。
 うちの領地でも少ないけど…やっぱりそういう子はいて、やるせない気持ちになって、どうしようもなくてあの町を作った。

 本当に危険な状態の子しか今はまだ助けられないけど、そういう子を見てるとどうしてもアルファルドを思い出す。
 


 これ以上増えないことを願いたい。
 でも、現実は理想より遥かに厳しくて…一人、また一人と人数だけが増えていくんだ。
 



 途中ドルアーガ子爵家へと寄った。
 朝早いけど、我が家は起きるのが早いからみんないた。
 木の上の枝に乗り、窓の中の景色を見てる。

 楽しそうに笑い合って、みんなが食事をしてた。
 小さな子が一人増えてて、妹が増えたことを知った。

 私が出てからもう3、4年は経つ。
 みんな…、幸せそうで良かった…。

 私はもう…あそこへは戻れないけど…、後悔はしてない。
 
 お父様、お母様、ミザル、ミュー…それから名前も知らない妹……みんな、元気で過ごしてね。

 乗ってた木の枝を蹴って、再び帝都へと向かった。

 
「今、ミラがいましたよ」
「何ぃ~?!ミラが!!?どこ、どこだ!!」
「あの木の上にいましたけど、もう行ってしまいましたわ」
「木の上だぁ!?どういうことだぁぁ~!!」
「ふふふっ…元気そうで良かったわ」
 


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