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淑女作法部 1
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「ではこれより、淑女作法部改め…殿方を愛でる会を発足致しますわ」
4人ほど小さなサークル。
ここにいるのはアカデミア在中の目立たないモブ令嬢達。
「早速報告へと移りましょう!」
細見のモブ令嬢Aが議長で話を進めていく。
「はい!わたくしから報告させて頂きますわ。近状では、レグルス殿下、ルリオン様がお二人でアカデミア内の食堂にて共にランチを取っておりましたわ!」
メガネをかけたモブ令嬢Bが挙手のあと、上気した頬を自分の両手で包むように目を閉じる。
「素晴らしいですわ!お二人の様子はどうでしたの?」
「レグルス殿下とルリオン様は何やら難しいお話をなさっておりましたが、時折笑顔を見せつつお二人の世界に浸ってたおりました…」
モブ令嬢Bがその光景を思い出したのか、ウットリした表情で話している。
「あのお二人の美しいお姿はどなたにも敵いませんわね」
「それは頷けますわ…ビジュアル的にも断トツですわ」
「アルタイル帝国万歳ですわ!」
他のご令嬢も二人の姿を思い浮かべ、ほぅ…と頬を染めている。
次に手を上げたのはちょっとぽっちゃりしたモブ令嬢C。
「はい!次はアケルナー様とリゲル様ですわ!お二人とも剣術で汗を流されて切磋琢磨しておりました!お互いの布巾で汗を拭き合い、笑い合っていたお姿はとても尊かったですわ~!!」
その場面を思い出したのか、モブ令嬢Cが目をウルウルさせて両手を握りしめている。
「まぁ!お互いに汗を…!!それはわたくしも拝見したかったですわ!」
「えぇ、皆様にお見せしたかったですもの…やはり汗を流されて動いてる姿はとても眩しいですわ…」
「ほぅ……なんて麗しいのかしら…」
「議長!わたくしは平民のアトリクス君とドラコニス公爵のカップリングが最近の一押しですわ!」
元気良く発言したこちらはモブ令嬢D。
「で…ですが、彼らは…」
モブ令嬢Dは力説するように机をバンッ!と叩く。
「アトリクス君の公爵に対する愛が留まるところを知りませんわ!もう、見ていてもわかるほど公爵に対する熱い想いが伝わってきますもの!!」
他のモブ令嬢達がモブ令嬢Dの発言に顔を見合わせてざわつく。
「それにですわ!アトリクス君は公爵に本気で恋しておりますわ!…来る日も隣に腰掛け、健気にお話されているのに相手にされず、ですが時には公爵をお一人で庇われております!そして何よりあの瞳ですわっ!…公爵を一心に見つめるあの愛しさ溢れる瞳!もうアトリクス君には他の誰でもなく、公爵唯一人しか目に入っていないご様子。でなければあんなふうに、公爵といて幸せだなんて堂々と公言できませんわっ!!」
その言葉に他のモブ令嬢達も納得する。
議長であるモブ令嬢Aはよろめきながらも、なんとか机に寄りかかり留まった。
「確かに…アトリクスは一時も公爵の側から離れませんわね…。あの粗雑な平民も、顔と頭だけは他より優れておりますから」
「そうですわね。あのお二人は認めざるを得ませんわ」
「えぇ、アトリクス君は公爵を愛してらっしゃるようですし…」
「平民と公爵の許されざる禁断の愛!!萌えますわ~!!」
モブ令嬢Dは興奮気味に席から立ち上がる。
「静粛に!静粛にぃー!!」
「はっ!申し訳ございませんわ!わたくしったらはしたないですわ…」
「コッホン、お気持ちはわかりますが、わたくし達は淑女作法部ですのよ」
「そうですわ、淑女は淑女らしくですわ」
「ではこれにて淑女作法部改め、殿方を愛でる会を閉会しますわ。…皆様、またの報告を楽しみにしておりますわ」
議長であるモブ令嬢Aがニコリと優雅に笑い、本日の定期報告会は幕を閉じた。
◇
その頃、オクタン、アルファルドと一緒にいたアトリクスはクシャミが止まらなかったとか…。
「んと…大丈夫?…アート、君」
「…グズっ、誰か噂してるな…」
「……」
「ではこれより、淑女作法部改め…殿方を愛でる会を発足致しますわ」
4人ほど小さなサークル。
ここにいるのはアカデミア在中の目立たないモブ令嬢達。
「早速報告へと移りましょう!」
細見のモブ令嬢Aが議長で話を進めていく。
「はい!わたくしから報告させて頂きますわ。近状では、レグルス殿下、ルリオン様がお二人でアカデミア内の食堂にて共にランチを取っておりましたわ!」
メガネをかけたモブ令嬢Bが挙手のあと、上気した頬を自分の両手で包むように目を閉じる。
「素晴らしいですわ!お二人の様子はどうでしたの?」
「レグルス殿下とルリオン様は何やら難しいお話をなさっておりましたが、時折笑顔を見せつつお二人の世界に浸ってたおりました…」
モブ令嬢Bがその光景を思い出したのか、ウットリした表情で話している。
「あのお二人の美しいお姿はどなたにも敵いませんわね」
「それは頷けますわ…ビジュアル的にも断トツですわ」
「アルタイル帝国万歳ですわ!」
他のご令嬢も二人の姿を思い浮かべ、ほぅ…と頬を染めている。
次に手を上げたのはちょっとぽっちゃりしたモブ令嬢C。
「はい!次はアケルナー様とリゲル様ですわ!お二人とも剣術で汗を流されて切磋琢磨しておりました!お互いの布巾で汗を拭き合い、笑い合っていたお姿はとても尊かったですわ~!!」
その場面を思い出したのか、モブ令嬢Cが目をウルウルさせて両手を握りしめている。
「まぁ!お互いに汗を…!!それはわたくしも拝見したかったですわ!」
「えぇ、皆様にお見せしたかったですもの…やはり汗を流されて動いてる姿はとても眩しいですわ…」
「ほぅ……なんて麗しいのかしら…」
「議長!わたくしは平民のアトリクス君とドラコニス公爵のカップリングが最近の一押しですわ!」
元気良く発言したこちらはモブ令嬢D。
「で…ですが、彼らは…」
モブ令嬢Dは力説するように机をバンッ!と叩く。
「アトリクス君の公爵に対する愛が留まるところを知りませんわ!もう、見ていてもわかるほど公爵に対する熱い想いが伝わってきますもの!!」
他のモブ令嬢達がモブ令嬢Dの発言に顔を見合わせてざわつく。
「それにですわ!アトリクス君は公爵に本気で恋しておりますわ!…来る日も隣に腰掛け、健気にお話されているのに相手にされず、ですが時には公爵をお一人で庇われております!そして何よりあの瞳ですわっ!…公爵を一心に見つめるあの愛しさ溢れる瞳!もうアトリクス君には他の誰でもなく、公爵唯一人しか目に入っていないご様子。でなければあんなふうに、公爵といて幸せだなんて堂々と公言できませんわっ!!」
その言葉に他のモブ令嬢達も納得する。
議長であるモブ令嬢Aはよろめきながらも、なんとか机に寄りかかり留まった。
「確かに…アトリクスは一時も公爵の側から離れませんわね…。あの粗雑な平民も、顔と頭だけは他より優れておりますから」
「そうですわね。あのお二人は認めざるを得ませんわ」
「えぇ、アトリクス君は公爵を愛してらっしゃるようですし…」
「平民と公爵の許されざる禁断の愛!!萌えますわ~!!」
モブ令嬢Dは興奮気味に席から立ち上がる。
「静粛に!静粛にぃー!!」
「はっ!申し訳ございませんわ!わたくしったらはしたないですわ…」
「コッホン、お気持ちはわかりますが、わたくし達は淑女作法部ですのよ」
「そうですわ、淑女は淑女らしくですわ」
「ではこれにて淑女作法部改め、殿方を愛でる会を閉会しますわ。…皆様、またの報告を楽しみにしておりますわ」
議長であるモブ令嬢Aがニコリと優雅に笑い、本日の定期報告会は幕を閉じた。
◇
その頃、オクタン、アルファルドと一緒にいたアトリクスはクシャミが止まらなかったとか…。
「んと…大丈夫?…アート、君」
「…グズっ、誰か噂してるな…」
「……」
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