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最推しとの出会い 5

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 次の日もその次の日も…私はアルファルドの隣の席に座って、頬杖ついて外を眺めてるアルファルドを見つめてた。
 もうこんな近くにアルファルドがいるっていう嬉しさに、笑顔を隠しきれず毎日ニヤニヤしながら隣で観察してる。


 何日経ってもアルファルドは相変わらず窓の外見てて、私が色々話しかけてもこっちは完全に無視。
 でもそれがアルファルドっぽくて私のオタ心をすっごく擽るんだ。
 
 神様、ミティストに転生させてくれて本当にありがとうございます!!
 
 メインキャラ達そっちのけで、私は脇役のアルファルドと一緒にいれることに至上の喜びを感じてた。

 周りの貴族子息やご令嬢たちからは、相当偏見のこもったイヤな目で見られてるけどね。

 私が平民設定なのもそうだし、皇帝からも無視されてるアルファルドに近づいてるのもその原因。
 見えない場所で嫌がらせ的な行為も受けるけど、全く気にしてない。


 ◇



 さてと、今日はアルファルドとポラリスが出会う初対面シーンを阻止しに来た。

 出会いの場所は裏庭の庭園。

 みんなから無視され避けられてたアルファルドは、休憩時間になるといつもこの人気のない場所で本を読んでたんだ。
 そこに途中編入してきた何も知らないポラリスがたまたま出くわして、アルファルドに優しく話しかける。 

 アルファルドがたまたま読んでた本がこれまた、ロストマジックの本で、ポラリスは笑顔で自分が光属性だと告げる。
 そこでまぁ色々とあってアルファルドはポラリスに惹かれていって、歪んだ初恋の末ストーカーになるんだけど…。

 
 今、アルファルドのいる裏庭へと来てる。花が咲き乱れてる正面や中庭の庭園とは違ってこっちは緑が多い。
 
 まさにこの場所は、いつもアルファルドが本を読んでる場所。
 木が生い茂っててちょうど木陰になってる。その木の根に座って寄りかかりながら静かに読書してるんだ。
 周りからは影になってるから、人目を避けてるアルファルドにはちょうどいいのかな?
 周りの気配を探ると、近くの木の下に人の気配がする。コソコソ移動して、気配の感じる木の側までやってきた。
 
 あっ、たしかこの辺りだ!しかもアルファルドがいるし!
 
 建物の脇から顔を出して目視で確認。
 良かった、まだポラリスと出会ってない。

 入学式の時に居なかったポラリスは、少し遅れてこの日に入ってくる。
 しかもみんなの前で教授から光属性と告げられて、周りの反応は凄かったなぁ。

 思い出してたら早速迷ったポラリスが、離れた小道の向こうからアルファルドの方に向かって歩いて来てる!
 
 よし、行くぞ!

 建物の陰から出ると、私は何気なさを装ってアルファルドへと近づいた。

「あっ、いたいた…アルファルド!」
「…」

 座りながら木に寄りかかって本を読んでたアルファルドはたぶん少し私を見て、また本に視線を移す。
 この世界のアルファルドって体格良いから、ゲームと違ってこんな姿も絵になるなぁ…。なんて思いながら手を振って笑顔で近づくけど、私には全く興味なしでそのまま本を読み続けてる。

「こんなとこにいたのか?探したぜ」
「……」

 木の木陰まで歩いてすぐ側まで来ると、反対側から今度はポラリスがやってきてる。
 真っ白なレンガ道をキョロキョロしながらこっちに向かってる。

「あの…すみません。道に迷ってしまって…」

 私達に気づいて声をかけてきたこの少女は、ポラリス・シータ・ヴィルギニス。(本名は違うけど)

 何でかヒロインなのに真っ白な白髪で、この世界でも珍しいオールドローズの瞳。
 小柄で顔も小さくて、くりくりした瞳と筋の通った小さな鼻梁、唇もプックリしてる。マイアやスピカとはまた違った美貌の持ち主だね。なんて言うか慈愛に満ちてる感じ。
 この子もかなりの美少女で、この世界で唯一の超希少な光属性の魔法使い。
 
 おぉー!ポラリスだぁ~!

 実物はまた全然違って、白髪にアカデミアの黒い詰め襟制服が映えるなぁ。太陽の光を浴びてキラキラ光ってる。
 
 アルファルドをポラリスから隠すみたいに遮って、私がポラリスに説明する。

「どこを探してるんだ?」
「あの…アヴィオール学長に会いに来たのですが…」
「いいぜ、俺で良かったら案内してやるよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」

 ふんわり笑うポラリスはめちゃくちゃ可愛かった。

 はぁ~…さすがヒロイン。

 この笑顔にゲームのアルファルドもコロッといっちゃうんだよね。特にミティストでのアルファルドって、色んなものに飢えてる感じだったし。

 でもわたし的にはマイアの方が好みだね。主人公ってだけで未来も約束されてるからなぁ。
 アルファルドは全く興味ない感じで、手元にあるロストマジックの本を黙々と読んでた。
 
「てわけでまた後でな、アルファルド」
「……」

 よしっ、第一次接触を阻止したぞ~!

 こっちに見向きもしないアルファルドから離れると、ポラリスと一緒にアカデミア内に向けて移動する。

「見ない顔だな?もしかして…」
「はい。私は新入生なのですが、入学式には間に合わなくて…」
「俺も新入生なんだ!よろしくなっ」
「まぁ、そうなのですか?よろしくお願いします」

 またまたポラリスはふんわりと笑った。
 これはゲームのアルファルドもイチコロになるよね…。
 さすが光属性。この笑顔にも魔法がかかってるのかなって感じだよ。

 アカデミアに入って回廊を歩いてると案内してたらしい教員が慌ててやってきて、どうやらポラリスはこの人と逸れて迷子になってたみたい。
 選手交代して無事に送るとポラリスは笑顔でお礼を言って、そのまま私は歩いて一学年の講堂まで戻った。

 まぁでも…意外なほどポラリスには興味が沸かなかったなぁ。
 結局私が興味あるのってアルファルドだけだからね。

 悪気はないししょうがないんだけど、アルファルド振って闇堕ちさせちゃうポラリスのことが好きになれないのかもしれないな。

 でもこれで出会いのシーンは邪魔したぞ!
 
 これでアルファルドがポラリスに惚れる心配はないと思うけど、まだまだ油断できないよね。
 
 歩きながら頭の中でこれからの計画を練る。 

 とりあえずポラリスに接近しないように、常にアルファルドの側にいなくちゃね!


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