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入学式編 1
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「アート!荷物が届いてるわよー!」
「はーい。ん…荷物…?」
朝、コンコンとノックの後に宿屋の女将シアさんが扉の向こうから声をかけてくる。
荷物?…あぁ!!
「シアさん!荷物って!!?」
勢いよくバンッと扉を開けたら、シアさんも突然開いた扉にビックリしてた。
部屋から廊下へと出て、シアさんが手に持ってる包みをジッと見る。
「え?!…あぁ、アカデミアからだよ」
「わーい!きっと制服だー!!」
「はいどうぞ。良かったわね!朝食も出来てるわよ」
「うん!もう少ししたら食べにいくよ!」
飛び跳ねて荷物を受け取って、くすくす笑いながらシアさんは下へと降りて行った。
包みを抱えて急いで扉を閉めると、部屋に置いてある丸テーブルの上でガサゴソと荷物を開封した。
「うわあ~!!本当に魔法アカデミアの制服だー!!!」
包みの中には綺麗に畳まれた黒い制服が一式入ってる。
もちろん女の子の制服じゃないんだけど、もう感激~っ!!
早速取り出して自分の目の前に両手で広げた。嬉しく嬉しくて思わずぎゅ~っと真新しい制服を抱きしめた。
テーブルに一つずつ並べて早速着てみる。
シュッシュッと服に手を通しながら一枚ずつ着てく。卸したてだけど、意外と生地が柔らかくて着やすいな。
それから姿見の前で立って確かめる。
「うん!サイズはピッタリ。本当に本当にミティストの制服だぁ!めっちゃ格好良いー!!!」
もうコスプレしてる気分だよねー。男の私ってばかなり似合ってるし、この制服!
全体的なカラーは魔法使いらしく黒なんだけど、中はピッタリしてるのになかなか動きやすい。
男子は黒の詰め襟服に黒のピタリと糊の効いた細身のズボン、襟の縁は銀色になっててスゴく格好良い!その上に腰辺りでキュッと締まってる膝辺りまであるフード型のローブを着る。
胸元には魔法アカデミアの生徒の証である、紫色に金縁が光る六芒星マークが刺繍されている。(ローブの後ろにも同じく六芒星が大きく刺繍されてた。)
これを着て戦ってたレグルス様とかルリオン様とかめちゃくちゃ格好良かったのを覚えてる。
女の子の制服もめちゃくちゃ可愛くて、同じ黒基調の詰め襟で、片側プリーツが入った膝丈スカートで中は黒タイツを履いてたなぁ。
あぁ、早くこれを着たメインキャラの姿が見たい……。
姿見の前で意味もなくポーズ決めたり、くるりと回ってローブを翻してみたり…心ゆくまで至福の時を過ごしてたらシアさんにいい加減降りてこいって怒られちゃった。
◇
ついに入学式当日。
いよいよ!いよいよ始まるんだー!!
ここまで来るのにホント長かったな…。
色んな準備も万端だし、あとはアルファルドと仲良くなるだけ!
宿屋の部屋で男子の制服をきっちり着込んで、背中まで伸びた亜麻色の髪もキュッとキツめに首の後ろで縛った。
その姿で階段を降りて下まで行くと、シアさんが厨房のカウンターから出てきて、片手で口を押さえながら驚いた表情で見てる。
「あなたっ…アートなの?!」
「うん、オレオレ。どう?似合う??」
「あらービックリよ!とっても似合うわ!ずいぶん色男になっちゃって~」
今度は両手で口元を押さえて赤い顔をしてるシアさん。その反応を見て、私ってやっぱりイケてると確信した。
シアさんの側まで近づいて、笑顔で挨拶する。
「それじゃあ…シアさんお世話になりました!」
「アートは平民期待の星よ!魔法学校じゃなくてアカデミアに入っちゃうんだから!今まで聞いたことないわよ」
「ハハッ、ありがとう。俺頑張るよ!後で荷物だけまた取りに来るから」
「いつでも待ってるわ!いってらっしゃい!」
「じゃあ、行ってきます」
入り口まで歩いてから、振り返って手を振って宿屋を出る。
今日は入学式に相応しい晴天で、暑くも寒くもなく丁度いい気温。
平民街のレンガ道を颯爽と歩くと私を見て、通り過ぎながら歩いてる人みんなが振り返ってる。
この制服って目立つし、アカデミアの生徒って一発でわかるし、何よりかっこいいからね!
魔法アカデミアに着いちゃえば皆同じ制服着ててこの優越感も消えるだろうから、今だけでも満喫したい気分だね。
そのまま角を曲がってアカデミアに向けて商店街を歩いてたら、反対側に籠を持ってた手伝いの年若い女の子達がいて、私を見て赤い顔をしてる。
その子達に向けてニコッと微笑むと、持ってた籠を落としてキャ~っと手を取り合って叫んでた。
うん、すっごく良い気分!イケメンてこんな気分なんだね!!
「アート!荷物が届いてるわよー!」
「はーい。ん…荷物…?」
朝、コンコンとノックの後に宿屋の女将シアさんが扉の向こうから声をかけてくる。
荷物?…あぁ!!
「シアさん!荷物って!!?」
勢いよくバンッと扉を開けたら、シアさんも突然開いた扉にビックリしてた。
部屋から廊下へと出て、シアさんが手に持ってる包みをジッと見る。
「え?!…あぁ、アカデミアからだよ」
「わーい!きっと制服だー!!」
「はいどうぞ。良かったわね!朝食も出来てるわよ」
「うん!もう少ししたら食べにいくよ!」
飛び跳ねて荷物を受け取って、くすくす笑いながらシアさんは下へと降りて行った。
包みを抱えて急いで扉を閉めると、部屋に置いてある丸テーブルの上でガサゴソと荷物を開封した。
「うわあ~!!本当に魔法アカデミアの制服だー!!!」
包みの中には綺麗に畳まれた黒い制服が一式入ってる。
もちろん女の子の制服じゃないんだけど、もう感激~っ!!
早速取り出して自分の目の前に両手で広げた。嬉しく嬉しくて思わずぎゅ~っと真新しい制服を抱きしめた。
テーブルに一つずつ並べて早速着てみる。
シュッシュッと服に手を通しながら一枚ずつ着てく。卸したてだけど、意外と生地が柔らかくて着やすいな。
それから姿見の前で立って確かめる。
「うん!サイズはピッタリ。本当に本当にミティストの制服だぁ!めっちゃ格好良いー!!!」
もうコスプレしてる気分だよねー。男の私ってばかなり似合ってるし、この制服!
全体的なカラーは魔法使いらしく黒なんだけど、中はピッタリしてるのになかなか動きやすい。
男子は黒の詰め襟服に黒のピタリと糊の効いた細身のズボン、襟の縁は銀色になっててスゴく格好良い!その上に腰辺りでキュッと締まってる膝辺りまであるフード型のローブを着る。
胸元には魔法アカデミアの生徒の証である、紫色に金縁が光る六芒星マークが刺繍されている。(ローブの後ろにも同じく六芒星が大きく刺繍されてた。)
これを着て戦ってたレグルス様とかルリオン様とかめちゃくちゃ格好良かったのを覚えてる。
女の子の制服もめちゃくちゃ可愛くて、同じ黒基調の詰め襟で、片側プリーツが入った膝丈スカートで中は黒タイツを履いてたなぁ。
あぁ、早くこれを着たメインキャラの姿が見たい……。
姿見の前で意味もなくポーズ決めたり、くるりと回ってローブを翻してみたり…心ゆくまで至福の時を過ごしてたらシアさんにいい加減降りてこいって怒られちゃった。
◇
ついに入学式当日。
いよいよ!いよいよ始まるんだー!!
ここまで来るのにホント長かったな…。
色んな準備も万端だし、あとはアルファルドと仲良くなるだけ!
宿屋の部屋で男子の制服をきっちり着込んで、背中まで伸びた亜麻色の髪もキュッとキツめに首の後ろで縛った。
その姿で階段を降りて下まで行くと、シアさんが厨房のカウンターから出てきて、片手で口を押さえながら驚いた表情で見てる。
「あなたっ…アートなの?!」
「うん、オレオレ。どう?似合う??」
「あらービックリよ!とっても似合うわ!ずいぶん色男になっちゃって~」
今度は両手で口元を押さえて赤い顔をしてるシアさん。その反応を見て、私ってやっぱりイケてると確信した。
シアさんの側まで近づいて、笑顔で挨拶する。
「それじゃあ…シアさんお世話になりました!」
「アートは平民期待の星よ!魔法学校じゃなくてアカデミアに入っちゃうんだから!今まで聞いたことないわよ」
「ハハッ、ありがとう。俺頑張るよ!後で荷物だけまた取りに来るから」
「いつでも待ってるわ!いってらっしゃい!」
「じゃあ、行ってきます」
入り口まで歩いてから、振り返って手を振って宿屋を出る。
今日は入学式に相応しい晴天で、暑くも寒くもなく丁度いい気温。
平民街のレンガ道を颯爽と歩くと私を見て、通り過ぎながら歩いてる人みんなが振り返ってる。
この制服って目立つし、アカデミアの生徒って一発でわかるし、何よりかっこいいからね!
魔法アカデミアに着いちゃえば皆同じ制服着ててこの優越感も消えるだろうから、今だけでも満喫したい気分だね。
そのまま角を曲がってアカデミアに向けて商店街を歩いてたら、反対側に籠を持ってた手伝いの年若い女の子達がいて、私を見て赤い顔をしてる。
その子達に向けてニコッと微笑むと、持ってた籠を落としてキャ~っと手を取り合って叫んでた。
うん、すっごく良い気分!イケメンてこんな気分なんだね!!
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