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後の祭り編 2
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そういえばと思い出して、布団から顔を出した。
「先生…私……魔法が…発現しました……」
言って良いものかと悩んでたけど、エルナト先生にはちゃんと話したい。
先生はあんなに私の為に良くしてくれた恩人だから…。
「魔法が…、発現?本当ですか!?…それで、どのような魔法でしたか!?」
今までの冷静な態度とは一気に変わった。
やっぱり気になるよね。
先生はずっとずっと気にしてくれて、何とか私の魔法を引き出そうとしてくれてたから。
「それが……」
「はい!何でしょう!?」
魔法馬鹿のエルナト先生は、興奮気味で前のめりになりながら待ってる。
この人って、ホント魔法に対するの探究心半端ないね…。
「私の魔法は……、魔法の…無力化でした…」
「…?魔法の…無力化?」
「はい。放たれた魔法を、全て消してしまう魔法です」
「─!!」
エルナト先生は口元を押さえたまま、固まってしまった。
タウリも隣で一緒に聞いてて驚いてる。
「魔法を…全て消す…、魔法?初めて聞きますが、それは……魔法使いにとって、とても恐ろしい力です…」
あのエルナト先生の驚愕の表情。
たぶん今、頭をフル回転して必死にこの魔法について考えてるんだろうなぁ。
「……いやはや、本当ですな。ワシみたいな騎士や剣士にとって、魔法使いはかなり厄介な相手ですぞ。その相手から魔法を取り上げてしまえば…赤子も同然ですからな」
意外と冷静に分析してたタウリの言葉に、私もベッドに横になりながら考えさせられた。
確かに…。
力の強いモンスターとかなら魔法が無くても力技でねじ伏せられるけど。
ただの魔法使いなら、魔法に頼りきりでそれを奪われちゃえば後は簡単だよね…。
鍛えてる魔法騎士とかじゃない限り、勝負はすぐに着ちゃうからね。
「ミラさん!」
「は、はいっ!?」
「まずは、おめでとうございます」
「はっ?あ…はい、ありがとうございます!」
少し動かせるようになった体を起こして、さっきみたいにベッドへ座り直した。
エルナト先生は自分を落ち着かせるように立ち上がって、ベッドの側にある窓から外を見てる。
「……やはり発現していたのですね。あなたの症状が魔力の枯渇状態によく似ていたので、もしや…とは思っておりました。しかし…、恐ろしくも素晴らしい力です」
あっ、確かに!あのときは発現したばかりなのに、かなり魔法を連発してたと思う。
そうしないと、どうしようもないくらい危機的状況だったから。
「本来なら今すぐ貴方の魔法を確認したいのですが…。今は、魔力が回復するまで待ちましょう。魔力枯渇は非常に危険です」
「…はい。すみません、先生」
「そうですぞ。無理はいけませんぞ!お嬢は自分を蔑ろにしすぎですぞ!今は何も考えず、休むことが優先ですぞ!!」
ベッドの端に居たタウリも起き上がって、腰に手を当てて私を叱咤してる。
タウリの言うことは正論だよね。さすがに人生経験豊富な冒険者だよ。
「うん。わかったよ、タウリ。とりあえず私の魔法の事はココだけの秘密にしてね」
「わかっておりますぞ。口が裂けてもいいませんぞ!」
ドンッと胸に拳を当てニカッと笑うタウリに、私も自然と笑った。
「タウリ卿の言うとおりです。とにかく今は休みましょう。ストックしていたポーション類も使ってしまったようですから、貴女の持つ魔力回復力に頼るしかありません」
私の回復薬が置いてあった棚を見てエルナト先生が話す。
今回のスタンピードで回収してたポーション類は全部無くなった。
またダンジョン巡りしないとなぁ…。
でも今は全然行く気になれないや。
「先生…タウリ…。疲れたから少し休みます」
言いながら、またもぞもぞベッドに潜り込んだ。
さすがにまだダメだ。
色んなことがありすぎてキャパオーバーになってる。
「わかりました。病み上がりなのに長くお暇してしまい申し訳ございませんでした…ゆっくりお休み下さい」
「そうですぞ!今はまだ休息が必要ですからなっ」
「えぇ、また明日…様子を見に参ります」
「すみません…ありがとうございます」
ベッドから顔を出して帰ってく2人を見送った。
パタン…と閉まる扉を見てから、静かになった部屋で横になりながら目を閉じた。
色んな事が、いっぺんに起こりすぎて……。
頭がパンクしちゃいそう。
今は何も考えず、とにかく魔力回復に努めよう。
スッと目を閉じると体がより重く感じる。すぐに睡魔が訪れて、私は身体が求めるまま眠りについた。
そういえばと思い出して、布団から顔を出した。
「先生…私……魔法が…発現しました……」
言って良いものかと悩んでたけど、エルナト先生にはちゃんと話したい。
先生はあんなに私の為に良くしてくれた恩人だから…。
「魔法が…、発現?本当ですか!?…それで、どのような魔法でしたか!?」
今までの冷静な態度とは一気に変わった。
やっぱり気になるよね。
先生はずっとずっと気にしてくれて、何とか私の魔法を引き出そうとしてくれてたから。
「それが……」
「はい!何でしょう!?」
魔法馬鹿のエルナト先生は、興奮気味で前のめりになりながら待ってる。
この人って、ホント魔法に対するの探究心半端ないね…。
「私の魔法は……、魔法の…無力化でした…」
「…?魔法の…無力化?」
「はい。放たれた魔法を、全て消してしまう魔法です」
「─!!」
エルナト先生は口元を押さえたまま、固まってしまった。
タウリも隣で一緒に聞いてて驚いてる。
「魔法を…全て消す…、魔法?初めて聞きますが、それは……魔法使いにとって、とても恐ろしい力です…」
あのエルナト先生の驚愕の表情。
たぶん今、頭をフル回転して必死にこの魔法について考えてるんだろうなぁ。
「……いやはや、本当ですな。ワシみたいな騎士や剣士にとって、魔法使いはかなり厄介な相手ですぞ。その相手から魔法を取り上げてしまえば…赤子も同然ですからな」
意外と冷静に分析してたタウリの言葉に、私もベッドに横になりながら考えさせられた。
確かに…。
力の強いモンスターとかなら魔法が無くても力技でねじ伏せられるけど。
ただの魔法使いなら、魔法に頼りきりでそれを奪われちゃえば後は簡単だよね…。
鍛えてる魔法騎士とかじゃない限り、勝負はすぐに着ちゃうからね。
「ミラさん!」
「は、はいっ!?」
「まずは、おめでとうございます」
「はっ?あ…はい、ありがとうございます!」
少し動かせるようになった体を起こして、さっきみたいにベッドへ座り直した。
エルナト先生は自分を落ち着かせるように立ち上がって、ベッドの側にある窓から外を見てる。
「……やはり発現していたのですね。あなたの症状が魔力の枯渇状態によく似ていたので、もしや…とは思っておりました。しかし…、恐ろしくも素晴らしい力です」
あっ、確かに!あのときは発現したばかりなのに、かなり魔法を連発してたと思う。
そうしないと、どうしようもないくらい危機的状況だったから。
「本来なら今すぐ貴方の魔法を確認したいのですが…。今は、魔力が回復するまで待ちましょう。魔力枯渇は非常に危険です」
「…はい。すみません、先生」
「そうですぞ。無理はいけませんぞ!お嬢は自分を蔑ろにしすぎですぞ!今は何も考えず、休むことが優先ですぞ!!」
ベッドの端に居たタウリも起き上がって、腰に手を当てて私を叱咤してる。
タウリの言うことは正論だよね。さすがに人生経験豊富な冒険者だよ。
「うん。わかったよ、タウリ。とりあえず私の魔法の事はココだけの秘密にしてね」
「わかっておりますぞ。口が裂けてもいいませんぞ!」
ドンッと胸に拳を当てニカッと笑うタウリに、私も自然と笑った。
「タウリ卿の言うとおりです。とにかく今は休みましょう。ストックしていたポーション類も使ってしまったようですから、貴女の持つ魔力回復力に頼るしかありません」
私の回復薬が置いてあった棚を見てエルナト先生が話す。
今回のスタンピードで回収してたポーション類は全部無くなった。
またダンジョン巡りしないとなぁ…。
でも今は全然行く気になれないや。
「先生…タウリ…。疲れたから少し休みます」
言いながら、またもぞもぞベッドに潜り込んだ。
さすがにまだダメだ。
色んなことがありすぎてキャパオーバーになってる。
「わかりました。病み上がりなのに長くお暇してしまい申し訳ございませんでした…ゆっくりお休み下さい」
「そうですぞ!今はまだ休息が必要ですからなっ」
「えぇ、また明日…様子を見に参ります」
「すみません…ありがとうございます」
ベッドから顔を出して帰ってく2人を見送った。
パタン…と閉まる扉を見てから、静かになった部屋で横になりながら目を閉じた。
色んな事が、いっぺんに起こりすぎて……。
頭がパンクしちゃいそう。
今は何も考えず、とにかく魔力回復に努めよう。
スッと目を閉じると体がより重く感じる。すぐに睡魔が訪れて、私は身体が求めるまま眠りについた。
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