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子供編 14
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しばらく話に花を咲かせてると、椅子に座ってお淑やかにしていたマイアが急にもじもじと落ち着きがなくなってくる。
そんな姿も美少女だからとても可愛い!
そして私は何となくその先のセリフがわかってしまった。
「ミラに一番に言いたかった事があるのだけど…」
「ん~?どうしたの?」
「実は私…その…魔法が発現したみたいなの……」
魔法が発現するタイミングは人それぞれで、だいたいは成人前に発現する。
だけど、大人になってから発現するケースも稀にある。エルナト先生みたいにね。
「えぇ!やったね、マイア!スゴいじゃん!おめでとう~!!」
わかっていてもやっぱり嬉しい。
私は椅子から立ち上がってマイアに側に駆け寄って、手を取ってぴょんぴょん跳ねて喜びを表した。
「ありがとうミラ!もう無理かと思っていたけど、ミラが励ましてくれたおかげで諦めなかったのよ」
マイアも立ち上がって私の手をぎゅっと握って、笑顔を見せてくれる。
女神のような美しい微笑みに胸がキュンとときめいちゃう。
う~ん美少女の笑顔って破壊力満点…同性でもクラっときちゃうね。
マイアとは会えない分、定期的に手紙のやり取りをしてた。
「ううん、マイアの努力のおかげだよ!本当に良かったね!これで魔法アカデミアに通えるね!」
実はマイアはこのゲームのメインサブキャラ。
要するに乙ゲーで言うとこの悪役令嬢役だった。
「えぇ、ありがとう。嬉しくて…これでルリオン様と同期でアカデミアに入学出来るわ」
確か恋敵系の女の子キャラはもう一人いたけど、マイアが容姿も戦闘能力もピカイチだった。
「良かった…本当に、良かったよ…」
「ごめんなさい。ミラが残念だったのに…」
「ははっ、それはもう仕方ないよ。今は他のことで手一杯だから気にしないでね」
本来なら皇太子殿下の婚約者になって、悪役令嬢役真っ只中のマイアだったのだ。
だけど、私が幼い頃から長い年月をかけてマイアをずっと説得してた。
家門の為、親の為…それで貴女は幸せなの?自分の幸せはそれでいいの?まだまだ時間はあるから、自分の心に聞いてみてと。
ゲームでは語られてないけど、元々マイアはヒーローでこの帝国唯一の皇子であるレグルス・トゥバン・アステリオン皇太子殿下…この皇太子の補佐役で将来の宰相になる公爵家の嫡男ルリオン・デュ・アンキロス。
そう、このルリオン様に淡い恋心を抱いていたから。
それはゲームでも出てて、レグルス様の隣にいるルリオン様を切ない瞳で見てる場面もあった。
「ミラ…色々ありがとう。全て貴女の助言のおかげよ」
「な~に言ってんの?最終的に決めたのはマイアでしょ?」
お互い顔を見合わせてまた笑う。
こうして周りからどんどんストーリーを壊していくんだ。
「私、ルリオン様とお近づきになって、必ず振り向かせてみせるわ!」
グッと握り拳を握るマイアは、少なからず私の影響を受けてるのかな?
ルリオン様も身分的には問題ないからエウロパおじさまにお願いしたらって言ったのに、絶対自分で振り向かせるって意気込んでた。うんうん、恋する女の子は強いね!
微笑ましくてパチパチ拍手する。
「うん!その粋だよマイア!絶っ対大丈夫だからね!!」
「えぇ、頑張るわ!」
「ねぇねぇ、もっと発現したときの話、詳しく聞かせてよ!」
「ふふっ、もちろんよ」
この後も私達の話は尽きる事がなかった。
◇
◇
私が記憶を取り戻した理由。
そしてなぜこの世界がゲームの世界なのか気づいたのは、このマイアと出会った事から始まる。
あれは6歳の時。
彼女に初めてあった時、あれ?このすっごく可愛い女の子どこかでみたことあるな~って考えた。
そのモヤモヤが消えなくて、遊んでる間中ずっと考えて……ようやく思い出したのだ。(実物の方がゲームのアニメCGより何倍も可愛かったから思い出すのに時間がかかった。)
その瞬間記憶の情報量がキャパオーバーしてバタンキュー。
しばらく熱を出して寝込んだけど、状況を把握した私は飛び上がって歓喜した。
異世界転生キタァーーー!!と叫びまくり、自分の足で動けることに感動して泣きまくった。
自分の体なのに実感が無くて、床に座りながら足を触ったり足先がちゃんと動くかくすぐったりしてた…。
それから立ち上がって歩けることが嬉しくて、意味もなく笑いながら走り回って、周りからはしばらく熱で狂ったと憐れな目で見られてたね。
だけどその後一転して部屋に閉じこもり、ある事を思い出して暴れたり泣いたりで喜怒哀楽が激しくて手がつけられないくらい大変だった。
しばらくして落ち着いてから、私はとりあえず最初に覚えている事全て紙に書き出した。
冷静になって書き終えた後、一番に考えたのがまず強くなる事だった。
2番目に莫大な資金を得る事、3番目に何でもいいから揺るぎない地位を確立する事。
諸刃の剣にも成りかねないけど、無いよりはあったほうがいいからね。できる限り保険をかけておかないと守りきれないかもしないし。
3日くらい引きこもって、これからの計画も順に紙に書き留めて、その後に思い出したことも補足するように紙に付け加えた。
時間が経てば記憶も薄れてしまうだろうから。
別に異世界で贅沢する為じゃない。
私がこのゲームにハマったのは、なにも内容やキャラが好きだっていう理由だけじゃなんだ。
このミティスト【meteor stream ~星たちの行方~】に出てくる一人の人物にとっても思い入れがあるから…。
その人の名前は、アルファルド・ロー・ドラコニス。
しばらく話に花を咲かせてると、椅子に座ってお淑やかにしていたマイアが急にもじもじと落ち着きがなくなってくる。
そんな姿も美少女だからとても可愛い!
そして私は何となくその先のセリフがわかってしまった。
「ミラに一番に言いたかった事があるのだけど…」
「ん~?どうしたの?」
「実は私…その…魔法が発現したみたいなの……」
魔法が発現するタイミングは人それぞれで、だいたいは成人前に発現する。
だけど、大人になってから発現するケースも稀にある。エルナト先生みたいにね。
「えぇ!やったね、マイア!スゴいじゃん!おめでとう~!!」
わかっていてもやっぱり嬉しい。
私は椅子から立ち上がってマイアに側に駆け寄って、手を取ってぴょんぴょん跳ねて喜びを表した。
「ありがとうミラ!もう無理かと思っていたけど、ミラが励ましてくれたおかげで諦めなかったのよ」
マイアも立ち上がって私の手をぎゅっと握って、笑顔を見せてくれる。
女神のような美しい微笑みに胸がキュンとときめいちゃう。
う~ん美少女の笑顔って破壊力満点…同性でもクラっときちゃうね。
マイアとは会えない分、定期的に手紙のやり取りをしてた。
「ううん、マイアの努力のおかげだよ!本当に良かったね!これで魔法アカデミアに通えるね!」
実はマイアはこのゲームのメインサブキャラ。
要するに乙ゲーで言うとこの悪役令嬢役だった。
「えぇ、ありがとう。嬉しくて…これでルリオン様と同期でアカデミアに入学出来るわ」
確か恋敵系の女の子キャラはもう一人いたけど、マイアが容姿も戦闘能力もピカイチだった。
「良かった…本当に、良かったよ…」
「ごめんなさい。ミラが残念だったのに…」
「ははっ、それはもう仕方ないよ。今は他のことで手一杯だから気にしないでね」
本来なら皇太子殿下の婚約者になって、悪役令嬢役真っ只中のマイアだったのだ。
だけど、私が幼い頃から長い年月をかけてマイアをずっと説得してた。
家門の為、親の為…それで貴女は幸せなの?自分の幸せはそれでいいの?まだまだ時間はあるから、自分の心に聞いてみてと。
ゲームでは語られてないけど、元々マイアはヒーローでこの帝国唯一の皇子であるレグルス・トゥバン・アステリオン皇太子殿下…この皇太子の補佐役で将来の宰相になる公爵家の嫡男ルリオン・デュ・アンキロス。
そう、このルリオン様に淡い恋心を抱いていたから。
それはゲームでも出てて、レグルス様の隣にいるルリオン様を切ない瞳で見てる場面もあった。
「ミラ…色々ありがとう。全て貴女の助言のおかげよ」
「な~に言ってんの?最終的に決めたのはマイアでしょ?」
お互い顔を見合わせてまた笑う。
こうして周りからどんどんストーリーを壊していくんだ。
「私、ルリオン様とお近づきになって、必ず振り向かせてみせるわ!」
グッと握り拳を握るマイアは、少なからず私の影響を受けてるのかな?
ルリオン様も身分的には問題ないからエウロパおじさまにお願いしたらって言ったのに、絶対自分で振り向かせるって意気込んでた。うんうん、恋する女の子は強いね!
微笑ましくてパチパチ拍手する。
「うん!その粋だよマイア!絶っ対大丈夫だからね!!」
「えぇ、頑張るわ!」
「ねぇねぇ、もっと発現したときの話、詳しく聞かせてよ!」
「ふふっ、もちろんよ」
この後も私達の話は尽きる事がなかった。
◇
◇
私が記憶を取り戻した理由。
そしてなぜこの世界がゲームの世界なのか気づいたのは、このマイアと出会った事から始まる。
あれは6歳の時。
彼女に初めてあった時、あれ?このすっごく可愛い女の子どこかでみたことあるな~って考えた。
そのモヤモヤが消えなくて、遊んでる間中ずっと考えて……ようやく思い出したのだ。(実物の方がゲームのアニメCGより何倍も可愛かったから思い出すのに時間がかかった。)
その瞬間記憶の情報量がキャパオーバーしてバタンキュー。
しばらく熱を出して寝込んだけど、状況を把握した私は飛び上がって歓喜した。
異世界転生キタァーーー!!と叫びまくり、自分の足で動けることに感動して泣きまくった。
自分の体なのに実感が無くて、床に座りながら足を触ったり足先がちゃんと動くかくすぐったりしてた…。
それから立ち上がって歩けることが嬉しくて、意味もなく笑いながら走り回って、周りからはしばらく熱で狂ったと憐れな目で見られてたね。
だけどその後一転して部屋に閉じこもり、ある事を思い出して暴れたり泣いたりで喜怒哀楽が激しくて手がつけられないくらい大変だった。
しばらくして落ち着いてから、私はとりあえず最初に覚えている事全て紙に書き出した。
冷静になって書き終えた後、一番に考えたのがまず強くなる事だった。
2番目に莫大な資金を得る事、3番目に何でもいいから揺るぎない地位を確立する事。
諸刃の剣にも成りかねないけど、無いよりはあったほうがいいからね。できる限り保険をかけておかないと守りきれないかもしないし。
3日くらい引きこもって、これからの計画も順に紙に書き留めて、その後に思い出したことも補足するように紙に付け加えた。
時間が経てば記憶も薄れてしまうだろうから。
別に異世界で贅沢する為じゃない。
私がこのゲームにハマったのは、なにも内容やキャラが好きだっていう理由だけじゃなんだ。
このミティスト【meteor stream ~星たちの行方~】に出てくる一人の人物にとっても思い入れがあるから…。
その人の名前は、アルファルド・ロー・ドラコニス。
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