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子供編 回想1
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9歳の頃に戻る。
商品開発の合間にタウリから手ほどきを受け、そして……エルナト先生には密かに魔法の使い方について学んでた。
そう…あの日、エルナト先生がいなくなってから一年以上過ぎたある日。
突然前触れもなく私の前に現れた。
「ミラさん…お久しぶりです」
多忙過ぎる日々に疲れを感じ、裏庭の草原で寝転がって休んでた。
「えっ!先生ぇ!?」
声に気付いてがばっとその場に起き上がった。木の繁み辺りから突然現れたエルナト先生を見た。
「本当に、エルナト先生だ…」
急だったけど久々の先生に嬉しくなって、立ち上がって先生に駆け寄ろうとしたらタウリに止められた。
気配を消して現れたエルナト先生に、タウリが剣を構える。
「エルナト殿、些か急であろう…」
「やめてっ!タウリ!」
広い背の後ろから私はタウリを諌める。
離れた場所にいたエルナト先生は、疲れた顔をしてたけど気にしてない様子だった。
「いいのです、私が先触れも出さずに来てしまったのですから…」
力なくニコリと笑うエルナト先生は、少し痩せたように思うけど以前と変わらない笑顔だった。
「先生、ずっとずっと待ってたんですよ。手紙も来なくなって…心配してました」
剣を下ろすようタウリにお願いして、私はエルナト先生に駆け寄った。
「しばらく見ない間に、大きくなりましたね」
以前のように頭を撫でてくれる。懐かしいその感触に思わず先生の腰に抱きついた。
「先生ぇ~~」
「おやおや、成長したのは身長だけのようですねぇ」
グスッと鼻をすすってると、エルナト先生はクスクス笑った。
「今日は訳あってお忍びでやってきました。……ミラさんと約束していた件についてです」
あ……。
その言葉に、心臓がドクンと跳ねる。
半ば諦めていた。ううん、諦めなくちゃいけないって言い聞かせてた。
認めたくなくて…エルナト先生が何とかしてくれるからって、それまでは考えないようにしてた。
「せ、んせ…」
知らないうちに緊張で手が震えてた。
それを察したエルナト先生はしゃがんで目線を合わせて、優しくにこり微笑んでくれた。
「とりあえず座りましょう。タウリ卿、申し訳ございませんが、しばらく二人きりにして下さいませんか?」
「…それはできませんぞ」
「タウリ、お願いっ!!」
「しかし…」
聞きたくないけど気になって、先生の様子がいつもと違うせいか余計に早く聞きたかった。
「お願いお願い!私の一生を左右する問題なの!だからお願いっ!!」
「はぁ……仕方ありませんな…間合いギリギリには入っていてもらいますぞ」
必死な私の様子にタウリが仕方なく折れてくれた。
二人で誰もいない離れた場所に移動して、木陰に腰を降ろした。
「さて…まずは大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。長い間不安だったことでしょう……」
謝罪から始まったエルナト先生の話。
私の気持ちを汲んでくれているのか、謝罪の気持ちが声の感じからも伝わってきた。
「…実家の書庫で過去の文献を全て探したのですが、やはり…ミラさんのような事例は見つかりませんでした……」
隣に座って暗い表情をしているエルナト先生。
何となく予感はしていたし覚悟もしてた。
「そこで私は様々な伝を使い、魔法アカデミアの図書を調べました」
「……はい?」
確かにエルナト先生は元々アカデミアの卒業生。主席で卒業する程優秀な生徒だった。
だからこそ、うちの父がエルナト先生をスカウトして私の家庭教師にしてくれたのだ。
「図書室の本だけでしたら、在学中にほぼ読み終えていたのですが、一部読めなかった本があるのです」
真剣な顔で話すエルナト先生。
真っ直ぐ前を見て話している先生は、不安に揺れているようにも見える。
「それって…」
「禁書です。アカデミアの学長だけが入れる秘密の部屋にあります。もちろん魔法で幾重にも封じてありました」
ありましたって、過去形なのが怖い…。
まさか不法侵入してないよね?犯罪には手を染めないでね!
***********************************
いつも読んで頂きありがとうございます!
作品情報少し変えました。よろしくお願いします。
9歳の頃に戻る。
商品開発の合間にタウリから手ほどきを受け、そして……エルナト先生には密かに魔法の使い方について学んでた。
そう…あの日、エルナト先生がいなくなってから一年以上過ぎたある日。
突然前触れもなく私の前に現れた。
「ミラさん…お久しぶりです」
多忙過ぎる日々に疲れを感じ、裏庭の草原で寝転がって休んでた。
「えっ!先生ぇ!?」
声に気付いてがばっとその場に起き上がった。木の繁み辺りから突然現れたエルナト先生を見た。
「本当に、エルナト先生だ…」
急だったけど久々の先生に嬉しくなって、立ち上がって先生に駆け寄ろうとしたらタウリに止められた。
気配を消して現れたエルナト先生に、タウリが剣を構える。
「エルナト殿、些か急であろう…」
「やめてっ!タウリ!」
広い背の後ろから私はタウリを諌める。
離れた場所にいたエルナト先生は、疲れた顔をしてたけど気にしてない様子だった。
「いいのです、私が先触れも出さずに来てしまったのですから…」
力なくニコリと笑うエルナト先生は、少し痩せたように思うけど以前と変わらない笑顔だった。
「先生、ずっとずっと待ってたんですよ。手紙も来なくなって…心配してました」
剣を下ろすようタウリにお願いして、私はエルナト先生に駆け寄った。
「しばらく見ない間に、大きくなりましたね」
以前のように頭を撫でてくれる。懐かしいその感触に思わず先生の腰に抱きついた。
「先生ぇ~~」
「おやおや、成長したのは身長だけのようですねぇ」
グスッと鼻をすすってると、エルナト先生はクスクス笑った。
「今日は訳あってお忍びでやってきました。……ミラさんと約束していた件についてです」
あ……。
その言葉に、心臓がドクンと跳ねる。
半ば諦めていた。ううん、諦めなくちゃいけないって言い聞かせてた。
認めたくなくて…エルナト先生が何とかしてくれるからって、それまでは考えないようにしてた。
「せ、んせ…」
知らないうちに緊張で手が震えてた。
それを察したエルナト先生はしゃがんで目線を合わせて、優しくにこり微笑んでくれた。
「とりあえず座りましょう。タウリ卿、申し訳ございませんが、しばらく二人きりにして下さいませんか?」
「…それはできませんぞ」
「タウリ、お願いっ!!」
「しかし…」
聞きたくないけど気になって、先生の様子がいつもと違うせいか余計に早く聞きたかった。
「お願いお願い!私の一生を左右する問題なの!だからお願いっ!!」
「はぁ……仕方ありませんな…間合いギリギリには入っていてもらいますぞ」
必死な私の様子にタウリが仕方なく折れてくれた。
二人で誰もいない離れた場所に移動して、木陰に腰を降ろした。
「さて…まずは大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。長い間不安だったことでしょう……」
謝罪から始まったエルナト先生の話。
私の気持ちを汲んでくれているのか、謝罪の気持ちが声の感じからも伝わってきた。
「…実家の書庫で過去の文献を全て探したのですが、やはり…ミラさんのような事例は見つかりませんでした……」
隣に座って暗い表情をしているエルナト先生。
何となく予感はしていたし覚悟もしてた。
「そこで私は様々な伝を使い、魔法アカデミアの図書を調べました」
「……はい?」
確かにエルナト先生は元々アカデミアの卒業生。主席で卒業する程優秀な生徒だった。
だからこそ、うちの父がエルナト先生をスカウトして私の家庭教師にしてくれたのだ。
「図書室の本だけでしたら、在学中にほぼ読み終えていたのですが、一部読めなかった本があるのです」
真剣な顔で話すエルナト先生。
真っ直ぐ前を見て話している先生は、不安に揺れているようにも見える。
「それって…」
「禁書です。アカデミアの学長だけが入れる秘密の部屋にあります。もちろん魔法で幾重にも封じてありました」
ありましたって、過去形なのが怖い…。
まさか不法侵入してないよね?犯罪には手を染めないでね!
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いつも読んで頂きありがとうございます!
作品情報少し変えました。よろしくお願いします。
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