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子供編 3
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プレアデス帝国とは遥か昔、ロストアイテム(失われた魔道具)の製造していた唯一の国だった。
その昔、プレアデス人には不思議な力があった。
それは高純度の宝石に魔法を込める技術。
これは魔法付与の分類に入ると思うけど、ここではプレアデス人にしか出来ない秘術だった。
魔石なども存在しない事から、この秘術を使いプレアデス帝国は飛躍的に繁栄していったみたい。
「先生、どうしてプレアデス帝国は無くなっちゃったんですか?すっごく大きかったのに……」
「うむ……これに関しては諸説ありまして、一番有力なのは神の怒りに触れた、という説ですね」
「神の怒り?」
不思議そうに顔を傾ける私に、エルナト先生は深緑色の本をパタリと閉じ手に持つと、ゆっくりと日の当たる窓際に移動する。
「その昔、プレアデス帝国の若き皇帝プロメテオスは、封印されていた禁断の魔法を使ったそうです……その魔法は特定されていませんが、帝国全土を飲み込むほどの強大な闇魔法だったとか。その事実を知った神は怒りを露わにし、後に神聖な裁きを受け…一夜にして消えたという説です」
本を片手に携え窓の外を見ているエルナト先生の背中を眺めながら、その当時を想像し椅子に座りながら背筋を震わせゴクリと唾を飲み込む。
「そんなの…こわい…」
「えぇ、この説が事実ならば恐ろしいですね。権力欲に眩んだ愚かな者の末路です。罪なき人々まで巻き込んでしまった…」
振り返ったエルナト先生はニコリと笑う。
その笑顔もなんだか怖かった。
「先生…その闇魔法って、どんなものだったんですか?」
「…この説を唱えている古文書では…多くの生命を犠牲にし、自らを神に近しい存在まで引き上げる禁術であったのでは…と記されています」
なるほど、そりゃ神様も怒るよ。自らの子供に裏切られたような感じだったんだろうなぁ。
窓際にいたエルナト先生がこちらに向かいながら、神妙な顔付きで付け加える。
「…まぁ、真実は誰にもわかりません。生き残った者は誰もいないのですから…」
プレアデス帝国についてゲームでの説明はほぼなかった。ロストアイテムがここで造られていたってこと以外は。
公式サイトや攻略サイトでも細かい設定は説明されなかったけど、実際の現実世界ではこんなふうになっている。
私はエルナト先生の話を聞きながらワクワクしてくる。
やっぱり旧世界の話は面白いな~!ますます早く魔法を使ってみたい!
「それでは今日の授業はここまでにしましょう。明日からは実技に入ろうと思います」
沢山の教材を紐で一纏めにしたエルナト先生が、去り際に私に向かって爽やかに微笑む。
「え?えぇ?!や、やったぁ~!先生ありがとう!!」
椅子から飛び降りて駆け出し、扉近くにいた先生にたまらず近づいた。
まだ身長が足りないから腰回りにしか届かないが、嬉しくて構わずに抱きつく。
あぁ~…嬉しい上に幸せ過ぎ~。
「ふふっ、ミラさん。淑女のする事ではないですよ?」
「気にしないもん!先生嬉しいっ、楽しみにしてるから!」
キャッキャッと無邪気に喜んでいる私の頭をエルナト先生はよしよしと撫でてくれる。
美男子のナデナデは最高のご褒美!子供に生まれ変わって良かった~。
こんな不謹慎なこと考えてるなんてエルナト先生は知らないよね。
中身は薄汚れた大人なのに申し訳ないな…。
「あまり興奮すると万全の体調で挑めなくなりますからね。この短期間で実技に移れるのも、ひとえに貴女が優秀だからですよ」
私が優秀だと褒めてくれるエルナト先生は、私のお兄さん的存在。
そんな彼に褒められることは最高に嬉しい。
「ぜんぶ先生のおかげです!」
笑顔全開で見上げた私に、エルナト先生は顔を赤くして手で口元を覆う。エルナト先生の照れ隠しだ。
キュンと胸に矢が突き刺さる。
はぁぁ…今日は先生萌えのオンパレードだね!カメラが無いから日記に書いておこう!
コホンと咳払いし、屈んでそっと私を引き剥がす。
「では今夜は早めに休んで明日に備えて下さいね」
「は~い!先生、今日もありがとうございました!」
元気にいっぱいに返事をし、扉の向こうに去っていくエルナト先生を見送った。
エルナト先生と入れ替わるように、扉を開けて侍女のララが入ってくる。
手には美味しそうなお菓子とお茶がお盆に乗っていた。
「お嬢様、お疲れ様でした。お茶をお持ちしましたから休憩に致しましょう」
「わ~い、ララ。ありがとう!」
ご機嫌な私は鼻歌交じりに席に着く。その様子にララもニコニコと嬉しそうにしている。
「エルナト様は毎回、お嬢様はとても優秀で神童だと褒めて下さってますよ。ララはとても誇りに思います」
お菓子を夢中で食べている私の後ろで控えていたララは、自分の事のように喜んでくれる。
「ありがとうララ!お父様やお母様も褒めてくれるかな?」
「それはもちろんですよ!奥様や旦那様もお嬢様の才能にとても喜んでおられます」
鼻息を荒くしながら意気揚々と話すララにクスッと笑ってしまう。
プレアデス帝国とは遥か昔、ロストアイテム(失われた魔道具)の製造していた唯一の国だった。
その昔、プレアデス人には不思議な力があった。
それは高純度の宝石に魔法を込める技術。
これは魔法付与の分類に入ると思うけど、ここではプレアデス人にしか出来ない秘術だった。
魔石なども存在しない事から、この秘術を使いプレアデス帝国は飛躍的に繁栄していったみたい。
「先生、どうしてプレアデス帝国は無くなっちゃったんですか?すっごく大きかったのに……」
「うむ……これに関しては諸説ありまして、一番有力なのは神の怒りに触れた、という説ですね」
「神の怒り?」
不思議そうに顔を傾ける私に、エルナト先生は深緑色の本をパタリと閉じ手に持つと、ゆっくりと日の当たる窓際に移動する。
「その昔、プレアデス帝国の若き皇帝プロメテオスは、封印されていた禁断の魔法を使ったそうです……その魔法は特定されていませんが、帝国全土を飲み込むほどの強大な闇魔法だったとか。その事実を知った神は怒りを露わにし、後に神聖な裁きを受け…一夜にして消えたという説です」
本を片手に携え窓の外を見ているエルナト先生の背中を眺めながら、その当時を想像し椅子に座りながら背筋を震わせゴクリと唾を飲み込む。
「そんなの…こわい…」
「えぇ、この説が事実ならば恐ろしいですね。権力欲に眩んだ愚かな者の末路です。罪なき人々まで巻き込んでしまった…」
振り返ったエルナト先生はニコリと笑う。
その笑顔もなんだか怖かった。
「先生…その闇魔法って、どんなものだったんですか?」
「…この説を唱えている古文書では…多くの生命を犠牲にし、自らを神に近しい存在まで引き上げる禁術であったのでは…と記されています」
なるほど、そりゃ神様も怒るよ。自らの子供に裏切られたような感じだったんだろうなぁ。
窓際にいたエルナト先生がこちらに向かいながら、神妙な顔付きで付け加える。
「…まぁ、真実は誰にもわかりません。生き残った者は誰もいないのですから…」
プレアデス帝国についてゲームでの説明はほぼなかった。ロストアイテムがここで造られていたってこと以外は。
公式サイトや攻略サイトでも細かい設定は説明されなかったけど、実際の現実世界ではこんなふうになっている。
私はエルナト先生の話を聞きながらワクワクしてくる。
やっぱり旧世界の話は面白いな~!ますます早く魔法を使ってみたい!
「それでは今日の授業はここまでにしましょう。明日からは実技に入ろうと思います」
沢山の教材を紐で一纏めにしたエルナト先生が、去り際に私に向かって爽やかに微笑む。
「え?えぇ?!や、やったぁ~!先生ありがとう!!」
椅子から飛び降りて駆け出し、扉近くにいた先生にたまらず近づいた。
まだ身長が足りないから腰回りにしか届かないが、嬉しくて構わずに抱きつく。
あぁ~…嬉しい上に幸せ過ぎ~。
「ふふっ、ミラさん。淑女のする事ではないですよ?」
「気にしないもん!先生嬉しいっ、楽しみにしてるから!」
キャッキャッと無邪気に喜んでいる私の頭をエルナト先生はよしよしと撫でてくれる。
美男子のナデナデは最高のご褒美!子供に生まれ変わって良かった~。
こんな不謹慎なこと考えてるなんてエルナト先生は知らないよね。
中身は薄汚れた大人なのに申し訳ないな…。
「あまり興奮すると万全の体調で挑めなくなりますからね。この短期間で実技に移れるのも、ひとえに貴女が優秀だからですよ」
私が優秀だと褒めてくれるエルナト先生は、私のお兄さん的存在。
そんな彼に褒められることは最高に嬉しい。
「ぜんぶ先生のおかげです!」
笑顔全開で見上げた私に、エルナト先生は顔を赤くして手で口元を覆う。エルナト先生の照れ隠しだ。
キュンと胸に矢が突き刺さる。
はぁぁ…今日は先生萌えのオンパレードだね!カメラが無いから日記に書いておこう!
コホンと咳払いし、屈んでそっと私を引き剥がす。
「では今夜は早めに休んで明日に備えて下さいね」
「は~い!先生、今日もありがとうございました!」
元気にいっぱいに返事をし、扉の向こうに去っていくエルナト先生を見送った。
エルナト先生と入れ替わるように、扉を開けて侍女のララが入ってくる。
手には美味しそうなお菓子とお茶がお盆に乗っていた。
「お嬢様、お疲れ様でした。お茶をお持ちしましたから休憩に致しましょう」
「わ~い、ララ。ありがとう!」
ご機嫌な私は鼻歌交じりに席に着く。その様子にララもニコニコと嬉しそうにしている。
「エルナト様は毎回、お嬢様はとても優秀で神童だと褒めて下さってますよ。ララはとても誇りに思います」
お菓子を夢中で食べている私の後ろで控えていたララは、自分の事のように喜んでくれる。
「ありがとうララ!お父様やお母様も褒めてくれるかな?」
「それはもちろんですよ!奥様や旦那様もお嬢様の才能にとても喜んでおられます」
鼻息を荒くしながら意気揚々と話すララにクスッと笑ってしまう。
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