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プロローグ
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どこにいるのかわからないけど、空に浮かんでいるように体がふわふわする。ううん、底の見えない地底に羽のようにゆっくりと落ちていく感じ…。
目は閉じていると思うのに、頭の中には映像のような景色が次々と浮かび上がる。
温かい…でも、濁ったような淀んだ気持ちが流れ込んでくる。
懐かしい……夢……あれはいつの事だろう。
遥か遠く感じるほど淡く……儚い記憶。
ココに来る前、私は地球という星の…日本に住んでいて、最後に覚えている歳は…たぶん20代後半くらいだったと思う。
ハッキリと覚えているのは、2年ほど前に両親と買い物に出かけた先で追突事故に遭い、私は歩けない身体になってしまい…両親は…、そのまま帰らぬ人となった。
だからその当時、叔父夫婦と実家で暮らしてた。
付き合っていた彼氏もいたけど、その事故をキッカケに…連絡が取れなくなって……以降は誰とも付き合うことはなかった。
長い月日を経て本当に…様々な悲しみを乗り越え、ようやくこの人生を受け入れようと前向きに過ごしてたのに…神様は無慈悲だった。
ある日突然2度目の交通事故に遭う。
車椅子で横断歩道を渡っていた時のこと。
青信号で車椅子を押していた。隣には小さな子供がトコトコ歩いていて…突然、物凄い音がしてハッと音の方向に顔を向けた。
すぐ目の前に暴走した車が飛び込み、隣りにいた小さな子供に突っ込んでいく。不思議な事にその時、スローモーションのように周りの景色がコマ送りになる。
自分の体だけ周りの景色より早くスムーズに動いて、轢かれそうな子供を助けようと手が車輪を回して無意識に動いた。
子供を突き飛ばして安心する間もなく、気づいたら目の前にヘッドライトが迫ってて、物凄い衝撃に頭が真っ白になって……そこからはもう記憶は無い。
痛いとかって感じる間もなく、この世を去ったと思う。
それが私が覚えてる、前の私の最期。
そう、私は転生という形でもう一度生を受けた。
ある出来事をきっかけに記憶が蘇った。しかも前世で一番ハマってたゲームの中で!
このゲームは、この世界で唯一光魔法が使える女の子が主人公のRPG。
ただ残念なことにこのゲームは、設定や内容が安直過ぎてキャラもイマイチ、人気が全然なくてすぐに廃盤になってしまった。
確かに、乙女ゲームとRPGを中途半端に足したような曖昧な感じだったから。
まぁ内容は割とスカスカのゆるゲーだったけど、私的にはキャラと内容がとても大好きで、公式サイトや数少ない攻略サイトを見て何度も何度も徹底的にやり込んでいた。
2日ほど徹夜してやり込めばクリアできてしまうくらい簡単なモノだったけどね。
このゲームは【meteor stream(流星群)~星たちの行方~】というタイトルだった。
そのタイトル通り、登場キャラには星にちなんだ名前がついている。
この名前も多分意味なんてほとんどなく、名付けが面倒だから星の名前適当につけましたーみたいなものだった。
そして主人公は、光魔法という稀有なロストマジックの使い手。
基本の設定名はポラリス。
彼女は孤児だった。
本来はとある亡国のお姫様だったんだけど、赤ん坊の時に戦火を逃れて連れてこられた彼女は自分の出自を知らなかった。
修道院で暮らしてたけど、16歳になったある日天啓が下る。そして奇跡の力を得た少女の生活は一変する。
でまあ、何やかんやあってこの後この少女の情報をいち早く秘密裏に掴んだ侯爵家の養女になるのだ。
そして主人公は力の使い方を学ぶ為、サジタリア魔法アカデミアに入学する。何故かこの辺りまではちょっと乙ゲーっぽい。
その他登場人物達の生い立ちや出会いなど大まかだが表現されて、ちょいちょい脇役のエピソードなんかも入ってくる。
女の子向けRPGなので恋愛要素も所々入っていたし、もちろんアカデミアにはライバル的な存在もいた。
で、やっぱりRPGだから戦闘シーンもダンジョンもレベル上げもある。
仲間は魔法アカデミアで選び、パーティのレベルを上げてラスボスと戦う。
このゲームでの魔法は使えるものが少なく、基本属性は火風水土の4つしかない。もちろん補助魔法も能力も存在しない。
しかもこのゲームのキャラ達は、レベルMAXになってもそんなに強くならなかった…。
なのにラスボスはパーティのレベルに合わないほど強くて、最後の戦闘では本っ当に苦戦した。
主人公しか回復魔法が使えなくて頼みのポーションやハイポーションもアイテムドロップは少ないし、とにかく弱いからすぐに死んでしまう。
戦闘もクソみたいで、製作者に何度もいい加減にしてよ!とブチ切れながらセーブしたとこから何度もやり直してようやく倒せた。
最初に倒した時の、あの達成感は今でも忘れられない。
ラストの戦闘が一番時間がかかったと思う。
伝説の剣や防具、レアアイテムをフル装備してやっと倒せるくらいだったから。
そしてストーリー的には皇太子と結ばれ、光魔法を持つ聖女としてハッピーエンド…という典型的なラストを迎えるのだった。
どこにいるのかわからないけど、空に浮かんでいるように体がふわふわする。ううん、底の見えない地底に羽のようにゆっくりと落ちていく感じ…。
目は閉じていると思うのに、頭の中には映像のような景色が次々と浮かび上がる。
温かい…でも、濁ったような淀んだ気持ちが流れ込んでくる。
懐かしい……夢……あれはいつの事だろう。
遥か遠く感じるほど淡く……儚い記憶。
ココに来る前、私は地球という星の…日本に住んでいて、最後に覚えている歳は…たぶん20代後半くらいだったと思う。
ハッキリと覚えているのは、2年ほど前に両親と買い物に出かけた先で追突事故に遭い、私は歩けない身体になってしまい…両親は…、そのまま帰らぬ人となった。
だからその当時、叔父夫婦と実家で暮らしてた。
付き合っていた彼氏もいたけど、その事故をキッカケに…連絡が取れなくなって……以降は誰とも付き合うことはなかった。
長い月日を経て本当に…様々な悲しみを乗り越え、ようやくこの人生を受け入れようと前向きに過ごしてたのに…神様は無慈悲だった。
ある日突然2度目の交通事故に遭う。
車椅子で横断歩道を渡っていた時のこと。
青信号で車椅子を押していた。隣には小さな子供がトコトコ歩いていて…突然、物凄い音がしてハッと音の方向に顔を向けた。
すぐ目の前に暴走した車が飛び込み、隣りにいた小さな子供に突っ込んでいく。不思議な事にその時、スローモーションのように周りの景色がコマ送りになる。
自分の体だけ周りの景色より早くスムーズに動いて、轢かれそうな子供を助けようと手が車輪を回して無意識に動いた。
子供を突き飛ばして安心する間もなく、気づいたら目の前にヘッドライトが迫ってて、物凄い衝撃に頭が真っ白になって……そこからはもう記憶は無い。
痛いとかって感じる間もなく、この世を去ったと思う。
それが私が覚えてる、前の私の最期。
そう、私は転生という形でもう一度生を受けた。
ある出来事をきっかけに記憶が蘇った。しかも前世で一番ハマってたゲームの中で!
このゲームは、この世界で唯一光魔法が使える女の子が主人公のRPG。
ただ残念なことにこのゲームは、設定や内容が安直過ぎてキャラもイマイチ、人気が全然なくてすぐに廃盤になってしまった。
確かに、乙女ゲームとRPGを中途半端に足したような曖昧な感じだったから。
まぁ内容は割とスカスカのゆるゲーだったけど、私的にはキャラと内容がとても大好きで、公式サイトや数少ない攻略サイトを見て何度も何度も徹底的にやり込んでいた。
2日ほど徹夜してやり込めばクリアできてしまうくらい簡単なモノだったけどね。
このゲームは【meteor stream(流星群)~星たちの行方~】というタイトルだった。
そのタイトル通り、登場キャラには星にちなんだ名前がついている。
この名前も多分意味なんてほとんどなく、名付けが面倒だから星の名前適当につけましたーみたいなものだった。
そして主人公は、光魔法という稀有なロストマジックの使い手。
基本の設定名はポラリス。
彼女は孤児だった。
本来はとある亡国のお姫様だったんだけど、赤ん坊の時に戦火を逃れて連れてこられた彼女は自分の出自を知らなかった。
修道院で暮らしてたけど、16歳になったある日天啓が下る。そして奇跡の力を得た少女の生活は一変する。
でまあ、何やかんやあってこの後この少女の情報をいち早く秘密裏に掴んだ侯爵家の養女になるのだ。
そして主人公は力の使い方を学ぶ為、サジタリア魔法アカデミアに入学する。何故かこの辺りまではちょっと乙ゲーっぽい。
その他登場人物達の生い立ちや出会いなど大まかだが表現されて、ちょいちょい脇役のエピソードなんかも入ってくる。
女の子向けRPGなので恋愛要素も所々入っていたし、もちろんアカデミアにはライバル的な存在もいた。
で、やっぱりRPGだから戦闘シーンもダンジョンもレベル上げもある。
仲間は魔法アカデミアで選び、パーティのレベルを上げてラスボスと戦う。
このゲームでの魔法は使えるものが少なく、基本属性は火風水土の4つしかない。もちろん補助魔法も能力も存在しない。
しかもこのゲームのキャラ達は、レベルMAXになってもそんなに強くならなかった…。
なのにラスボスはパーティのレベルに合わないほど強くて、最後の戦闘では本っ当に苦戦した。
主人公しか回復魔法が使えなくて頼みのポーションやハイポーションもアイテムドロップは少ないし、とにかく弱いからすぐに死んでしまう。
戦闘もクソみたいで、製作者に何度もいい加減にしてよ!とブチ切れながらセーブしたとこから何度もやり直してようやく倒せた。
最初に倒した時の、あの達成感は今でも忘れられない。
ラストの戦闘が一番時間がかかったと思う。
伝説の剣や防具、レアアイテムをフル装備してやっと倒せるくらいだったから。
そしてストーリー的には皇太子と結ばれ、光魔法を持つ聖女としてハッピーエンド…という典型的なラストを迎えるのだった。
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