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絶望
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「ヤダッ!やめて!!」
「だまれッ!!」
引っ張った手を掴み、ジムはどんどん中へと入り、置いてあるベッドにアリシアを投げように倒す。
「――アッ!!」
「俺が抱いてやるって言ってるんだぞ!もっと喜べよ。お前みたいな女、誰からも相手にされないだろっ!」
上着を脱いで、ベッドで恐怖に横たわるアリシアにジムが近づいてくる。
「やっ……嫌ッ……嫌ぁッ!!」
体を起こして何とか後ろに後退り、ベッドに乗り上げてきたジムから逃れるように首をふる。
「はははっ、しばらく見ない内に少しはまともになったか?前は色気も何もないつまらん女だったがな。今ならまぁ、我慢すれば抱けるか……」
怖いッ!
気持ち悪いッ!
こんな男に触られると思うだけで、吐きそうなほど激しい嫌悪感に襲われる。
身の毛がよだつとはこういう事をいうのだと、アリシアは実感した。
ジェイデンに触れられても抱かれても、葛藤があるだけでここまで酷い抵抗感はなかった。
そして無情にもベッドの隅に追われ、逃げ場がなくなる。
「やめてッ!気持ち悪いッ!来ないでぇッ!!」
近くにあった枕をジムに向かって投げ、どうにか抵抗する。
ジムの体にそれが当たり、激高したようにアリシアに襲いかかってきた。
「アリシアの分際で、俺が気持ち悪いだとぉッ!!」
ベッドに押し倒され、着ていたお仕着せを無理やり引き裂いていく。ブチブチッとボタンが弾け飛び、エプロンごと中のシャツまで力任せに破いていく。
「嫌ッ!!触らないでっ!!!!」
「うるさいッ!!」
ここでまた平手が走る。
「キャアッ!!」
「騒ぐな!静かにしろっ!!」
中が切れたのか、口の端から血が流れる。
「わ、たしは……もう、あなたとは、関係ない……だから、触らない、でッ!!」
どうにかやめてもらおうと、体を捩って暴れながら抵抗する。
そんなアリシアに痺れを切らし、ジムはアリシアの両手をベッドへ押さえつけた。
締まりの無い顔が近づき、酒臭い息に思わず顔を背けた。体の震えが止まらず、嫌悪感と拒絶感がアリシアの中を渦巻いている。
「何を言ってるんだ?お前はまだ俺の妻だ」
「ッ!?……何、を……」
「あの離縁書はまだ出してない」
「なっ!?」
「安心しろ。お前はまだ、子爵家の人間で、俺の妻だ!」
「――――!!!!」
両手を押さえられていたアリシアは、あまりのショックに抵抗することも忘れ、目を大きく開いた。
「だから夫である俺が何をしようと、お前に拒否権はないぞ!はははっ、良かったな、アリシア!お前はまた子爵家に戻れるんだぞ!感謝しろっ!」
痛みよりも、絶望がアリシアの中に広がった。
目の前が真っ黒に染まる。
うそ…………また、私は……あの地獄のような世界に、戻らなければ、いけないの…………。
忘れていた訳ではない。
ただ、今の生活があまりにも安定していて、自分はもう逃げられたのだと思っていた。
ジムは抵抗しなくなったのをいいことに、ビリビリとお仕着せを破き、アリシアの肌を露出させていく。
胸元が肌蹴られ、お仕着せのスカートから脚を撫で、奥の方へと侵入していく。
アリシアはハッとしてまた暴れるように抵抗する。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪いッ!!
あまりの気持ち悪さに鳥肌が立ち、激しい嫌悪感に涙が出てくる。
「おいっ!暴れるなっ!やっと俺に抱いてもらえるんだ!もっと喜べよっ!!」
なりふり構わずアリシアは抵抗を続けた。それほどジムに触られることが我慢ならなかった。
このままジムに犯されたら、自分はきっと死んでしまうとさえ思った。
「嫌ッ!!離れてぇッ!!」
夫だろうが妻だろうが、無理なものは無理だ。
本気の抵抗にジムも手を焼いている。
「このッ!!」
「ヤダッ!!……誰か、助けてッ!!」
今まで誰かに助けを求めた事などないが……そう思った時、咄嗟にジェイデンの顔が思い浮かんだ。
こんな暴力男とは天と地ほど違う。
好きなわけでもないが、ジェイデンに抱かれる時に、ここまで激しい拒絶感と嫌悪感を感じたことはない。
自分勝手なところはあるが、ジェイデンはアリシアに対し紳士的で、いつも触れてくる手は比べる必要もないほど優しかった。
アリシアはそこで初めて気付く。
関係を強要されていると思っていたアリシアが、いつしかジェイデンに抱かれる事を受け入れていたのだと。
ダメだと思いながら、実際は嫌でも何でもなく、抱かれる事に嫌悪感がないのも、気持ちが良いと思えるのも……ジェイデンに対し、少しでも好意があったのだと気付いた。
「助けてッ!……大公様ッ!!」
思わず表に出た心の声に、自分自身驚いた。
「大、公?大公だと?はっ、お前は馬鹿かっ?そんなやつが来るわけが……!」
そこでバンッ!!と扉が開かれた。
「だまれッ!!」
引っ張った手を掴み、ジムはどんどん中へと入り、置いてあるベッドにアリシアを投げように倒す。
「――アッ!!」
「俺が抱いてやるって言ってるんだぞ!もっと喜べよ。お前みたいな女、誰からも相手にされないだろっ!」
上着を脱いで、ベッドで恐怖に横たわるアリシアにジムが近づいてくる。
「やっ……嫌ッ……嫌ぁッ!!」
体を起こして何とか後ろに後退り、ベッドに乗り上げてきたジムから逃れるように首をふる。
「はははっ、しばらく見ない内に少しはまともになったか?前は色気も何もないつまらん女だったがな。今ならまぁ、我慢すれば抱けるか……」
怖いッ!
気持ち悪いッ!
こんな男に触られると思うだけで、吐きそうなほど激しい嫌悪感に襲われる。
身の毛がよだつとはこういう事をいうのだと、アリシアは実感した。
ジェイデンに触れられても抱かれても、葛藤があるだけでここまで酷い抵抗感はなかった。
そして無情にもベッドの隅に追われ、逃げ場がなくなる。
「やめてッ!気持ち悪いッ!来ないでぇッ!!」
近くにあった枕をジムに向かって投げ、どうにか抵抗する。
ジムの体にそれが当たり、激高したようにアリシアに襲いかかってきた。
「アリシアの分際で、俺が気持ち悪いだとぉッ!!」
ベッドに押し倒され、着ていたお仕着せを無理やり引き裂いていく。ブチブチッとボタンが弾け飛び、エプロンごと中のシャツまで力任せに破いていく。
「嫌ッ!!触らないでっ!!!!」
「うるさいッ!!」
ここでまた平手が走る。
「キャアッ!!」
「騒ぐな!静かにしろっ!!」
中が切れたのか、口の端から血が流れる。
「わ、たしは……もう、あなたとは、関係ない……だから、触らない、でッ!!」
どうにかやめてもらおうと、体を捩って暴れながら抵抗する。
そんなアリシアに痺れを切らし、ジムはアリシアの両手をベッドへ押さえつけた。
締まりの無い顔が近づき、酒臭い息に思わず顔を背けた。体の震えが止まらず、嫌悪感と拒絶感がアリシアの中を渦巻いている。
「何を言ってるんだ?お前はまだ俺の妻だ」
「ッ!?……何、を……」
「あの離縁書はまだ出してない」
「なっ!?」
「安心しろ。お前はまだ、子爵家の人間で、俺の妻だ!」
「――――!!!!」
両手を押さえられていたアリシアは、あまりのショックに抵抗することも忘れ、目を大きく開いた。
「だから夫である俺が何をしようと、お前に拒否権はないぞ!はははっ、良かったな、アリシア!お前はまた子爵家に戻れるんだぞ!感謝しろっ!」
痛みよりも、絶望がアリシアの中に広がった。
目の前が真っ黒に染まる。
うそ…………また、私は……あの地獄のような世界に、戻らなければ、いけないの…………。
忘れていた訳ではない。
ただ、今の生活があまりにも安定していて、自分はもう逃げられたのだと思っていた。
ジムは抵抗しなくなったのをいいことに、ビリビリとお仕着せを破き、アリシアの肌を露出させていく。
胸元が肌蹴られ、お仕着せのスカートから脚を撫で、奥の方へと侵入していく。
アリシアはハッとしてまた暴れるように抵抗する。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪いッ!!
あまりの気持ち悪さに鳥肌が立ち、激しい嫌悪感に涙が出てくる。
「おいっ!暴れるなっ!やっと俺に抱いてもらえるんだ!もっと喜べよっ!!」
なりふり構わずアリシアは抵抗を続けた。それほどジムに触られることが我慢ならなかった。
このままジムに犯されたら、自分はきっと死んでしまうとさえ思った。
「嫌ッ!!離れてぇッ!!」
夫だろうが妻だろうが、無理なものは無理だ。
本気の抵抗にジムも手を焼いている。
「このッ!!」
「ヤダッ!!……誰か、助けてッ!!」
今まで誰かに助けを求めた事などないが……そう思った時、咄嗟にジェイデンの顔が思い浮かんだ。
こんな暴力男とは天と地ほど違う。
好きなわけでもないが、ジェイデンに抱かれる時に、ここまで激しい拒絶感と嫌悪感を感じたことはない。
自分勝手なところはあるが、ジェイデンはアリシアに対し紳士的で、いつも触れてくる手は比べる必要もないほど優しかった。
アリシアはそこで初めて気付く。
関係を強要されていると思っていたアリシアが、いつしかジェイデンに抱かれる事を受け入れていたのだと。
ダメだと思いながら、実際は嫌でも何でもなく、抱かれる事に嫌悪感がないのも、気持ちが良いと思えるのも……ジェイデンに対し、少しでも好意があったのだと気付いた。
「助けてッ!……大公様ッ!!」
思わず表に出た心の声に、自分自身驚いた。
「大、公?大公だと?はっ、お前は馬鹿かっ?そんなやつが来るわけが……!」
そこでバンッ!!と扉が開かれた。
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