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乞う者
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何が起こったのかわからないアリシアは、しゃがんだままジェイデンを見上げていた。
一体、何が起こったの?
ジェイデンの様子は怒っているのか、焦っているのか……アリシアからはよくわからない。
ひとまずアリシアはゆっくりと立ち上がり、俯き加減で無言で息を整えてるジェイデンを眺めた。
「アリシア……さん……」
ポソっと呟かれた言葉は弱々しく、外が静まり返っていなければ聞き取れなかった。
「お願い致します……私を、見捨てないで下さいっ……」
「はい……?」
「アリシアさんお願いです!どこにも行かず、私の側にいて下さいッ!!」
「え……??」
弱々しい口調から一変し、今度はアリシアの手を握りしめ、必死に懇願してきた。
ジェイデンの咄嗟の行動にアリシアはひどく困惑する。
まず話の主旨がわからない。見捨てるも見捨てないも、契約で縛っているのはジェイデンの方だ。
アリシアには疑問符しか浮かばない。
「あ、あの……何のお話ですか?」
アリシアの手を取ったまま、目尻に涙さえ浮かべている。
な、何?本当に、どうしてしまったの??
「私が愚かでした。ですが、貴女を繋ぎ止めておくにはああするしかなかったのですっ!私に挽回する機会を与えて下さいませんか?必ずや貴女の意思で残りたいと思って頂けるよう、最善を尽くしますッ……」
「は、はぁ……?」
アリシアにはさっぱりわからないまま、その日からジェイデンの態度が変わった。
必要な時の以外、アリシアに構う事もしなかったジェイデンが、必要以外の時にもアリシアを呼び出すようになった。
「アリシアさん、こちらへいらして下さい。一緒にお茶でもしましょう!」
「……いえ、仕事中なので結構です」
ローの元へ行く傍ら、ジェイデンは競うようにアリシアを側へ置いた。
アリシアの素っ気ない態度に、ブルーノは相変わらず鋭い視線を投げて来たが、アリシアは気にしなかった。
ジェイデンの身に何が起きたのかわからないが、アリシアがすぐに変わることはなかった。
それともう一つ変わった事がある。
それはアリシアのお務めだ。
「アリシア……アリシアっ」
ベッドでのジェイデンは執拗さに加え、甘さも加わりだした。
「ッ!ぁっ、ぅ……」
すでに一度攻められたアリシアはくたりとベッドで横たわっていたが、ジェイデンはその上に再び覆いかぶさってきた。
「もっと君がほしい……」
「ゃ……」
重なり合う身体に、触れ合う素肌、体温も熱く、掠れるように囁かれる言葉がアリシアの耳元を擽る。
やはりアリシアはこういった触れ合いに慣れず、首を横に振る。
「そんなにも、私が……嫌か?」
「んっ」
「君に、嫌われたくない……」
まるで愛を乞う者のように七色の宝石眼を哀しげに歪め、切なく吐かれる言葉にアリシアは落ち着かなくなる。
違うッ!この人が必要なのは私の身体であって、私じゃないっ!!
アリシアは目を背けるように、キツく瞳を閉じる。
近頃のジェイデンはおかしい。とにかくおかしい。ローに呼ばれた日からジェイデンは変わった。
ローに何を話したのか聞いてみたが、笑うだけで教えてくれなかった。
ジェイデンはアリシアの身体に腕を回し、裸のまま抱き寄せた。
「あっ……」
「アリシア……私の愛しい伴侶。君がいなければ、生きていけないっ」
「──っ!」
抱きしめられていたアリシアの鼓動がドクンと跳ねる。
なんで?私の気持ちなんて関係ないくせに……どうしてこんな事を言うの?
ジェイデンの腕の中でアリシアは複雑な気持ちを抱いた。
一体、何が起こったの?
ジェイデンの様子は怒っているのか、焦っているのか……アリシアからはよくわからない。
ひとまずアリシアはゆっくりと立ち上がり、俯き加減で無言で息を整えてるジェイデンを眺めた。
「アリシア……さん……」
ポソっと呟かれた言葉は弱々しく、外が静まり返っていなければ聞き取れなかった。
「お願い致します……私を、見捨てないで下さいっ……」
「はい……?」
「アリシアさんお願いです!どこにも行かず、私の側にいて下さいッ!!」
「え……??」
弱々しい口調から一変し、今度はアリシアの手を握りしめ、必死に懇願してきた。
ジェイデンの咄嗟の行動にアリシアはひどく困惑する。
まず話の主旨がわからない。見捨てるも見捨てないも、契約で縛っているのはジェイデンの方だ。
アリシアには疑問符しか浮かばない。
「あ、あの……何のお話ですか?」
アリシアの手を取ったまま、目尻に涙さえ浮かべている。
な、何?本当に、どうしてしまったの??
「私が愚かでした。ですが、貴女を繋ぎ止めておくにはああするしかなかったのですっ!私に挽回する機会を与えて下さいませんか?必ずや貴女の意思で残りたいと思って頂けるよう、最善を尽くしますッ……」
「は、はぁ……?」
アリシアにはさっぱりわからないまま、その日からジェイデンの態度が変わった。
必要な時の以外、アリシアに構う事もしなかったジェイデンが、必要以外の時にもアリシアを呼び出すようになった。
「アリシアさん、こちらへいらして下さい。一緒にお茶でもしましょう!」
「……いえ、仕事中なので結構です」
ローの元へ行く傍ら、ジェイデンは競うようにアリシアを側へ置いた。
アリシアの素っ気ない態度に、ブルーノは相変わらず鋭い視線を投げて来たが、アリシアは気にしなかった。
ジェイデンの身に何が起きたのかわからないが、アリシアがすぐに変わることはなかった。
それともう一つ変わった事がある。
それはアリシアのお務めだ。
「アリシア……アリシアっ」
ベッドでのジェイデンは執拗さに加え、甘さも加わりだした。
「ッ!ぁっ、ぅ……」
すでに一度攻められたアリシアはくたりとベッドで横たわっていたが、ジェイデンはその上に再び覆いかぶさってきた。
「もっと君がほしい……」
「ゃ……」
重なり合う身体に、触れ合う素肌、体温も熱く、掠れるように囁かれる言葉がアリシアの耳元を擽る。
やはりアリシアはこういった触れ合いに慣れず、首を横に振る。
「そんなにも、私が……嫌か?」
「んっ」
「君に、嫌われたくない……」
まるで愛を乞う者のように七色の宝石眼を哀しげに歪め、切なく吐かれる言葉にアリシアは落ち着かなくなる。
違うッ!この人が必要なのは私の身体であって、私じゃないっ!!
アリシアは目を背けるように、キツく瞳を閉じる。
近頃のジェイデンはおかしい。とにかくおかしい。ローに呼ばれた日からジェイデンは変わった。
ローに何を話したのか聞いてみたが、笑うだけで教えてくれなかった。
ジェイデンはアリシアの身体に腕を回し、裸のまま抱き寄せた。
「あっ……」
「アリシア……私の愛しい伴侶。君がいなければ、生きていけないっ」
「──っ!」
抱きしめられていたアリシアの鼓動がドクンと跳ねる。
なんで?私の気持ちなんて関係ないくせに……どうしてこんな事を言うの?
ジェイデンの腕の中でアリシアは複雑な気持ちを抱いた。
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