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不思議な出来事
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「あ、んと…、公妃さま」
ここでおずおず手を挙げたのはオクタンだった。
「なんだ? オクタン魔法師団長」
「んと、んと、その…初期ポーション製造は、んと、以前の方法で……?」
オクタンも大公国に来てからずいぶん変わった。オクタンがドラコニス大公国での魔法師団長になって、すっごく努力してくれてる。
ポーション製造もアカデミア時代からずっと作り続けてたからか、率先して魔法使いたちに教えてる。そして今度新たに他国へ公開しようとしてる魔法付与したアイテム。要するに失われた魔道具とは違う、新たなマジックアイテムはオクタンが作ってたりする。ホント、オクタンて努力家だからこれも物凄く大変で……誰でも出来ることじゃないからさ。
それでも何度も挫折と練習して繰り返して、ようやくモノにすることができたんだ!
今じゃ私とオクタンしかできない。
それもあって、オクタンて魔塔でも魔法使いたちに尊敬されてる。
ちなみにアンカが副師団長なんだけど、二人の仲はまだ進展してない。どっちも奥手だから仕方ないんだけどさ。
「あぁ、そのつもりだ。会議終了後、魔塔へ向かうから準備をしておいてくれ」
「んと、はい!」
元気よく返事を返したオクタンが、心なしか嬉しそうに見える。
アカデミア卒業以来、三人でポーション製造することなんてなかったから。正直な話、私たち三人じゃなくても大丈夫なんだろうけど、私も久しぶりに三人でポーション作りたくて急遽思いついた。
「…公妃よ、期待しているぞ。…そして、必ず無傷で戻ってこい」
「もちろんです、陛下。このシリウス、必ずや陛下に功績を捧げると誓いましょう」
「…あぁ。だが、無理だけはするな。お前の無事が何よりの朗報だ」
玉座に座ってるアルファルドに向かって腰を折った私は意気揚々と宣言してるけど、アルファルドは私のことを本気で心配してくれてる。
「っ! ありがたき御言葉。陛下の御心に沿うよう最善を尽くします」
こんな場でもアルファルドはやっぱり私のこと思ってくれてて、思わずじーんとしてうるうるきちゃった。
現段階で私が軍事面においても国の頂点だし、神聖国側の要求だから仕方ないんだけど、アルファルドとしては私を行かせたくないから、苦渋の決断てやつだよね。
う~ん、これは戻ってきたら色々と考え直さないとダメだなぁ……
これでひとまず召集は終わり。
謁見の間から出た私は、外に控えてたサラとメリダを引き連れて歩き出した。
あとはポーション作ったり、私が不在時の根回しを色々したりして、明日には神聖国に要請を受ける話をしないとなぁ。
その傍ら頭をフル回転させて思い付く限りのやらなきゃいけないことをあげていってる。
「おや、アート。難しい顔してるけど、大丈夫かい?」
「あ、リタさん」
公国のお城で侍女長になったリタさんは未だに健在で、ベッテルさんと一緒にお城や使用人の管理をしてくれてる。
「神聖国の方々はどうですか?」
「あぁ、そうだねぇ。とってもお上品で物静かな方々だよ。それでね、不思議なことがあったみたいでさぁ……なんでもベッテルが庭の案内をしてたんだけど、あの聖王さまが散歩の途中で折れて落ちてた花を、一瞬で元通りにして驚いたって言ってたよ」
「落ちた花を?!」
「そうなんだよ」
リタさんの話を聞いてた私は、思わず驚きの声を上げちゃった。
それって光魔法なのかなぁ?
癒しの力は神聖国に集中してるけど、その光魔法でさえ折れた花を元通りにすることなんてできない。
要するに死んだものを生き返らせることができるってこと? それともまた別の魔法なの?
立ち止まって顎に手を当てて考えてたけど、ざっと思考を巡らせただけで思い当たるものはなかった。
「……リタさん、貴重な情報ありがとうございます。あとで確認してみますね」
「いいんだよ。とりあえず、御一行さまはちゃんともてなしとくから、安心しとくれよ」
「えぇ。よろしくお願いします」
リタさんに笑顔を向けて、ひとまずその場から立ち去った。
ここでおずおず手を挙げたのはオクタンだった。
「なんだ? オクタン魔法師団長」
「んと、んと、その…初期ポーション製造は、んと、以前の方法で……?」
オクタンも大公国に来てからずいぶん変わった。オクタンがドラコニス大公国での魔法師団長になって、すっごく努力してくれてる。
ポーション製造もアカデミア時代からずっと作り続けてたからか、率先して魔法使いたちに教えてる。そして今度新たに他国へ公開しようとしてる魔法付与したアイテム。要するに失われた魔道具とは違う、新たなマジックアイテムはオクタンが作ってたりする。ホント、オクタンて努力家だからこれも物凄く大変で……誰でも出来ることじゃないからさ。
それでも何度も挫折と練習して繰り返して、ようやくモノにすることができたんだ!
今じゃ私とオクタンしかできない。
それもあって、オクタンて魔塔でも魔法使いたちに尊敬されてる。
ちなみにアンカが副師団長なんだけど、二人の仲はまだ進展してない。どっちも奥手だから仕方ないんだけどさ。
「あぁ、そのつもりだ。会議終了後、魔塔へ向かうから準備をしておいてくれ」
「んと、はい!」
元気よく返事を返したオクタンが、心なしか嬉しそうに見える。
アカデミア卒業以来、三人でポーション製造することなんてなかったから。正直な話、私たち三人じゃなくても大丈夫なんだろうけど、私も久しぶりに三人でポーション作りたくて急遽思いついた。
「…公妃よ、期待しているぞ。…そして、必ず無傷で戻ってこい」
「もちろんです、陛下。このシリウス、必ずや陛下に功績を捧げると誓いましょう」
「…あぁ。だが、無理だけはするな。お前の無事が何よりの朗報だ」
玉座に座ってるアルファルドに向かって腰を折った私は意気揚々と宣言してるけど、アルファルドは私のことを本気で心配してくれてる。
「っ! ありがたき御言葉。陛下の御心に沿うよう最善を尽くします」
こんな場でもアルファルドはやっぱり私のこと思ってくれてて、思わずじーんとしてうるうるきちゃった。
現段階で私が軍事面においても国の頂点だし、神聖国側の要求だから仕方ないんだけど、アルファルドとしては私を行かせたくないから、苦渋の決断てやつだよね。
う~ん、これは戻ってきたら色々と考え直さないとダメだなぁ……
これでひとまず召集は終わり。
謁見の間から出た私は、外に控えてたサラとメリダを引き連れて歩き出した。
あとはポーション作ったり、私が不在時の根回しを色々したりして、明日には神聖国に要請を受ける話をしないとなぁ。
その傍ら頭をフル回転させて思い付く限りのやらなきゃいけないことをあげていってる。
「おや、アート。難しい顔してるけど、大丈夫かい?」
「あ、リタさん」
公国のお城で侍女長になったリタさんは未だに健在で、ベッテルさんと一緒にお城や使用人の管理をしてくれてる。
「神聖国の方々はどうですか?」
「あぁ、そうだねぇ。とってもお上品で物静かな方々だよ。それでね、不思議なことがあったみたいでさぁ……なんでもベッテルが庭の案内をしてたんだけど、あの聖王さまが散歩の途中で折れて落ちてた花を、一瞬で元通りにして驚いたって言ってたよ」
「落ちた花を?!」
「そうなんだよ」
リタさんの話を聞いてた私は、思わず驚きの声を上げちゃった。
それって光魔法なのかなぁ?
癒しの力は神聖国に集中してるけど、その光魔法でさえ折れた花を元通りにすることなんてできない。
要するに死んだものを生き返らせることができるってこと? それともまた別の魔法なの?
立ち止まって顎に手を当てて考えてたけど、ざっと思考を巡らせただけで思い当たるものはなかった。
「……リタさん、貴重な情報ありがとうございます。あとで確認してみますね」
「いいんだよ。とりあえず、御一行さまはちゃんともてなしとくから、安心しとくれよ」
「えぇ。よろしくお願いします」
リタさんに笑顔を向けて、ひとまずその場から立ち去った。
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