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どうして厄介事ばっか舞い込むかなぁ……
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「で? ジュピター神聖国の聖王聖下はどちらにいらっしゃるんだ?」
「ただいま公王陛下が面会中です」
「アルファルドが?!」
「えぇ。我々では拝顔することも叶わないほど、高貴なお方ですので」
しれっとした感じで淡々と話してるアケルナーが憎らしい!
あの人間嫌いのアルファルドを一人にしちゃダメなんだよ! いくらタウリが側に付いてるからって、タウリだってけっこう適当なんだからねっ!!
「すぐに案内しろッ!」
「仰せのままに……」
苛立ってる私に、腰を折ったアケルナーが丁寧に返事を返してた。
◇◆◇
「失礼する!」
急いで部屋の扉を開けてもらって、足早に貴賓室に入った。中にはアルファルドが応接セットに座ってて、反対側にジュピター神聖国の使節団の面々が座ってる。
「…シリウス公妃」
ぽそっと呟くように呼ばれて、カツカツとアルファルドの前まで歩み寄った。
使節団の人達が私が入って来たのを見て、お互いの顔を見合わせながらざわついてるのが目に入った。
「公王陛下。お待たせしてしまい申し訳ございません」
こうした改まった場所だと、お互いのことを正式な敬称で呼んでる。
公私はしっかり分けないとね。
アルファルドの前で膝をついて挨拶してから、立ち上がってると使節団の一人の男性も同じく立ち上がった。
「お初にお目にかかります。シリウス公妃殿下……、ジュピター神聖国から巡礼の際に立ち寄らせていただきました。わたしはアリオト・ニハル・ジュピター三十三世と申します」
かなり珍しいグリーンシルバーの長いストレートの髪。瞳も同じくグリーンシルバーで、まるですべてを見透かされてるみたいにじっと私を見てる。
白銀の長い神官服に、金地の入った長い帽子を被ってて、神聖な雰囲気がめちゃくちゃ漂ってる。
わかりやすく言えば、ファンタジーに出てくるエルフみたいな感じの繊細な美形さん。
わざわざ立ち上がって挨拶してくれるなんて、礼儀もちゃんとしてるんだ。通訳通さないで帝国語がわかるなんてすごいなぁ。
『ようこそ我が大公国までお出でくださいました。私はシリウス・ロー・ドラコニスです。遠路はるばるお立ち寄りいただき、光栄の限りです』
私も腰を折って挨拶してると、今度は周りの使節団の人達から驚いたような声が上がってる。
「ジュピター神聖国の言葉を、ここまで流暢にお話しになるとは……素晴らしいです」
「まぁ。仕事柄、各国に赴きますので、その度に現地の方を雇うよりは自分で話せた方が楽ですからね。聖下もずいぶん帝国語がお上手ですね」
転生チート的な自動翻訳能力は私になかったから、努力して大まかな国の言葉は覚えたんだ。
現地の通訳の人だけじゃ密談もできないし、重要な場面だとやっぱり自分が言葉を理解できてた方が色々と便利だしね。
立ったままにこりと笑った私に、聖王様がまたジーッと見つめてる。
「――噂に違わず、貴女はとても不思議なお方ですね」
穴が空きそうなくらい私を見てる聖王様。
グリーンシルバーの瞳で見つめられてると、なんだかとっても居心地が悪く感じる。
「ほぅ? 私が不思議だと……」
いきなりこんなこと言われるのも初めてだな。初めて会った人だと、噂と違う、とか本当にあのシリウスなのか、とかはよく言われるけどね。
「えぇ。不思議なことに、貴女の先の未来はまるで読めません」
やっぱり私の目をじっと見てて、話したあとに表情を緩めてた。
私も一瞬目を丸くしたけど、すぐに表情を戻した。
「ハハハッ! それはそうでしょう」
「……と、申しますと?」
聖王様もいきなり笑い出した私に驚いた様子で、やっぱり不思議そうに首を少し傾げてる。
「私の未来は、私が決めます。先を読むことなど、誰にもできません」
キッパリ言い切った私に、聖王様も周りの使節団の人たちも驚いたように瞠目して私を見てた。
「ふふふっ、ずいぶんハッキリと物事を仰られるのですね」
「それが私の信条です。……それより、本題に入りましょう。聖下がわざわざこのような遠方にお立ち寄りになられたのも、最近神聖国で流行っているアレが原因なのではないでしょうか?」
フッと腕組んで笑った私に、聖王様が一瞬表情を曇らせてた。
私の情報網を甘く見ないでほしいなぁ。
これでも商売人だから、大陸全土の情勢まである程度頭に入れてるつもりだし。
「ただいま公王陛下が面会中です」
「アルファルドが?!」
「えぇ。我々では拝顔することも叶わないほど、高貴なお方ですので」
しれっとした感じで淡々と話してるアケルナーが憎らしい!
あの人間嫌いのアルファルドを一人にしちゃダメなんだよ! いくらタウリが側に付いてるからって、タウリだってけっこう適当なんだからねっ!!
「すぐに案内しろッ!」
「仰せのままに……」
苛立ってる私に、腰を折ったアケルナーが丁寧に返事を返してた。
◇◆◇
「失礼する!」
急いで部屋の扉を開けてもらって、足早に貴賓室に入った。中にはアルファルドが応接セットに座ってて、反対側にジュピター神聖国の使節団の面々が座ってる。
「…シリウス公妃」
ぽそっと呟くように呼ばれて、カツカツとアルファルドの前まで歩み寄った。
使節団の人達が私が入って来たのを見て、お互いの顔を見合わせながらざわついてるのが目に入った。
「公王陛下。お待たせしてしまい申し訳ございません」
こうした改まった場所だと、お互いのことを正式な敬称で呼んでる。
公私はしっかり分けないとね。
アルファルドの前で膝をついて挨拶してから、立ち上がってると使節団の一人の男性も同じく立ち上がった。
「お初にお目にかかります。シリウス公妃殿下……、ジュピター神聖国から巡礼の際に立ち寄らせていただきました。わたしはアリオト・ニハル・ジュピター三十三世と申します」
かなり珍しいグリーンシルバーの長いストレートの髪。瞳も同じくグリーンシルバーで、まるですべてを見透かされてるみたいにじっと私を見てる。
白銀の長い神官服に、金地の入った長い帽子を被ってて、神聖な雰囲気がめちゃくちゃ漂ってる。
わかりやすく言えば、ファンタジーに出てくるエルフみたいな感じの繊細な美形さん。
わざわざ立ち上がって挨拶してくれるなんて、礼儀もちゃんとしてるんだ。通訳通さないで帝国語がわかるなんてすごいなぁ。
『ようこそ我が大公国までお出でくださいました。私はシリウス・ロー・ドラコニスです。遠路はるばるお立ち寄りいただき、光栄の限りです』
私も腰を折って挨拶してると、今度は周りの使節団の人達から驚いたような声が上がってる。
「ジュピター神聖国の言葉を、ここまで流暢にお話しになるとは……素晴らしいです」
「まぁ。仕事柄、各国に赴きますので、その度に現地の方を雇うよりは自分で話せた方が楽ですからね。聖下もずいぶん帝国語がお上手ですね」
転生チート的な自動翻訳能力は私になかったから、努力して大まかな国の言葉は覚えたんだ。
現地の通訳の人だけじゃ密談もできないし、重要な場面だとやっぱり自分が言葉を理解できてた方が色々と便利だしね。
立ったままにこりと笑った私に、聖王様がまたジーッと見つめてる。
「――噂に違わず、貴女はとても不思議なお方ですね」
穴が空きそうなくらい私を見てる聖王様。
グリーンシルバーの瞳で見つめられてると、なんだかとっても居心地が悪く感じる。
「ほぅ? 私が不思議だと……」
いきなりこんなこと言われるのも初めてだな。初めて会った人だと、噂と違う、とか本当にあのシリウスなのか、とかはよく言われるけどね。
「えぇ。不思議なことに、貴女の先の未来はまるで読めません」
やっぱり私の目をじっと見てて、話したあとに表情を緩めてた。
私も一瞬目を丸くしたけど、すぐに表情を戻した。
「ハハハッ! それはそうでしょう」
「……と、申しますと?」
聖王様もいきなり笑い出した私に驚いた様子で、やっぱり不思議そうに首を少し傾げてる。
「私の未来は、私が決めます。先を読むことなど、誰にもできません」
キッパリ言い切った私に、聖王様も周りの使節団の人たちも驚いたように瞠目して私を見てた。
「ふふふっ、ずいぶんハッキリと物事を仰られるのですね」
「それが私の信条です。……それより、本題に入りましょう。聖下がわざわざこのような遠方にお立ち寄りになられたのも、最近神聖国で流行っているアレが原因なのではないでしょうか?」
フッと腕組んで笑った私に、聖王様が一瞬表情を曇らせてた。
私の情報網を甘く見ないでほしいなぁ。
これでも商売人だから、大陸全土の情勢まである程度頭に入れてるつもりだし。
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