【R-18】冬来たりなば春遠からじ外伝 〜朝まで愛して……、愛したい!

ウリ坊

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何度でも言ってあげる

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 結婚して一緒に暮らすようになった今でも、たまにこんなふうな姿を見せることがある。
 そんなに不安にさせるようなこと言っちゃったかなぁ?
 アルファルドはやっぱり私を強く抱きしめてて、離そうとしない。
 私はあえて何も言わないで、しばらくそうやってアルファルドの好きにさせてた。

 結構長い時間、私を抱きしめてたアルファルドの腕が不意に緩んだから静かに声をかけた。

「――落ち着いた? アルファルド」
「……」

 でもアルファルドからの返答はなくて……まだ何か思うことがあるみたい。
 
「…わかっている」
「ん?」
「…お前が、動かなければ……この国は、すぐにでも侵略されてしまう……」

 少しずつ自分の気持ちを語っていくアルファルドの話を、私は腕の中で黙って聞いてた。

「…お前は、この国の要だ。…お前のしていることが、すべて国の為だとわかっている……だが、俺は――」

 絞り出すみたいに語られていくアルファルドの本音を聞いて、居ても立ってもいられずに言葉が口をついて出てくる。

「もうっ! やっぱりアルファルドってわかってない! 俺がそんな理由で、こんな大変な思いして国を造ったと思ってるのか?!」

 アルファルドの腕から離れて見上げたまま、不機嫌そうに眉根を寄せて、アルファルドをキッと強い視線を送った。

「…っ、………違わないだろう?」
「ハァ……ったく、なんで何度も言ってるのに、わかってくれないかなぁ……」

 未だに私の思いを勘違いしてるアルファルドに、怒り気味で説得してく。

「いいか。俺はお前が行くなと言えば、神聖国なんて行かない!」
「…! しかし……」
「向こうがどれだけ飛びつくような凄い条件出してきても、脅迫まがいの要求をしてきたとしても、お前が望まないなら無視するだけだ!」
「…それはっ、ダメだろう……?」
「そんなもん、どーでもいいんだよ。俺は別になんにも気にしないし、それで報復されるなら返り討ちにしてやるから」
「…ミラ……」

 アルファルドはちょっと戸惑ったような表情してて、困惑気味に私の名前を呼んでる。

「まだわかんない?」
「……」

 首を傾げてアルファルドに問いかけるけど、アルファルドの表情はそのまま変わらなかった。
 
「俺が世界を救ったのも、国を造ったのも、ぜ~んぶアルファルドの為なんだよ?」

 アルファルドの頬に手を伸ばして、そっと両手を包みこんだ。

「誰の為でもない。俺のすべてがお前の為に存在してる。悩むことも不安になることもない。全部お前の好きにしていいんだ」

 アルファルドは困惑しながらも目を開いて、今度は驚いた顔して私の腰に腕を回してくれてる。

「だからもっと素直になれよ。自分の中で抑えて抱え込むな。お前にそんな顔させたくない」
「…だが」
「俺はお前の口から直接聞きたい! お前から行かないでほしいって言ってほしいんだよ! 国の為に動けって言われるよりも、一緒にいたいから行くなって言われたほうが、俺はずっと嬉しいんだから!!」

 アルファルドはもっともっと自分の思ったことを言っていいんだ。
 その為に面倒な思いして、国の頂点に立ってもらったんだから。
 もちろんアルファルドに文句言うやつを一掃する為ってのもあるけど、全てがアルファルドの思う通りになるようにわざわざ帝国から分断させた。

 ――もうこれ以上、アルファルドの意思を阻害するモノを排除したかったから……

「…行くなと言って……お前は、失望しないのか? …俺は、国王なのに……」
「バッカ! するわけないだろ?! お前が俺と離れたくないなら、他の方法を考える。ただそれだけだ。俺にとって、お前以上に大切なものなんかないっ!」

 ここまで真剣にアルファルドに訴えて、ようやくアルファルドの表情が晴れてきた。
 アルファルドが腰に回してた腕を引き寄せて、見惚れるくらい綺麗な笑顔を見せてくれてる。

「…お前は、変わらない。…相変わらずだ」
「ハハッ、当たり前だろ! 誰だと思ってんだよ!」

 ニッと笑ってた私に、アルファルドの顔が近づいてきてそのまま唇が重なった。

「んっ」

 後頭部にも手が添えられて、舌も入ってきてさらに深く奪われてく。

「んんっ……!」

 私もアルファルドの背中に腕を回して、夢中になってその甘い感触を貪ってた。

 唇は離れたけど、アルファルドの綺麗な顔はすぐ近くにあって、神秘的なオッドアイが私を愛しそうに見つめてる。

「…ミラ、愛してる。…どこにも行くな。俺の側にいてくれ」
「――っ!」

 間近で低く囁かれた言葉が、ダイレクトに私の心に深く刺さった。

「……くそ、やっぱお前ってたち悪いな。これ以上俺を夢中にさせてどうするんだよ。わざとやってんのか?」

 すぐ近くにあるアルファルドの唇をペロッと舐めて、今度は私の方から近づいてキスする。
 しばらく堪能してから唇を離した。

「はぁ…………言っとくけど、離れたくないのは私の方なんだからね。でもアルファルドが神聖国と友好条約結びたそうにしてたから、要求を受け入れようとしただけだし」
「…そう、だったか?」
「うん」

 私が肯定してたらアルファルドは難しい顔して考え込んじゃって、多分無意識に言ってたのかもしれないよね。
 でも、無意識に言ってたってことはやっぱりそれは本音ってことで。
 アルファルドの中で、色々葛藤があるみたいだね。
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