【R-18】冬来たりなば春遠からじ外伝 〜朝まで愛して……、愛したい!

ウリ坊

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予期せぬ訪問者

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 ひとまずアルファルドの機嫌が治ったことを確認して、また手枷を前に出した。

「じゃあ早く行かなきゃいけないし、これ取って一緒に準備しよ?」
「……」

 ベッドに組み敷かれたままアルファルドにお願いしてるのに、アルファルドは私を見下ろしたまま、まだ無言だった。

「えっ……と、アルファルド??」

 アルファルドは無言のままベッドに広がってた鎖を持ち上げてベッドの柱にぐるぐると括り付けちゃってる。
 そうすると自動的に私の手枷も上に巻き込まれて、両手を挙げて拘束されたまま身動きが全然取れない。

「ちょっと、アルファルドってば! これじゃあ動けないよっ!」
「…いい眺めだな」
「っ!」

 中途半端な下着姿に両手まで動かせなくて、恥ずかしい格好でアルファルドに抗議してる。
 さすがに下着が捲れて胸丸出しだし、ガーターベルトの部分だけでショーツは脱がされて何も履いてない状況だし……
 両手をガチャガチャ言わせながらアルファルドに抗議してるのに、アルファルドは私の丸出しの胸に手を伸ばしてる。

「んッ! ……あっ」
「…すぐ、終わる」
「すぐっ……て、あっ、あッ……!」

 近づいたアルファルドにペロッと首筋舐められて身体を触られちゃうと、もうグズグズになって自制が効かなくなる。

 ――まぁ……、私もアルファルドとイチャつくの大好きだから、結局こうやってなし崩しに朝も楽しんでたりする。



 ◇◆◇


 ようやく支度に取りかかった私の部屋の扉から、コンコンと叩く音が聞こえてきた。

「お嬢、入りますぞ」
「あぁ、どうした? タウリ」
 
 一応ノックして入って来たタウリが、ドレッサーの前で支度してる私に近づいてきた。

「実は、他国の使者が謁見を申し込みに来たのですぞ」

 サラとメリダに化粧を整えてもらいながら、タウリの話に耳を傾けてた。

「他国の使者? 急に、なんの用で?」
「それが、自国の王が訪ねて来ているので、是非お嬢……もとい、シリウス公妃にお目にかかりたいと申しているのですぞ」
「ハァ……、またぁ?」

 化粧が終わって立ちあがってから、バッチやらタイピンやらの護身用のマジックアイテムや装飾品を身に着けながら、盛大にため息をついた。
 実はこうした輩は結構多い。
 まぁ、ほとんどが物珍しさだよね~。

 シリウスが帝国と分断して大公国を造ったのは、かなり有名な話になっちゃってるし。
 まだ建国して一年足らずの新設国だから、今のうちにマウント取りたいってやってくる奴らが半分、あとは私を手なづけたいって馬鹿なこと考えて近づいてくる奴らが半分。
 もちろん全部返り討ちにしてる。
 ブラックリスト作って、そういうふざけた国の奴らにはポーション供給を断ってる。アルファ商団の日用品諸々、すべて撤退させるように制裁してるから。
 小さい国だからって舐めてもらったら困る。
 私がアルタイル帝国のロイヤルマスターの地位にいる内は、帝国の全騎士団を私が好きなように動かせるからね。
 ちなみに即席のはずの現皇帝ポルックス公爵は、よほどのことがない限り皇帝の座から降りられなくなった。
 原因はもちろんレグルス様とポラリスのせいなんだけど……お陰で私の任も解かれないし、まだまだアルタイル帝国と絶縁できない状態なんだよねぇ。

「たしか……、ジュピターとかいう国の王らしいですぞ。間違えでなければ、使者殿がそう言ってたような――」
「ジュピタぁー?! って、あのジュピター神聖国の聖王様ってことぉ?!」

 後ろに控えて報告してたタウリを振り返って、唾飛ばす勢いで捲し立てた。
 いや、だってジュピターってたしか……!

「おぉっ! お嬢も知ってる国ですかな?」
「おまっ……! 知ってるも何もジュピターって、南のアンドロメダ神聖国と同じくらいめちゃくちゃ力のある大国なんだよっ!」
「ほぉ、そうなのですな?」

 立ったまま厳つい顔で首を傾げてる呑気なタウリに、げんなりしてくる。
 そうだよね……タウリがそんなこと知ってるわけないよねー。

「ちょっと待てっ! じゃあ今、聖王様は!?」
「ひとまず馬車で待機してもらってますぞ」
「マジかよっ?!」

 今日は視察行くからっていつもの黒軍服戦闘服着ちゃってるし。これから準備するってなるとかなり待たせることになっちゃうからなぁ。
 
「どうしますかな、お嬢」

 せっかくセットしてもらった頭をガリガリ掻きながら、突然の訪問に頭を悩ませる。

「……とりあえず、書簡も無しに訪ねてきたのは向こうだし、本来なら会うことはしないけど……無視できない相手だしね。仕方ないから城内にお招きしてくれ。アルファルドにも伝えてるのか?」
「公王には一番に報せましたぞ」

 おぉ、タウリにしてはやるじゃん。
 真っ先に私のとこに来てたら後でお仕置きしてたよ。

「アルファルドはなんて?」
「お嬢の指示をあおげと」
「ハァ……ッたく、面倒くせぇ。なんでこう、次から次にッ……!」
「お嬢が有名になった時点で、仕方ないのですぞ」

 当たり前みたいに話してるタウリをキッと睨んだ。タウリってたまに鋭いこというからムカつくっ!

「聖王をお通ししたらアルファルドも呼んで、二人で会うって伝えてくれ」
「わかりましたぞ」
「あっ、あとリゲルとアケルナーも護衛として呼んでくれ。部屋の隅で待機するようにって」
「御意」

 そのままタウリは部屋を出ていっちゃった。

「奥様、衣装はどういたしましょう……」
「えぇ。急いでドレスをご用意しましょうか?」

 脇に控えて話を聞いてたサラとメリダが近くに寄ってきて、心配そうに声をかけてきてる。

「――いや、この格好で十分だ。私に用事があるってことは、普通の謁見じゃないだろうしね」

 黒帽子を頭に被って、念の為、腰のベルトにデュランダルを装着してから部屋を出た。
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