【R18】ルーシェの苦悩 ~貧乏男爵令嬢は乙女ゲームに気付かない!?~

ウリ坊

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旅行編

最終日 3

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 ウィルソンがルーシェの膣内から自身を抜くと、壁に手を着いていたルーシェは、そのまま力無くズルズルと床に座り込む。

「ん……」

 放たれた白濁がドロリと膣内から溢れ内股を伝う。
 手桶でルーシェと自分の身体を流したウィルソンは、ルーシェを抱え上げ広めの浴槽に入り湯に浸かる。
 お湯に入ると温かさにホッとするが、後ろ向きで抱きしめられている状態に少し落ち着かない。

「ルー…海は満喫出来たか?」

 ウィルソンの脚の間に身体を置き、寄りかかるように身を任せている。濡れた長い髪は一纏めに横に流し、前の胸元にかかっている。
 ルーシェのお腹の上で組まれたウィルソンの手の甲に、自分の手をそっと重ねる。
 開いた項に唇が触れ、軽く甘噛みされる。

「っ……は…い。連れて来て頂き、ありがとうございました!…久しぶりだったので、変にはしゃいでしまい申し訳ありません」

 この状況を作り出したのは自分だ。 
 それに自分だけならともかく、もしウィルソンに風邪でも引かせたら大変な事になる。
 
「君が楽しめたのならそれでいい。……夕刻にはペパレッドここを出るつもりだ…」

 チュッと音を立てて肩口を強く吸われ、身体がビクッと跳ねる。合わせてお湯がゆらゆらと揺れる。
 今はお昼前だ。もう少しでこの旅行も終わってしまう。

 王都に戻ればウィルソンとの時間は格段に減るだろう。
 もしかしたら暫くは会えない日が続くかもしれない。 
 そう思うと急に言いようの無い漠然とした寂しさが胸の中に渦巻いてくる。
 
「わ…かりました。ウィル様は明日からまたお仕事で忙しくなりますよね?ギリギリまで私に合わせて下さってありがとうございます」
 
 重なっていた手をギュッと握ると、身体を捻って後ろを振り返りお礼を言う。
 夕刻にペパレッドを発っても、王都のお屋敷に着くのは夜中だ。余裕を持つなら今すぐにでも発つべきなのだが、ルーシェの心情を察してくれているのか、ウィルソンはかなりギリギリの時間まで一緒にいてくれるようだ。

 振り向くと間近にあった秀麗な顔が近づき、そのまま唇を奪われる。
 ルーシェも深く重なる唇の心地良さに瞳を閉じ、誘うように舌を出し絡ませる。

「ふっ…ぅ………んッ、ぁっ……」
  
 もう片方の手がルーシェの頬を撫でる。咥内を激しく蹂躙され、舌先を吸われる度に下腹部が疼き甘い痺れが走る。

「んぅ……っ……んっ……はぁ……ん」

 啄むような軽いキスを繰り返し、また深く口付ける。

「……このまま……戻りたくないな……」

 唇を離したウィルソンは何気無くポツリと呟いた。
 ルーシェは思わず間近にあるウィルソンの顔を凝視する。

 あの超がつくほど仕事人間のウィルソンから出た言葉とは思えない。信じ難い程珍しい台詞だ。
 だが、ルーシェにはその一言がとてつもなく嬉しかった。
 自分のわがままで連れて来てもらった旅行を、ウィルソンも少なからず名残惜しいと思ってくれている。
 その事実がこの上なく嬉しくて、これからくる寂しさでいっぱいだったルーシェの心を満たしてくれる。
 堪らずウィルソンの胸に抱きつく。

「どうした?」

「……ウィル様と沢山一緒にいることが出来て、とても贅沢で幸せな時間を過ごす事ができました。本当にありがとうございます」
 
 抱きついたまま顔を上げ、微笑みながら思ったままの素直な感想を言った。
 
「君は、満足出来たのか?」

 少し眉尻を下げたウィルソンは、どこか自信無さげに聞いてくる。

「はい!すっごく楽しかったです!」

 ニコニコしながら話すルーシェに安心したようにウィルソンも微笑む。

「そうか…」

 ルーシェの背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめてくれる。
 素肌で触れ合う肌の感触が心地良くてウィルソンの胸に頬を寄せる。

「公務以外で誰かと旅行などした事がなかったから、正直どうすれば君が喜ぶか悩んだ」

 ウィルソンは苦笑しながら話す。
 その言葉に驚き、弾かれたように上を向く。

「え…?そうなんですか?」

「あぁ」

 ウィルソンはいつも余裕そうにしているから、今回の旅行も簡単に決めたのかと思っていた。

 何か特別な事を言われた訳ではない。だが、自分の為に悩むほど真剣に考えてくれたかと思うと、嬉しさと愛しさが胸の奥からじわじわと込み上げてくる。
 
「嬉しい……ウィル様にそこまで考えて頂けるなんて、私は果報者です」
 
 今まで自分にこんな嬉しい言葉をかけてくれた男の人は誰一人居なかった。
 ルーシェの中の年頃の異性とは、自分をひどく傷付けるだけの存在で、ある意味恐怖の対象でしかなかった。

 ウィルソンが攻略対象者だから?
 乙女ゲームの人物だから?

 ルーシェは心の中でそれは違うと否定する。

 ウィルソンは確かにルーシェに甘いが、自分の意に反する事があればちゃんと否定する。
 ただ優しいだけでは無く、駄目なものは駄目だときちんと意見してくれる。
 自らの意思を持つ生身の人間だ。
 そんな人がここまで自分を想ってくれている。
 

 感極まり涙目で微笑むルーシェに、ウィルソンは再び唇を重ねた。
 






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