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旅行編
挑戦 ※
しおりを挟む「抱いて欲しいのか?」
言われた言葉に熱が籠り、耳朶を軽く噛まれる。
「っ……はい…」
今までこの台詞を口にしたことはない。
いつもは何も言わなくても当たり前のように抱かれていたが、今日は食後にワインを飲んだせいか、ウィルソンに触られたせいなのか、身体がふわふわしてまともに考えられない。
耳元で囁かれる言葉に、身体がもっと熱くなる。
腰に回っていた手が臀部を撫で、乳房を撫でていた手は敏感な先端を捕らえる。
「あっ!……んっ、……んん」
焦れったいくらいのピリピリとした刺激に、身体を震わせる。
いくら部屋に二人きりでも外には給仕の人間や侍女も控えている。
聞こえないとは思うが、この場で大きな声をあげるわけにはいかない。
ウィルソンはルーシェを軽々と抱え上げ、すたすたと歩き出す。
「あの、ウィル様…歩けます」
「私がこうしたいんだ」
愛おしそうに見つめられ、言葉に詰まる。
扉が開き、入口付近にいた先ほどの侍女が顔を赤く染め驚いたような顔でこちらを見ている。
(は、恥ずかしい……)
ウィルソンは気にすることもなく、その場を後にする。
少し歩き、同じ階の別室の前に来ると、そっと降ろされた。
「ウィル様……ここは?」
かなり広い扉で、昼間に入った寝室とはまた別の部屋のようだ。
扉を開くと、中も比べ物にならないほど広く豪華だ。
調度品のような家具が並び、寝台も驚く程大きい。
背中を押され促されるように入るが、何だか緊張してしまう。
最高級のスイートルームのような部屋に怖じ気づく。
「この部屋は夫婦の寝室だ。私達が使う部屋になる」
「夫婦……」
後ろから抱きしめられ、身体がビクッと跳ねる。その言葉の意味を理解し、胸のドキドキが止まらなくなる。
(そっか……結婚したら、そうなるんだよね……何か実感がないな………)
まだ現実味を帯びない話だけに、どこか他人事のように感じてしまう。
自分に結婚というものをする日が来るなんて、未だに信じられない。
「気に入らないなら、変えさせるが?」
「え?そんな!変える必要などないです!凄く素敵な部屋だったので、驚いて言葉が出ませんでした……」
ルーシェの言葉に満足したのか、ウィルソンは項や肩口に次々と痕を付けていく。
「んっ、ぁ……痕はダメです……ふっ……あ」
「それはできない相談だ…これは、君が私のものだという印だからな」
ウィルソンは抗議などそっちのけで痕を付けていく。
ルーシェだって嫌なわけではない。この痕を見る度に自分がウィルソンに愛されていると確認でき、ちょっとした満足感を得られる。
だが、人に見られるのはとても恥ずかしいのだ。
手慣れたように痕を付けながら、次々とドレスを脱がしていくので、ちょっと焦る。
「あっ、ぁ……ウィル様、待って下さい……今日は…私がします……」
その言葉にウィルソンの手がピタッと止まる。ほとんど脱がされてしまっているが、どうにか食い止められた。
「君がするというのは…私に奉仕するという意味か?」
後ろから胸元を抱きしめられ、ウィルソンは肩口に顔を埋める。
「は…い……」
改めて言われるとかなり恥ずかしい。
「今日は随分積極的だな。君から施しを受ける日が来ようとは……」
しみじみと話すウィルソンは、ルーシェを抱えると、ベッドまで移動し靴を脱がせる。
「お嫌でしたら…」
「嫌な訳がないだろう。君は房事に対し苦手意識があると思っていたが…私の杞憂だったようだ」
嬉しそうに言いながら、身に付けていたものを全て剥ぎ取られ、結局裸にされる。
今日は髪も結い上げてあるので、隠すものもないので、頬を染めながら両手で身体を隠す。
「苦手というか…慣れないだけです……」
ウィルソンが上着を脱いでいる隙に頭の飾りを外し、髪を下ろすと引っ張っられていた感覚が解放され頭が楽になる。
「毎日のように抱いているのにまだ慣れないとは、回数が足りないのか?」
ベッドに上がってきたウィルソンが不穏なことを話している。
「いえ!十分足りてます!これは私自身の問題なので、気にしないで下さい」
少し青ざめながら必死に言い返す。完全な失言だった。
足りないどころか多すぎだと思う。これ以上増えたら身体がもたない。
この会話は危険だ。早く違う話題に変えよう。
ウィルソンに近づくと、ギュッと抱きつき自分から口付けをする。
深い口付けは得意じゃないので、唇を何度も軽く触れ合わせていると、ウィルソンがルーシェの頭に手を添え舌を入れる。
「ぅ……ん、んっ……」
絡んでくる舌が気持ち良くて陶酔していると、ウィルソンの手がルーシェの乳房に触れる。
「んっ!」
大きな手で揉みながら先端の尖りをきゅっと摘ままれると、甘い快楽に身体がビクリと跳ねる。
「あん!……やっ、ウィル様、待って……」
唇を離し、ウィルソンの手を止める。
「なんだ?」
「今日は私がしますから、ウィル様は触っちゃダメです」
「私が触るのは駄目なのか?」
不服そうに言われるが、ウィルソンに触られると直ぐに感じてしまい、奉仕どころではなくなってしまう。
「はい。手出し無用でお願いします」
「これは手厳しい」
クスリと笑って身体を離してくれる。
ルーシェは息を整えると、ドキドキしながらウィルソンのシャツに手をかけボタンを外していく。
「君のお手並み拝見といこう」
「うぅ……そんなプレッシャーかけないで下さい……初めてなので、上手く出来ないと思いますよ」
何が愉しいのか、ウィルソンは嬉しそうにルーシェを見守っている。
ボタンを全部外すとウィルソンの逞しい胸元が露になる。
ウィルソンの肉体美に思わず見惚れてしまう。
だが、見入っている場合ではない。
今日は自分が触っていかないと進まないのだ。
シャツを脱がすとウィルソンの胸元に唇を寄せ、いつもしてもらっているようにキスマークをつける。
強く吸ってから見て見るが、なかなか上手く付いてくれない。
(難しい……何でつかないの?)
もう一度唇を寄せもっと強めに吸ってみると、今度はうっすらと痕がついた。
それを見て何だか凄く嬉しくなる。ウィルソンの身体に自分が付けた痕が残るという、独占欲にも似た優越感が湧いてくる。
ウィルソンがルーシェの身体に痕を付けたがる理由がわかった気がする。
付ける側と付けられる側ではまた意味合いが全然違う。
もっともっと付けたくて夢中になってウィルソンの滑らかな身体に吸い付いていると、ウィルソンは更に難題を吹っ掛けてくる。
「ルー、こっちも触ってくれ」
自分の手を取られ、ウィルソンの昂りへと導く。
「あっ……」
ウィルソンの布越しの昂りはすでに固く屹立している。ルーシェの頭にカァーと血が昇る。
「君が可愛くて我慢の限界だ……私も触っていいか?」
「あっ…まだダメです……」
裸の背中を大きな手で撫でられ、ビクッと震える。
本当は触って欲しい。でも、今日は自分がやると決めたから、最後までちゃんとしたい。
意を決してウィルソンのトラウザースを脱がせる。
下着からウィルソンの猛ったものを取り出すと、そそり立つ剛直が目の前に飛び出てマジマジと見つめる。
太くてドクドクと脈打つそれに、ルーシェはゴクリと唾を飲み込む。
(こんなおっきいのが、自分の中に入るなんて……信じられない………)
こんなに改めて見たことがなかった。ルーシェはじっくり見ながら頬を染めて感心していた。
「ルー…」
「は、はい!」
「このままだと辛いんだが……」
握ったまま観察していたせいか、ウィルソンには生殺しのようだった。
ルーシェは経験は全くないが、知識だけならある。知人から聞いた話や漫画や小説、ネットから得た知識を総動員して、ウィルソンの昂りに口を近づける。
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