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本編

挿話  ある休日 ※※

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 休日の朝。
 
 いつも通りお屋敷の掃除をしていたルーシェは、雑巾を絞り一息ついていた。

(侯爵家は広いから、拭き掃除もなかなか大変だな)

 バケツを手に持ち、移動していると反対側からウィルソンが歩いてきた。
 あの美しい薄紫の瞳を輝かせて、一心にルーシェの元へと駆け寄ってくる。
 最近また忙しいらしく、お城に泊まり込んだりと、会えない日々が続いていたので休日にお屋敷にいるのは珍しい。

「ルー!…会いたかった」
「…ウィル様!」

 ルーシェだって会いたかった。
 顔くらいは見ていたが、ここ何日かは触れ合うこともろくに出来なかった。
 バケツと雑巾を下に置き、汚れた手をエプロンで拭いた。

 そしてようやくその腕に抱かれる。
 久しぶりの腕の温もりに胸が高鳴る。

「ようやく君に触れる!」
「……私もお会いしたかったです」

 ぎゅうぎゅう抱きしめられ、心が満たされる。
 胸いっぱいにウィルソンの爽やかな匂いを吸い込み、胸元に頬擦りする。
 しばらく喜びを噛みしめて抱き合っていた。
 
 だが、ルーシェは今仕事中だ。
 休日とはいえ、こんな所で抱き合っていたら他の使用人の人に見られてしまう。いくら婚約者になったからといって、それは恥ずかしい。

 ウィルソンはそんなルーシェに構わず、顔中に軽めのキスをしている。これはまずい。
 もっと触れ合っていたいが、心を鬼にしてウィルソンの胸をやんわり押し戻す。

「あの……ウィル様、すみません。私掃除しているので汚れてて……今仕事中ですから、また後程……」

「……私に、触れられたくないのか?」

 距離を空けられたことに眉を潜め、悲しげな顔で見つめられると、胸がきゅんとしてしまう。
 でも、ここで許してしまうと仕事に支障が出てしまう。

「私ももちろんウィル様に触れられたいです!でも、まだ仕事が………」
「君は私よりも仕事の方が大事なのか?」

 拗ねた様に言われ、困ってしまう。 
 
「いや、ですから…後程……」
「私は今、君と触れ合いたい」

 求められるのは嬉しいが、ここで許してしまうと後々良くない事になりそうなので、ルーシェは気を引き締める。
 
 ルーシェはウィルソンの完全に腕から逃れ、距離を空ける。
 そして真面目な顔でピシャリと言う。

。私は今、仕事中でございます。ですので、お戯れはお止め下さいませ」

 それを聞いたウィルソンは一瞬きょとんと顔をしたが、すぐに何かを企むよう怪しげに笑う。

「君は、私の願いは聞けないと?」

「聞けないとは言っておりません。お止め下さいと申し上げております」

「君はそんなに仕事がしたいのか?」

「左様でございます」

 使用人風にキッパリと言いきったルーシェ。
 これで諦めてくれるだろうか。
 相手の反応を窺う。
 ウィルソンは腕を組み、端正な顔にうっすらと笑みを浮かべている。
 そして薄紫色の瞳を揺らしながらどこか愉しげにルーシェを見ている。
 
 その瞳にゾクリと嫌な予感がして、逃げようと更に距離を開けるが、ウィルソンの腕に阻まれてしまう。

「何処へ行く?君はがしたいんだろう。着いて来るんだ」

「なっ、ちょっと何処へ!」

 
 手を引かれ、どんどん歩き出すウィルソンにルーシェは焦ってしまう。

 マズい…怒らせてしまっただろうか。

 後悔するが、最早後の祭りだった。





 ◇


 窓から明るい日差しが入り、外では鳥が囀ずっている。

 ルーシェは執務室に連れて来られ、広い机に肘をつき上半身だけ少しうつ伏せた状態で、背後からウィルソンに露出した乳房を両手で揉まれていた。
 尖った先端を指で摘ままれ、引っ掛かれるように弾かれるだけで、甘い快楽が身体を支配する。

「あっ、あん…やっ、だめ………!」

 ウィルソンはそんなルーシェの様子を愉しそうに見て笑う。

「君にしか出来ない仕事ことだろう?主人を慰め悦ばすのも仕事のうちだ。存分に奉仕してくれ」

「なっ……んぁ…、その様な……施し、は…致しま……ん!」

 ウィルソンの長い指がスカートの裾から入り、ショーツを下ろしてルーシェの秘所を攻める。
 すでにしっとりと濡れているそこはウィルソンの指をすんなり受け入れる。
 蜜口をなぞり、膣内に入り込むと容赦なく内壁を掻き回す。

「んん!……あっ、ん!…やぁっ」

 ルーシェの感じる場所を心得ているウィルソンはわざとそこばかり攻める。
 ルーシェは耐えきれない愉悦に首を振って抵抗する。

「いやぁ!あ、あぁ…ん!だめ…です…!」

「口では嫌がっているのに、ココは悦んでいるようで随時素直だな」

 愉しそうに喋りながら、後ろからルーシェの剥き出しの肩にキスを落とす。
 上半身はほぼ裸に近い状態で、肩から背中へとキスを落としながら跡を付けていく。 
 ルーシェはかぶりを振ってやり過ごす。

「あっ、ウィル…様……んぁ……やめっ………」

 快楽に慣らされた身体は、本人の意思とは別にたちまち濡れてきてしまう。
 ルーシェのナカが潤ってきたのを確認して指を引き抜き、自らの高ぶりを蜜口に擦りながら当てると、背後から一気に奥まで挿入する。

「──ひぁああっ!!」

「……っ!」

 あまりの快楽にルーシェは挿入られただけで、達してしまう。
 床に着いていた脚がふるふると痙攣する。

 ウィルソンはキツイ締め付けに耐え、腰に手を添えるとゆっくりと腰を揺らし始める。

「んあっ、あっ、まだ………ダメっ……はぁん!」

 内壁がうねるようにウィルソンに絡み、搾りとるかのように締め付けてくる。

「っ…すごい…な…喰い千切られそうだ……そんなに私が……欲しかったか?」

 背後からリズム良く突きながら、情欲を孕んだ声音で囁かれそれすらも快楽となり、膣内を締める。

 緩やかな動きから激しい抽挿に変わり、最奥を容赦なく突いてくる。

「あ!あっ…はぁ……ウィ…ル様ぁ…奥…だめぇ…!」

 ルーシェは耐えられず頭を振って手を握り締める。

「こ…ら……あまり、締めるな…っ…」

 ウィルソンも余裕がなくなってきたのか、動きが早くなり、奥を抉るように突くと激しい快楽となり身体を震わせてルーシェは絶頂に達する。
 ウィルソンも何度か腰を打ち付け、外に白濁を出す。

「あ、ふあ!……あぁッ!!」

「くっ!…う……」

 しばらく荒い息遣いが室内にこだまする。

 ウィルソンはまだ硬さの残った自身を抜くと、ルーシェの身体を起こして抱えあげ、ソファーに腰を下ろす。

 そのまま自分の上に跨ぐように座らせ、再びルーシェを下から貫く。

「やぁ!いやぁ……!」

「ふっ……」

「あ…あん……ひぁ………!もう……許して……」

「ん?……先ほどまでの…威勢はどうした?」

 下から揺さぶられ、奥まで深く交わり、堪えきれない快楽がルーシェを支配する。
 ルーシェはウィルソンの肩に手を置き、もう片方の指を噛んで快楽に耐えている。

「あっ!はぁ…ん…クロ…ウド…様ぁ……お止め……下さ……い…」

「……君は、本当に…私を悦ばすのが……上手いな」

「え……?あ、ダメ……あぁ!」

「そうやっていると、昔の君を無理矢理犯している様でゾクゾクするな」
 
 ルーシェの軽率な行動でウィルソンの嗜虐心を煽ってしまったらしい。
 ウィルソンは徐に下からの動きを止め、目の前にある乳房を弄び、先端を口に含み出した。

「んぁ!…あぁ…ウィル…様……やあ…!」

「っ…、もっと…乱れてくれ……」

 先端の敏感な部分を舌で舐めながら、時折ちゅっと吸い上げる。両手でルーシェの滑らかな尻を撫で回している。

「はぁ……あ…あぁん!…いじわる…しないで…!」

 ルーシェは刺激を与えられないもどかしさに、ウィルソンの首に手を回して、内壁を締めつけながら自らの腰を上下に揺らして催促してしまう。

「ふっ……ルー……可愛すぎる……」

「ウィル…様……ん…早く……」

 ウィルソンは緩やかに動くばかりで、決定的な刺激が足りない。
 ルーシェは涙を流しながら訴える。それを美しい薄紫の瞳を細め、愉しそうに眺めている。

「早く…なんだ?」

「はぁ…ん……お願、いっ……もっと…激しく、動いてぇ……」

「君の、お望み通りに……」

 その言葉を待っていたとばかりにルーシェの腰を掴み、下から激しく突き上げる。

「やぁっ!…あん!…いい…っ!あぁ!」

 自分の体重のせいもあり、否応なしに最奥の子宮の入り口にガンガン当たるように突いてくる。

「ひぃ!あっ、…あぅ!…い、く、…いっちゃ──ッ!!!」

 ようやく与えられた快感に堪らず絶頂に達してしまう。
 ウィルソンもうねるようなキツイ締め付けに、ルーシェの膣内に熱い飛沫を吐き出す。

「ぐっ!……はぁ……」

 お腹のナカがウィルソンの熱い白濁で満たされ、ぶるりと震えがおきる。

「はぅ、ん……ぁ………」

 ウィルソンは、くたりと荒い息を吐きながら、自分の肩に凭れているルーシェを、愛おしそうに抱きしめた。

「ルー…可愛い……愛してる……」

 剥き出しの背中を撫でながら、首筋に吸い付き跡を刻んでいく。
 未だにナカに繋がったままのウィルソンは、徐々に回復しつつある。

 
(今日は、もう、仕事は無理だな………)


 激しい快楽の余韻に朦朧とする中、ルーシェは色々と諦めて瞳を閉じるのだった。













 ◇◇


 その後も、ウィルソンの気が済むまで貪られたルーシェは、動くことが出来ず、ウィルソンが喜んで介抱していたんだとか。




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