【R18】ルーシェの苦悩 ~貧乏男爵令嬢は乙女ゲームに気付かない!?~

ウリ坊

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番外編

残されたメモ

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 王宮内の第二王子専用執務室。

 ルーシェがクレアのメモを読んでいるときに、何故か赤くなり、言動がおかしくなるので、エミリオは疑問に思っていた。

 ──ルーシェは何か隠している、と。
 
 グレンやウィルソンは恋愛ゲームだから初なルーシェが照れているのではないか、と言ったが。
 何故か違う気がする。
 

 そんな時、新たなメモが見つかる。
 ルーシェはクレアが残したメモを訳してほしいと言われ、王宮までやってきた。
 
 そこで手渡された日本語のメモを読んでいく。
しばらく読み進めるとルーシェの体が震えだし、顔が真っ赤に染まっていく。

「ルー?どうした?」

「こ、こ、これは………!」

 ウィルソンが心配そうに顔を覗き込むが、ルーシェは遂にメモで顔を覆って踞ってしまった。

 エミリオは確信する。やはり間違いないと。

「ルーシェ嬢大丈夫?そんなにすごいことが書いてあるの?」

(すごいなんてもんじゃないわよ!こんなもの見せないでよ!)

 ルーシェは怪しまれない様に首を横に振るが、明らかに挙動不審だ。


「悪いんだけど、ここで読んでもらえるかな?君しか読むことができないし」

 (な、な、これをここで読めと!こんな場所で!?それって公開処刑?いや、羞恥プレイ!?)
 


 *******************

(注)ここからはほぼ会話のみで
          お楽しみ下さい。

 ********************



ルーシェ「エミリオ王子殿下……不敬を承知で申し上げますが、無理です!」
エミリオ「え?どうして?」
ル「どうしても無理なのです」
エ「文字がわからないとか?」
ル「文字は、わかりますが………」
エ「これは国家反逆を図った事件と『先見』についての重要書類なんだ。頼むよ。」
ル「このメモはそれとは関係ないかと、思われますが……」
エ「それは聞いてから判断するよ」
ウィルソン「ルー、仕事だと思えば大丈夫だ」
グレン「うんうん、早く聞かせてくれよ」

ル「くっ(人の気も知らないで!)……少しだけ、お時間を頂けますか?」


 ルーシェは何度も何度も深く深呼吸し、気合いを入れ、決意を固めた。


ル「では!参ります!!」

ウィ「?あ、あぁ」

「『攻略対象グレン=イグルス。
王国騎士団長の息子。将来は騎士を目指している。普段から鍛えている逞しい身体。長身で、人懐っこいのが特徴』」

グ「俺に関する資料か?自分のこと言われるのも変な感じだだな~」

「『グレンのイベントは下町の噴水。学園の鍛練場、学内の食堂、教室etc.………で起こる』」

エ「グレンは以下の場所であの偽物にあったのかい?」
グ「あぁ~、確かに会いましたね!俺の行きそうな場所だし」

「『好きな食べ物は肉、パン類、嫌いな食べ物は野菜』」
ウィ「ここまでは、まぁ近しい人間なら知っている情報だな」

「『グレンの攻略は噴水~学園の鍛練場に呼ばれ、好感度を上げることで達成する。体力派のグレンは鍛えることが好きなので一緒に鍛練をするか、差し入れの食事を持って行くのが好感度を上げる裏技。好感度が最大まで行くと、様々な場所でのプレイが起こる』」

3人「「「プレイ?」」」

ル「情事の時の遊びのことです」
グ「じょ、情事ぃ?!」


「『学内の教室での×××から、鍛練場に連れ込まれ室内での激しい×××、最後は野外での××プレイ…全裸にされたあと両手を縛られ××し、××されて背後から××…』」


グ「わ~わ~!!待った待ったぁぁ~
!!!」

ル「……どうかなさいましたか?」

 しれっとした顔でルーシェが訪ねる。

 グレンは顔を真っ赤にして、片手で口を覆ってしゃがみこんでしまった。

グ「ちょっ!なんだ!?なんなんだ!!?それ!!」

ル「これは攻略対象の方々の個々の資料です」
エ「……そのメモには、同じように全て対象者の事柄が書かれているのかな?」
ル「はい。人には言えない様な性癖や、個人的な情事での趣味まで……」

ウィ「……それは、私や殿下の資料もか?」

ル「えぇ、勿論ですとも。エミリオ殿下の資料も、ウィル様の資料も大変興味深いですよ?さあ、次はどちらからお読み致しますか?」

 ルーシェは楽しそうに、にこりと笑う。


エ、ウィ「「…………。」」


エ「──まぁ、国家反逆の件に関係なさそうだし。いらないよね?」

ウィ「……ルー、もう大丈夫だ。ありがとう」

グ「あぁ!ひでぇ~!!ウィルや殿下のも読んでくれよ!」

エ「グレン──わかってるよね?」
グ「………はい、すみません」

 三人が深いため息を吐く。

エ「乙女ゲーム、怖っ」
ウィ「──よし、燃やそう」
グ「勘弁してくれ………」

 
 三者三様の慌てぶりを見て、ルーシェは胸がスッとした。

 
 (ふんっ……私を辱しめた罰よ)

 

 攻略対象者達は気づいていないが、ここで密かな『ざまぁ』が成されていたのだった。





  
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