【R18】夫と6年間レスだった私が憑依転生したのは、大人向けweb小説の悪役令嬢でした

ウリ坊

文字の大きさ
上 下
101 / 110

事の顛末

しおりを挟む
「ミレール! 目覚めて良かったわ……!」
「とにかく無事で良かったよ! 君にあんなことがあって倒れたと聞いて、どれだけ心配したか……」

 ミレールが目覚めたことを聞いて、オルノス侯爵夫妻や他の使用人たちまで無事を確認しに部屋まで来てくれた。
 ノアに聞いたが、三日も眠ったままだったらしい。
 
 目覚めてからすぐに動こうとしたが止められた。ひとまずミレールの部屋に移動し、今目の前にはオルノス侯爵夫妻が椅子を並べて座っている。

「心配していただき、ありがとうございます。お義父さま、お義母さま」

 オルノス侯爵はノアにミレールが貝類アレルギーだと伝えていなかった。当然知っているものだと思っていたらしく、ノアが知らなかったと聞いて驚き、ミレールに謝っていた。

 ミレールもその場でついた嘘だったので、あえてノアには話していなかった。
 オルノス侯爵はノアが当然知っているだと思っていて、ミレールを守り切れなかったことを悔いていた。

「――本当にすまなかったね」

「いえ、わたくしもノアにお伝えしていませんでしたし……お義父さまのせいではありませんわ。お気になさらずに」

 ミレールが倒れたのはアレルギーによるものだと勘違いされていた。
 実際はまったく違うのだが、説明できることでもなかったので、逆に理由があって良かったとミレールも安堵した。

 そしてオルノス侯爵からリアーノ伯爵令嬢はその場で取り押さえられ、牢に投獄されたと聞いた。
 さらにその後すぐに、リアーノ伯爵家が違法事業に手を染めた罪で捕まり、リアーノ伯爵家は多額の資金難に陥って没落したことを詳しく説明してくれた。
 オルノス侯爵の話を黙って聞いていたが、大体予想通りの展開になり、ミレールは耳を傾けながら事の顛末に納得していた。
 
「……そうだったのですね。色々と処理していただき、感謝いたしますわ」

「いや、感謝するのはこちらのほうだよ。違法事業の話を聞いた時に、私たちもかなり肝を冷やしたからね。ミレールがあの時に止めてくれなかったら、没落していたのは間違いなくうちだった……そう思うとゾッとするよ」

 椅子に座ったまま、真剣に話しているオルノス侯爵にミレールも言葉に詰まる。ここまで感謝されることがあまりなかったので、どうして良いのかわからなかった。

「その通りよ! こんな目に遭ったあなたには悪いけど、あなたの体質のおかげで我が家は助かったわ。感謝しても足りないくらいよ! 本当にありがとう、ミレールっ」

 そして間髪を入れずノクターンがオルノス侯爵の隣からお礼を言ってくれている。
 二人の気持ちが嬉しくて、ミレールは自分のやったことが報われたのだと、温かい気持ちになれた。

「とんでもありませんわ。この体質が家門のためにお役に立てたのでしたら、これ以上の僥倖ぎょうこうはありませんわ」

 ベッドに座ったまま二人に向かい、にこりと笑顔を向ける。

「もうっ、ミレールったら! なんていい子なのかしらっ!」

「お、お義母さま……」

 椅子から立ち上がったノクターンにガバッと抱きしめられて、ミレールは擽ったい気持ちになる。

(わたくしのついた嘘の体質なので、皆さまを騙している心苦しさはありますが、致し方ありませんよね)

「やはり我が義娘は素晴らしいな! これで我が家も安泰だ」

 賛辞を送ってくれるオルノス侯爵に苦笑しながら、ノクターンの背中に手を添えた。

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...