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幸せ
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「ん……? 誰だって?」
「ですから、ノアのことです!」
至近距離にあるノアを見上げて、照れ隠しもあり強めに言葉を発した。
ノアは驚いたように目を開いて、ミレールを凝視している。
「はっ? ……俺??」
疑問の声をあげて、自分だと思っていなかったのか意外そうにミレールを見下ろしていた。
「ちょっと待て、俺は別に想う相手なんて――」
「ノアははじめ、レイリンを探してたじゃありませんか! パーティー会場でもレイリンと楽しそうに踊っていて、庭園に出てきた時も、レイリンがどこに行ったかとわたくしに尋ねてましたわっ!」
そこでミレールが間髪入れずに真っ向から反論する。
これは小説でも明らかなことで、実際ノアはレイリンを追いかけていた。
「っ! あれは、そういう意味だったのか……」
口元を片手で覆い、ミレールの言わんとしていたことを理解したのか、納得したように呟いている。
「ミレールは元々ノアと仲が悪かったですし、嫌われてました。わたくしがいくらノアの事を想っていても、冷たくあしらわれてましたから」
「それは、悪かった。あんたの事情も知らなかったし……」
「承知してますわ。ですから、わざと遠ざけようとしてましたのに……。あの時は、わたくしも酔っていた勢いもあり、気持ちが大きくなってしまいましたわ。それに、ノアに迫られていることが嬉しくて、最後まで拒みきれませんでした」
この話はもうするなと言われていたが、状況が変わったので改めて説明する。
結果的に今の自分たちがあるのだが、やはり初めはノアを苦しめていたことに変わりない。
「でもあんたは、そのあと逃げようとしてただろ」
そこでまたノアが思い出したように反論している。
あそこで逃げられれば、今の結婚生活は存在していなかっただろう。
「それは、仕方ありませんわ。ノアに嫌われているのは知ってましたし、せめて貴方がショックを受けないよう、早々に立ち去ろうとしたのですが間に合わず……見事失敗に終わってしまいました」
視線を戻したミレールがノアを見上げて申し訳なさそうに話していると、ノアは突然ミレールの両肩を掴んできた。
「――じゃあ、なんだ……俺は、自分に嫉妬してたってことか……?」
そして話し終えた途端、ノアがぎゅうぅぅッと力を込めて抱きしめてくる。
「の、ノア?」
急に抱きしめられてミレールは困惑してしまう。
酔っていたのでそこまではっきりと覚えていないが、そういえばノアはそのようなことを言っていたように思う。
「はぁ……、やっぱりあんたって、可愛すぎだっ」
「はい? わたくしのどこが、ですの??」
今の会話のどこに、自分の可愛さがあるのか理解できなかった。
ただひたすら迷惑をかけた時の気持ちを、謝罪も込めて話していただけだったのだが、ノアは怒るどころか愛しそうにミレールを抱きしめて、そのままベッドへと倒れ込んだ。
「そういうとこ全部だ」
「まったく……わかりませんわ」
二人で横向きで倒れた状態で抱きしめられ、ノアの胸元に顔を寄せて答えた。
「はははっ、わからなくてもいいって。俺だけがわかってるから、それでいい」
ノアはミレールの頭の天辺にキスを落としている。
顔を上げると目を細めて、自分に笑いかけてくれているノアがいた。
「っ」
「話してくれてありがとな。実際、あんたがどこの誰でも構わないんだ。今まで不幸な人生を送ってきたなら、俺がそれ以上に幸せにしてやる……だから、どこにも行かないでくれ」
またしまい込むように、背中に回っていた腕で体をぎゅっと強く抱きしめられた。
「……ノアっ、……もちろんですわ。わたくしも、ずっとノアと一緒にいたいです」
(こんなにも幸せでいいのでしょうか……)
じわりと目頭が熱くなり、心も体も幸せで満たされていく。
ノアの心臓の音を聞きながら、背中に回っていた手が腰で結ばれたガウンの紐を解いている。
解かれた隙間から筋張った手が侵入し、ミレールの滑らかな双丘を直に撫でていく。
「んッ」
直接肌を撫でられる心地好さにビクリと体が反応し、そしてノアの凛々しい顔が近づく。
顔を上げたミレールの唇が深く重なり、開いた歯列の隙間から熱い舌が入り、舌を絡めながら性急に求められていく――
「ですから、ノアのことです!」
至近距離にあるノアを見上げて、照れ隠しもあり強めに言葉を発した。
ノアは驚いたように目を開いて、ミレールを凝視している。
「はっ? ……俺??」
疑問の声をあげて、自分だと思っていなかったのか意外そうにミレールを見下ろしていた。
「ちょっと待て、俺は別に想う相手なんて――」
「ノアははじめ、レイリンを探してたじゃありませんか! パーティー会場でもレイリンと楽しそうに踊っていて、庭園に出てきた時も、レイリンがどこに行ったかとわたくしに尋ねてましたわっ!」
そこでミレールが間髪入れずに真っ向から反論する。
これは小説でも明らかなことで、実際ノアはレイリンを追いかけていた。
「っ! あれは、そういう意味だったのか……」
口元を片手で覆い、ミレールの言わんとしていたことを理解したのか、納得したように呟いている。
「ミレールは元々ノアと仲が悪かったですし、嫌われてました。わたくしがいくらノアの事を想っていても、冷たくあしらわれてましたから」
「それは、悪かった。あんたの事情も知らなかったし……」
「承知してますわ。ですから、わざと遠ざけようとしてましたのに……。あの時は、わたくしも酔っていた勢いもあり、気持ちが大きくなってしまいましたわ。それに、ノアに迫られていることが嬉しくて、最後まで拒みきれませんでした」
この話はもうするなと言われていたが、状況が変わったので改めて説明する。
結果的に今の自分たちがあるのだが、やはり初めはノアを苦しめていたことに変わりない。
「でもあんたは、そのあと逃げようとしてただろ」
そこでまたノアが思い出したように反論している。
あそこで逃げられれば、今の結婚生活は存在していなかっただろう。
「それは、仕方ありませんわ。ノアに嫌われているのは知ってましたし、せめて貴方がショックを受けないよう、早々に立ち去ろうとしたのですが間に合わず……見事失敗に終わってしまいました」
視線を戻したミレールがノアを見上げて申し訳なさそうに話していると、ノアは突然ミレールの両肩を掴んできた。
「――じゃあ、なんだ……俺は、自分に嫉妬してたってことか……?」
そして話し終えた途端、ノアがぎゅうぅぅッと力を込めて抱きしめてくる。
「の、ノア?」
急に抱きしめられてミレールは困惑してしまう。
酔っていたのでそこまではっきりと覚えていないが、そういえばノアはそのようなことを言っていたように思う。
「はぁ……、やっぱりあんたって、可愛すぎだっ」
「はい? わたくしのどこが、ですの??」
今の会話のどこに、自分の可愛さがあるのか理解できなかった。
ただひたすら迷惑をかけた時の気持ちを、謝罪も込めて話していただけだったのだが、ノアは怒るどころか愛しそうにミレールを抱きしめて、そのままベッドへと倒れ込んだ。
「そういうとこ全部だ」
「まったく……わかりませんわ」
二人で横向きで倒れた状態で抱きしめられ、ノアの胸元に顔を寄せて答えた。
「はははっ、わからなくてもいいって。俺だけがわかってるから、それでいい」
ノアはミレールの頭の天辺にキスを落としている。
顔を上げると目を細めて、自分に笑いかけてくれているノアがいた。
「っ」
「話してくれてありがとな。実際、あんたがどこの誰でも構わないんだ。今まで不幸な人生を送ってきたなら、俺がそれ以上に幸せにしてやる……だから、どこにも行かないでくれ」
またしまい込むように、背中に回っていた腕で体をぎゅっと強く抱きしめられた。
「……ノアっ、……もちろんですわ。わたくしも、ずっとノアと一緒にいたいです」
(こんなにも幸せでいいのでしょうか……)
じわりと目頭が熱くなり、心も体も幸せで満たされていく。
ノアの心臓の音を聞きながら、背中に回っていた手が腰で結ばれたガウンの紐を解いている。
解かれた隙間から筋張った手が侵入し、ミレールの滑らかな双丘を直に撫でていく。
「んッ」
直接肌を撫でられる心地好さにビクリと体が反応し、そしてノアの凛々しい顔が近づく。
顔を上げたミレールの唇が深く重なり、開いた歯列の隙間から熱い舌が入り、舌を絡めながら性急に求められていく――
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