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休日の過ごし方(ノア視点)
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ミレールは気を失ったように瞳を閉じ、荒い呼吸のまま寝息を立てている。
(寝たのか?)
ベッドでうつ伏せたたまま力尽きたミレールに、ノアはそっと布団を掛けて頬にキスをする。
(さすがにやりすぎたか? でも、自分の欲求を止められなかった……毎晩抱いてるのに、見てるとまた抱きたくなるんだよな)
昔からキツい印象を受ける吊り上がった紫色の瞳は閉じ、薄紅色の唇はまだ酸素を求めるように呼吸を繰り返している。
汗ばんだ滑らかな肌も、魅惑的に隆起した形の良いバストも……見ているとまたムクムクと欲が湧いてきてしまいそうになり、胸元辺りまで中途半端に隠されていた布団を持ち上げ、ミレールの首までしっかりと掛けた。
「ん……、の、あ……」
いきなり名前を呼ばれてミレールを見るが、瞳を閉じて幸せそうに寝ていた。
(寝言か……)
寝てても自分の名前を呼んでいる姿が可愛くて、ノアは思わずクスッと笑う。
ホッとした反面、起きていればもう一度できたのにと、残念に思っている自分に気づき、ノアは口元を押さえてハッとした。
(いつの間にか、こいつが変わったことを当然のように受け入れてる。前までこんなに我が儘で傲慢なやつはいないと思っていたのに……今じゃ、こいつの謙虚で健気な姿が当たり前だと思っていないか?)
以前、ミレールが話していたことを唐突に今、痛感した。
幼い頃から幼馴染としてずっとミレールを見てきた。ノアの知っているミレールは、当然ながらこんな性格ではなかった。
(魂が入れ代わったってことは、もしかしたらまた前のこいつに戻るかもしれないってことなのか? 結婚する前の、悪態をついてた頃のミレールに――)
ベッドの脇で立ち尽くしたまま、ノアは無防備に寝ているミレールを見て鳥肌が立ち、言い知れぬ不安に襲われる。
(いや、そもそも入れ代わったこと自体、半信半疑なのに……俺は一体、何を恐れているんだ……?)
そう思うが不安は払拭されず、ベッドの前で屈むと、寝ているミレールの顔に自分の顔を近づけ、唇を深く重ねた。
「んっ……」
頬に手を当て、ピクッと反応したミレールの唇の隙間から、舌を差し込みさらに深く唇を重ねる。
「ッ……ん、はぁッ……」
腔内を蹂躙していた舌を抜いて唇を離すと、今の口付けで起きたのか、まだ焦点の合わないミレールがノアを見つめていた。
「ん……、のあ? どうか……なさいました、か?」
濡れた薄紅色の唇にとろりとした紫色の瞳。事後の色気なのか、気怠げな表情にノアの心臓がドクンと跳ねる。
前までキツい印象しかなかった顔が、今では穏やかな顔付きに変わっている。
「いやっ……、そろそろ出掛ける」
「はい。いってらっしゃいませ……あっ、お見送りを……」
ベッドから起き上がろうとしたミレールに、ノアが手で押さえて制止する。
「見送りはいらないし、あんたはまだ寝てろ。歩けないだろ?」
「っ……、申し訳、ありませんわ」
図星だったのかミレールの頬にサッと朱が走っていた。
(寝たのか?)
ベッドでうつ伏せたたまま力尽きたミレールに、ノアはそっと布団を掛けて頬にキスをする。
(さすがにやりすぎたか? でも、自分の欲求を止められなかった……毎晩抱いてるのに、見てるとまた抱きたくなるんだよな)
昔からキツい印象を受ける吊り上がった紫色の瞳は閉じ、薄紅色の唇はまだ酸素を求めるように呼吸を繰り返している。
汗ばんだ滑らかな肌も、魅惑的に隆起した形の良いバストも……見ているとまたムクムクと欲が湧いてきてしまいそうになり、胸元辺りまで中途半端に隠されていた布団を持ち上げ、ミレールの首までしっかりと掛けた。
「ん……、の、あ……」
いきなり名前を呼ばれてミレールを見るが、瞳を閉じて幸せそうに寝ていた。
(寝言か……)
寝てても自分の名前を呼んでいる姿が可愛くて、ノアは思わずクスッと笑う。
ホッとした反面、起きていればもう一度できたのにと、残念に思っている自分に気づき、ノアは口元を押さえてハッとした。
(いつの間にか、こいつが変わったことを当然のように受け入れてる。前までこんなに我が儘で傲慢なやつはいないと思っていたのに……今じゃ、こいつの謙虚で健気な姿が当たり前だと思っていないか?)
以前、ミレールが話していたことを唐突に今、痛感した。
幼い頃から幼馴染としてずっとミレールを見てきた。ノアの知っているミレールは、当然ながらこんな性格ではなかった。
(魂が入れ代わったってことは、もしかしたらまた前のこいつに戻るかもしれないってことなのか? 結婚する前の、悪態をついてた頃のミレールに――)
ベッドの脇で立ち尽くしたまま、ノアは無防備に寝ているミレールを見て鳥肌が立ち、言い知れぬ不安に襲われる。
(いや、そもそも入れ代わったこと自体、半信半疑なのに……俺は一体、何を恐れているんだ……?)
そう思うが不安は払拭されず、ベッドの前で屈むと、寝ているミレールの顔に自分の顔を近づけ、唇を深く重ねた。
「んっ……」
頬に手を当て、ピクッと反応したミレールの唇の隙間から、舌を差し込みさらに深く唇を重ねる。
「ッ……ん、はぁッ……」
腔内を蹂躙していた舌を抜いて唇を離すと、今の口付けで起きたのか、まだ焦点の合わないミレールがノアを見つめていた。
「ん……、のあ? どうか……なさいました、か?」
濡れた薄紅色の唇にとろりとした紫色の瞳。事後の色気なのか、気怠げな表情にノアの心臓がドクンと跳ねる。
前までキツい印象しかなかった顔が、今では穏やかな顔付きに変わっている。
「いやっ……、そろそろ出掛ける」
「はい。いってらっしゃいませ……あっ、お見送りを……」
ベッドから起き上がろうとしたミレールに、ノアが手で押さえて制止する。
「見送りはいらないし、あんたはまだ寝てろ。歩けないだろ?」
「っ……、申し訳、ありませんわ」
図星だったのかミレールの頬にサッと朱が走っていた。
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