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同僚騎士たち
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ノアと共に広場まで移動した。
そこで待っている騎士たちは皆、好奇の目でミレールを見ていた。
「皆さま、改めてご挨拶させていただきますわ。わたくしこの度ノアの妻となりました、ミレール・オルノスと申します。至らぬ点もございますが、どうぞよろしくお願いいたします」
ノアから離れ淑女の礼をとったミレールは、再び顔を上げて騎士たちに向かい微笑んだ。
「「「「「――ッ!!!!」」」」」
一様に口を開けて、同じように驚いていた。
「っ! あ、いえ……、こちらこそ、ノアがお世話になってます」
「貴女が、あの、エボルガー侯爵令嬢、ですか??」
「え? え? ど、同一人物??」
「おいっ! バカッ! 失礼だぞッ!」
「いやっ、で、でもよぉ……」
「嘘だろ……! 本当に別人だ……」
騎士の面々はとても素直で、思わずミレールは笑ってしまった。
「あ、いえ、失礼な奴らばかりで……」
そこにいた一番体格の良い男性が頭に手を当てて謝っていた。
「ふふふっ。とんでもございませんわ。むしろ正直に言っていただいたほうが、こちらも気を使わなくてありがたいですもの」
近くで見ていたノアがため息をつきながら、呆れたように話している。
「はぁ……、悪いな。馬鹿ばっかで」
「まぁ! ノアったら、そんな言い方をしてはいけませんわ」
「本当のことだし。どう見てもそうだろ」
「それだけノアが愛されているということなのでは? 羨ましいですわ」
「やめてくれっ……、気持ち悪い」
普通に会話をしているノアとミレールを見て、同僚の騎士たちは動揺していた。
「はいっ! はい、はい! 質問いいですか!」
「なんだ、トム」
トムと呼ばれた若い騎士が、挙手までして質問をしてきていた。ノアが面倒くさそうに名前を呼ぶと、広場に響くような大きな声で話し出した。
「本当にこちらの女性がエボルガー侯爵令嬢なんですか?! 自分も何度かご令嬢とお会いしましたが、格好も雰囲気も話し方も、これまでとすべてが全然全く違うんですが!!」
「――馬鹿野郎っ!!」
先ほど謝っていた体格の良い騎士が、隣から拳を振り上げて、トムと呼ばれた若い騎士の頭に思い切り落としていた。
「イッテぇ!! ひどいッスよ! 隊長ッ!!」
「お前、立場ってもんを弁えろっ!!」
「ヒエぇぇッ! す、すいませんっ!! エボルガー侯爵令嬢、大変失礼いたしました!!」
この軽い感じの若い騎士が、騎士たちの中で一番下なのか、思い切り殴られた頭を抑えながら涙目で謝っていた。
「今回は目を瞑りますわ。次からは気を付けてくださいね」
にこりと笑ったミレールに、周りの騎士たちは呆然としていた。以前のミレールならこの時点で大激怒して、この騎士を城から追い出せと喚いていたことだろう。
「エボルガー侯爵令嬢、大変失礼いたしました。コイツらを代表して、隊長の俺が謝ります」
「隊長さま、お気になさらずに。これまでのわたくしの行いが悪すぎた結果ですもの……これからは皆さまにご迷惑をかけぬよう努めてまいりますわ」
胸に手を当てて傷心とした表情で俯いていた。
ミレールの態度の変わりように、周りにいた騎士たちは口を開いて呆然とし、シーン……と静まり返ってしまった。
「……ま、そういう訳だ。こいつも反省してるみたいだし、殿下もこれまでのことは不問にすると仰っていた。……だからこれ以上、人の妻を侮辱することは許さんぞ!」
「――っ!」
ノアが隣からミレールの肩をグッと自分のほうへと抱き寄せ、強い口調で騎士たちに叱責していた。
抱かれた手が思いのほか強くて、見上げたノアの顔が本気で怒っていて、ミレールの心拍数が一気に急上昇する。
そこで待っている騎士たちは皆、好奇の目でミレールを見ていた。
「皆さま、改めてご挨拶させていただきますわ。わたくしこの度ノアの妻となりました、ミレール・オルノスと申します。至らぬ点もございますが、どうぞよろしくお願いいたします」
ノアから離れ淑女の礼をとったミレールは、再び顔を上げて騎士たちに向かい微笑んだ。
「「「「「――ッ!!!!」」」」」
一様に口を開けて、同じように驚いていた。
「っ! あ、いえ……、こちらこそ、ノアがお世話になってます」
「貴女が、あの、エボルガー侯爵令嬢、ですか??」
「え? え? ど、同一人物??」
「おいっ! バカッ! 失礼だぞッ!」
「いやっ、で、でもよぉ……」
「嘘だろ……! 本当に別人だ……」
騎士の面々はとても素直で、思わずミレールは笑ってしまった。
「あ、いえ、失礼な奴らばかりで……」
そこにいた一番体格の良い男性が頭に手を当てて謝っていた。
「ふふふっ。とんでもございませんわ。むしろ正直に言っていただいたほうが、こちらも気を使わなくてありがたいですもの」
近くで見ていたノアがため息をつきながら、呆れたように話している。
「はぁ……、悪いな。馬鹿ばっかで」
「まぁ! ノアったら、そんな言い方をしてはいけませんわ」
「本当のことだし。どう見てもそうだろ」
「それだけノアが愛されているということなのでは? 羨ましいですわ」
「やめてくれっ……、気持ち悪い」
普通に会話をしているノアとミレールを見て、同僚の騎士たちは動揺していた。
「はいっ! はい、はい! 質問いいですか!」
「なんだ、トム」
トムと呼ばれた若い騎士が、挙手までして質問をしてきていた。ノアが面倒くさそうに名前を呼ぶと、広場に響くような大きな声で話し出した。
「本当にこちらの女性がエボルガー侯爵令嬢なんですか?! 自分も何度かご令嬢とお会いしましたが、格好も雰囲気も話し方も、これまでとすべてが全然全く違うんですが!!」
「――馬鹿野郎っ!!」
先ほど謝っていた体格の良い騎士が、隣から拳を振り上げて、トムと呼ばれた若い騎士の頭に思い切り落としていた。
「イッテぇ!! ひどいッスよ! 隊長ッ!!」
「お前、立場ってもんを弁えろっ!!」
「ヒエぇぇッ! す、すいませんっ!! エボルガー侯爵令嬢、大変失礼いたしました!!」
この軽い感じの若い騎士が、騎士たちの中で一番下なのか、思い切り殴られた頭を抑えながら涙目で謝っていた。
「今回は目を瞑りますわ。次からは気を付けてくださいね」
にこりと笑ったミレールに、周りの騎士たちは呆然としていた。以前のミレールならこの時点で大激怒して、この騎士を城から追い出せと喚いていたことだろう。
「エボルガー侯爵令嬢、大変失礼いたしました。コイツらを代表して、隊長の俺が謝ります」
「隊長さま、お気になさらずに。これまでのわたくしの行いが悪すぎた結果ですもの……これからは皆さまにご迷惑をかけぬよう努めてまいりますわ」
胸に手を当てて傷心とした表情で俯いていた。
ミレールの態度の変わりように、周りにいた騎士たちは口を開いて呆然とし、シーン……と静まり返ってしまった。
「……ま、そういう訳だ。こいつも反省してるみたいだし、殿下もこれまでのことは不問にすると仰っていた。……だからこれ以上、人の妻を侮辱することは許さんぞ!」
「――っ!」
ノアが隣からミレールの肩をグッと自分のほうへと抱き寄せ、強い口調で騎士たちに叱責していた。
抱かれた手が思いのほか強くて、見上げたノアの顔が本気で怒っていて、ミレールの心拍数が一気に急上昇する。
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