【R18】夫と6年間レスだった私が憑依転生したのは、大人向けweb小説の悪役令嬢でした

ウリ坊

文字の大きさ
上 下
26 / 110

火照る身体

しおりを挟む
 
 ノアは跪き、自身の体を抱きしめたまま俯いているミレールを下から覗き込んでいた。
 ミレールは熱い体を持て余しながら、ちらりとノアに視線を向けると、ノアはテーブルの上のワインを見ていた。

「あんた、このワインを飲んだのか?」

「……えぇ」

 晩餐の時は酒類を口にしていないし、緊張でほとんど食べ物を口にできなかった。
 ミレールが返事を返したのを聞いて、ノアは短く息を吐く。

「どうやらワインに薬が混ぜられていたようだな」

「薬……?」

「あぁ。あんたのその様子から……おそらく遅効ちこう性の媚薬だろう。ま、犯人は大方おおかたうちの両親で間違いないな」

「び、やく……です、か?!」
 
 あらかた予想していたのか、さも当たり前のように話しているノア。
 体を抱きしめていたミレールは驚きに目を大きく開いた。

(オルノス侯爵夫妻は、一体どれほどわたくしたちの孫を望んでらっしゃるの!?)

 新婚初夜を迎える夫婦に媚薬入りの酒を提供するくらい、侯爵夫妻は自分たちの結婚を熱望していたのか、とミレールは少し怖くなっていた。

 ただ体にくすぶる熱は引くどころかどんどん酷くなっていく。
 体が熱くて仕方ない。
 今すぐ着ているものをすべて取り払って、この体に溜まっている熱を吐き出してしまいたい衝動にかられている。

 跪いていたノアは立ち上がると、椅子に座っていたミレールに手を伸ばし、そのまま抱え上げた。

「えっ……?! ノア?!」

 突然の浮遊感に動揺してしまう。
 
「普段ならあの人たちに怒っているが、あんたは乗り気じゃないようだし……ちょうど良かったのかもな」

「っ」

 抱えながらノアはすたすたと歩き出す。
 すぐ目の前にノアの顔が迫り、逞しい腕に抱かれているとミレールの動悸がさらに激しくなる。
 
(また……ノアに、抱き上げられていますわ……どうしてこんなに、優しくしてくださるの……?)

 見上げた先にある凛々しい顔に目が釘付けになる。
 杏だった頃にも、こんなふうに抱えられたことはなかった。

 媚薬のせいなのか、熱の籠もった瞳でノアを見ていると、不意に柔らかな場所へと降ろされた。
 そこがベッドだと気づいた時には、もうノアはミレールの上に伸し掛かっていた。

「ノア……」

 ギシッと軋むベッドの上で、横たわっていたミレールはドキドキしながら顔を上げる。

「目……閉じろよ。あんたに見られてると、やりづらい」

 体にノアの重みを感じながら、言われた言葉の意味を熱に浮かされた頭でぼんやり考えていると、急に唇を奪われた。

「んッ?!」

 優しく触れるようなキスではなく、吐息まで奪うような激しいキスに、思わずノアの腕を掴んだ。

「ふぅっ……! んんッ……!」

 一度唇が離され、息つく暇もなくまた唇が深く重なり、唇の間から舌が差し込まれた。

「は、あっ! はっ……、んッ! んんっ!!」

 ノアの舌で自分の舌をなぞられると、ゾクゾクと背筋が震える。
 絡み合う舌が熱くて、とても心地好い。自分からも舌を出し、辿々たどたどしくノアの舌に応える。

 最後にキスしたのは何時いつだっただろう、とふと考えた。
 今では思い出せないくらい遥か昔のことに、ミレールはノアの腕を掴みながら、夢中になって唇を合わせた。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...