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五十九
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王城に戻る前にシルベスター君に言われて、アルカさんの温室から女神の涙を採ってきた。
ぐるぐる巻きのセンバン殿下を騎士に引き渡し、彼は地下牢に入れられた。
セルバン殿下は自国でもセンム草を使用していたらしく、この問題は大きい。
眠ってしまった、全ての人々が目を覚まし落ち着いてから、裁判、国同士との話し合いが始まる。
それにアメリアさん達、第一王子も含まれているとオルフレット様は言った。
しかし、アメリアさん達を含めてセンム草で眠ってしまった人々が両国に多数いる為。
この問題が解決するまで、相当な時間が、かかるともおっしゃった。
「シルベスター君、女神の涙だよ」
「ありがとう、師匠に渡してくるね」
「シルベスター、ありがとう。助かったよ」
「どういたしまして! また後で~」
シルベスター君がアルカさんの所に行き、オルフレット様と2人きりになる。
話をすると言っていたけど、どんな話をするのかしら……
彼は何も言わず、心の声も静かで。
戻ってきてからも、ずっとお姫様抱っこのままなのだけど。
「さて私たちも行くか、ロレッテ」
ーー先ずは風呂とロレッテの服だな。
お風呂? そうだわ、このドレスを着替えないと。
「あ、あのオルフレット様、身なりを整えて後でお会いしましょう。おろしてください」
「嫌だ。そんなことを言って私から逃げる気かな? 逃がさないよ。すでにリラに連絡して、私の部屋のお風呂を用意させている」
「オルフレット様の部屋に⁉︎」
「あぁ、大きな浴槽だからゆっくり入れるよ」
ーーできれば、ロレッテと一緒に入りたいな。
(一緒ですか!)
一緒にお風呂……
「ロレッテ頬が真っ赤だ、どうしたんだい?」
「ま、まだ一緒は無理です」
彼は一瞬驚き、微笑んだ。
ーーふふっ、そうだった。なんだ、一緒はだめか……残念だな。
「結婚したら、一緒に入ろうね」
「……うっ」
返事を返せなくて、照れてしまい、彼の胸に顔を埋めた。
ーーその仕草も可愛い、ロレッテにキスしたい。
「オルフレット様⁉︎」
「本音だ、キスしてもいい?」
「あう、き、綺麗にした後でなら……い、いいですわ」
ーーなんて君は愛らしい。
(私に彼の心の声が聞こえていると知っているから……本音が丸聞こえですわ)
「ごめんね、私の本音でトマトになってしまったね」
ーーあぁ、食べてしまいたい。
「⁉︎」
自分がどんな表情をしているのか分からなくて、とっさに両手で顔を隠した。
嬉しい、幸せ、恥ずかしい、照れる、ドキドキする、オルフレット様の心の声に私の心がもたない。
それに距離が近いから、彼の鼓動までわかってしまう。
ーー互いに心の音が激しいね。
+
彼の部屋は……当たり前なのだけど普段、彼からする香りがしていた。
子供の頃もオルフレット様の部屋には、訪れたことがなく、初めてかもしれない。
彼の部屋はブルーと白で統一されていた。
ーーロレッテの風呂の間に、私も入ってくるか。
「ゆっくり、温まってね」
彼は別の部屋のお風呂に行き。
私は彼の部屋のお風呂にゆっくり浸かり、お風呂上がりに困惑していた。
「リラ、リラ! これしかないの?」
「はい、そのようにとのオルフレット殿下からの言いつけですので、私にはどうする事もできません」
「そんなぁー可愛いけど」
薄ピンクのネグリジェだけだなんて、上に羽織るガウンもない。
これだとセンバン殿下に握られた痕が見える、すり傷もあったり、赤くなっていたりもしていた。
「こんな体……オルフレット様に見せらないわ」
「んっ? ロレッテ、お風呂から出たの? 心配ないよ、出ておいで」
声が聞こえて、先に戻られていたオルフレット様は脱衣所にいる、私の手を引いた。
「そのネグリジェ、良く似合っている」
ーーうむ、その色にして正解だな。
お風呂上がりでガウン姿のオルフレット様に、そっと抱え上げられて彼のベッドに寝かされた。
彼もベッドの上に登り、私の痣が残る手首を手に取ると、かぷっと噛んだ。
「オ、オルフレット様?」
何が起きたのかわからずパニックになる。
彼は次の傷を探してながら。
「ロレッテはまだ、魔法で傷は治せないだろ?」
こく、こく、と頷いた。
ーー大丈夫、傷を治すだけだから。
「でもね、治すときにこうしないと治せないんだ」
また、かぷっと今度は擦り傷ができた肩を噛んだ。
オルフレット様の言う通りで、ほんとうに彼に噛まれた後の傷跡は綺麗に治っていた。
「ありがとうございます、オルフレット様」
「どういたしまして」
ーーあれっ、信じた? 噛んで、治すのは嘘だけどね。
「えっ、嘘? ま、待ってください。そこは恥ずかしいですわ!」
手で押さえつけられて、太ももをかぷっとオルフレット様は噛んだ。
「んんっ!」
「話を聞かずに、逃げた罰ね」
そんなぁー!
ぐるぐる巻きのセンバン殿下を騎士に引き渡し、彼は地下牢に入れられた。
セルバン殿下は自国でもセンム草を使用していたらしく、この問題は大きい。
眠ってしまった、全ての人々が目を覚まし落ち着いてから、裁判、国同士との話し合いが始まる。
それにアメリアさん達、第一王子も含まれているとオルフレット様は言った。
しかし、アメリアさん達を含めてセンム草で眠ってしまった人々が両国に多数いる為。
この問題が解決するまで、相当な時間が、かかるともおっしゃった。
「シルベスター君、女神の涙だよ」
「ありがとう、師匠に渡してくるね」
「シルベスター、ありがとう。助かったよ」
「どういたしまして! また後で~」
シルベスター君がアルカさんの所に行き、オルフレット様と2人きりになる。
話をすると言っていたけど、どんな話をするのかしら……
彼は何も言わず、心の声も静かで。
戻ってきてからも、ずっとお姫様抱っこのままなのだけど。
「さて私たちも行くか、ロレッテ」
ーー先ずは風呂とロレッテの服だな。
お風呂? そうだわ、このドレスを着替えないと。
「あ、あのオルフレット様、身なりを整えて後でお会いしましょう。おろしてください」
「嫌だ。そんなことを言って私から逃げる気かな? 逃がさないよ。すでにリラに連絡して、私の部屋のお風呂を用意させている」
「オルフレット様の部屋に⁉︎」
「あぁ、大きな浴槽だからゆっくり入れるよ」
ーーできれば、ロレッテと一緒に入りたいな。
(一緒ですか!)
一緒にお風呂……
「ロレッテ頬が真っ赤だ、どうしたんだい?」
「ま、まだ一緒は無理です」
彼は一瞬驚き、微笑んだ。
ーーふふっ、そうだった。なんだ、一緒はだめか……残念だな。
「結婚したら、一緒に入ろうね」
「……うっ」
返事を返せなくて、照れてしまい、彼の胸に顔を埋めた。
ーーその仕草も可愛い、ロレッテにキスしたい。
「オルフレット様⁉︎」
「本音だ、キスしてもいい?」
「あう、き、綺麗にした後でなら……い、いいですわ」
ーーなんて君は愛らしい。
(私に彼の心の声が聞こえていると知っているから……本音が丸聞こえですわ)
「ごめんね、私の本音でトマトになってしまったね」
ーーあぁ、食べてしまいたい。
「⁉︎」
自分がどんな表情をしているのか分からなくて、とっさに両手で顔を隠した。
嬉しい、幸せ、恥ずかしい、照れる、ドキドキする、オルフレット様の心の声に私の心がもたない。
それに距離が近いから、彼の鼓動までわかってしまう。
ーー互いに心の音が激しいね。
+
彼の部屋は……当たり前なのだけど普段、彼からする香りがしていた。
子供の頃もオルフレット様の部屋には、訪れたことがなく、初めてかもしれない。
彼の部屋はブルーと白で統一されていた。
ーーロレッテの風呂の間に、私も入ってくるか。
「ゆっくり、温まってね」
彼は別の部屋のお風呂に行き。
私は彼の部屋のお風呂にゆっくり浸かり、お風呂上がりに困惑していた。
「リラ、リラ! これしかないの?」
「はい、そのようにとのオルフレット殿下からの言いつけですので、私にはどうする事もできません」
「そんなぁー可愛いけど」
薄ピンクのネグリジェだけだなんて、上に羽織るガウンもない。
これだとセンバン殿下に握られた痕が見える、すり傷もあったり、赤くなっていたりもしていた。
「こんな体……オルフレット様に見せらないわ」
「んっ? ロレッテ、お風呂から出たの? 心配ないよ、出ておいで」
声が聞こえて、先に戻られていたオルフレット様は脱衣所にいる、私の手を引いた。
「そのネグリジェ、良く似合っている」
ーーうむ、その色にして正解だな。
お風呂上がりでガウン姿のオルフレット様に、そっと抱え上げられて彼のベッドに寝かされた。
彼もベッドの上に登り、私の痣が残る手首を手に取ると、かぷっと噛んだ。
「オ、オルフレット様?」
何が起きたのかわからずパニックになる。
彼は次の傷を探してながら。
「ロレッテはまだ、魔法で傷は治せないだろ?」
こく、こく、と頷いた。
ーー大丈夫、傷を治すだけだから。
「でもね、治すときにこうしないと治せないんだ」
また、かぷっと今度は擦り傷ができた肩を噛んだ。
オルフレット様の言う通りで、ほんとうに彼に噛まれた後の傷跡は綺麗に治っていた。
「ありがとうございます、オルフレット様」
「どういたしまして」
ーーあれっ、信じた? 噛んで、治すのは嘘だけどね。
「えっ、嘘? ま、待ってください。そこは恥ずかしいですわ!」
手で押さえつけられて、太ももをかぷっとオルフレット様は噛んだ。
「んんっ!」
「話を聞かずに、逃げた罰ね」
そんなぁー!
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