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五十五 オルフレット様(前編)

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 目の前でロレッテが光の泡となって消えてしまった。

 もしかしたら外にいるかもと、執務室を出てたが彼女の姿は見えなかったが、アルカとシルベスターがいた。

 どうやら話を立ち聞きしていたらしい。
 アルカは私を見てにやりと笑った。

「彼女は独特な能力を持ちすぎですね。魔力量は最大、心を読むスキルとか。オルフレット様には支えきれないのでは?」

「僕なら大丈夫、支えるよ」

 2人は彼女を気に入っているようだが、渡す気はない。

「私に何が言いたい」

「オルフレット様は心の声が読まれるなんて、怖くないのかい? 私だったら怖いけどね」

「僕はロレッテになら読まれても平気だよー」

「私だって、ロレッテになら怖くはない!」

「そうは見えませんでしたけどね」

 読まれるくらい怖くない……読まれた心が恥ずかしすぎるんだ! ロレッテがとてつもなく好きだとか、彼女を色目で見ていたことが彼女にバレていたんだ。
 
「ならば、どうしてそんなに難しい顔をしているのですか? オルフレット様は?」

 そんなのアルカにもわかっているだろう。

「ロレッテが持つ魔力だ! 彼女に私と同じ目にあって欲しくない。魔力は制御できなければ……自分の大切な人を私みたいに傷付けるんだ!」

 始めてロレッテに会ったときに私の魔力が暴走した。アルカとシルベスターがいたからなんとかなったが……私は彼女の頬に傷をつくってしまった。

 それ以前からだ、父上、母上、側近のカウサは私を守ろうとした。しかし、私はみんなを魔力を暴走させて傷付けた。

「なら、オルフレット王子も心の奥底に隠さず。ロレッテ様に言えばいいんじゃない? 話して仕舞えば心が軽くなり制御できるようになるかもしれませんよ」

「ロレッテならどんな君だって受け止めると思うよ。なにせ、君を助けるために馬を走らせて、クラフト草を体にさして森に入ってきたくらいだもの」

 クラフト草?

「あの臭い、モンスター避けの草か?」

 アルカが聞くと、シルベスターは体全体で頷いた。

「師匠とオルフレットも聞いてよ。僕が初めて会ったときのロレッテは、もー身体中にさしてたよ。僕、臭くて鼻が曲がりそうで困った」
 
 その時の格好は想像できないけど、いつも身なりに気を付けてきた彼女がか?
 
「オルフレット様を助けたくて頑張ったんだね。ロレッテ様の愛は大きい」

「ずるいなぁ、僕もロレッテにブラッシングしてもらいたいなぁ、体も撫でてほしいし、また僕と一緒に寝てほしい」

 シルベスターと……絶対にさせない。

「アルカ、シルベスターはロレッテが何処にいるか知っているのか!」

 ふふっとアルカは笑う。

「オルフレット王子がご自分で、ロレッテ様の魔力をたどり、探せばいい」

 ロレッテの魔力をたどる?

「なんなら僕が魔力補助を手伝ってあげるよ、一緒にロレッテを迎えに行こうね」

 ……嫌なのだが。

 私たちは執務室の前で立ち話をしていた。そこに遠くから、慌てた様子で走ってくるカウサの姿が見えた。


「「オルフレット様!」」


 彼は私たちの側で足を止めて、報告した話に今すぐロレッテを探さがさないと、彼女が危ない。

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