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四十一

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 早朝シルベスター君に包まれながら目が覚めた。もふもふは温かく気持ち良かった。

「よく寝れた?」

「はい、よく寝れました」

「そうみたい、髪が寝癖だらけだよ」

「えっ?」

 結ったまま寝てしまい髪に跡がついていた。
 彼に魔法で水を出してもらい身なりを整えた後に、ボニートに朝食あげて、次に私たちの朝食の準備を始めた。と言っても、昨夜のパンケーキもどきと苺のジャムですけど……あ、苺のジャムはシルベスター君が瓶まで舐めて綺麗に平らげた後だった。

 そうだ! と思いつき。

 シルベスター君に昨日の果物が欲しいとお願いすると、彼は喜んでその実を採ってきてくれた。
 それをボニート用に食べやすく切り、残りは刻んで鍋で煮込み潰したジャムもどきを作った。

 香りよく煮詰まったジャムもどきに、我慢できずシルベスター君よりも先に味見をしてしまう。

「あっ、ずるい」

「ごめん、でも美味しいわ」

 砂糖がなくても甘い実のジャムもどきは、パンケーキもどきにもぴったりあった。

「甘くて美味しい、もう1枚パンケーキ食べたい」

 彼も気にいったらしくお皿に顔を突っ込み、口の周りをジャムだらけにして食べてくれた。

(か、可愛い……)

 もふもふなジルベスター君の可愛い姿も見れて、味も満足な朝食になった。

 腹ごしらえを済ませて、火の後始末もしっかり終わらせると、シルベスター君は立ち上がり私を見た。

「さあ、ロレッテ。女神の涙の採取の時間だ」

「採取の時間?」

 その言葉に聞き返すと。
 彼は女神の涙は早朝にしか花だと言った。そして少しでも時間が過ぎ花が萎むと、薬草としの価値がなくなると教えてくれた。

 その花が咲く場所には偽物の草も咲く。
 女神の涙の花が萎むまでは30分。それまでに見つけてねと彼は言った。

「30分ですか? ……一緒にシルベスター君も女神の涙を探せれないの?」

「ごめんね、無理なんだ。この花を採取できるのはあの図鑑の隠し文字が読めた人で、それも女性だけなんだよ」

 女性だけ。

「だとすると、私にしか採取できない、、のね」

 シルベスター君はコクコクと頷いた。

 私だけって、すごく緊張するわ……でも、ここまで来たのだもの、絶対に女神の涙を持って帰ります。

 オルフレット様、カウサ様、皆さん待っていてください。

「ロレッテ、早くしないと花が萎んじゃうから行こう。僕がその場所まで転送で送ってあげる」

「ありがとうございます、シルベスター君」

 じゃー行くよっと彼の近くに行くと、足元に円状の奇抜な文字が浮かび上がった。

「え、えっ?」

「ロレッテもし怖かったら、僕かボニートにしがみつくといいよ」

「は、はい!」

 その言葉にがっしり2人にしがみ付くと、シルベスター君はまだクラフト草の匂いがすると笑った。

「転送」

 足元の光の文字は私たちを包み込み、ふわりと体が浮かぶ感じがして目を瞑った。
 その瞬間に朝の冷たい森の緑の空気から、甘い花の香りと、ふわりと浮いた浮遊感が終わり地面に足が付いた。

「山頂に着いたよ、目を開けてみて」

 彼の言う通り目を開けると、木々が生い茂る森の中から、色とりどりの花が咲く開けた場所へと変わっていた。

「ここが、ベルク山の山頂だよ」

「ここが……そうなのね。ねぇ、シルベスター君」

 今のは何と話しかけようとしたのだけど、彼のもふもふな尻尾が私の口元を抑えた。

「聞きたいことは後でね、先に花を見つけた方がいいよ、ここに咲く花すべてだから」

 図鑑の絵は白黒だったから形までしか分からない。
 いま私の目の前に咲く花の中に本物があるんだ。



 ♢



 シルベスター君の転送でベルク山の山頂まで連れてきてもらった、王城の庭園くらいの開けた所には色とりどりの花がお花畑のように生えていた。

「……本当なのよね」

「あぁ、本当さ。この中には必ず本物が必ずある、それは1本かもしれないし全部本物かしれない。ごめんね、僕も師匠からはコレだけしか聞かされていないんだ」


「ボニートと僕はここで待ってるから、頑張って女神の涙を探してね」

 ヒヒィィィン! 

「えぇ、頑張るわ!」

 シルベスター君とボニートに励まされて、私は女神の涙を探しを始めたのだった。  
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