嫌われ者の悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。

閑話 オルフレット様とロレッテ嬢

　待ちにまった二人の時間が来た。

「ロレッテ、慌てるなよ」

「オルフレット様……わかっておりますわ」

　まだ一週間前のことをおっしゃっているのですね。　
　あれは事故なんです。

　ただおっちょこちょいの私が起こした事故なのですわ。

　そろそろ忘れて欲しいのですが……


　♢
　

　あれは一週間前のこと。
　その日もオルフレット様に会える時間を楽しみにしていた。

　もうすぐ彼に繋がると、会えると、私は店の裏口に慌て向かった。

　慌て過ぎて足元が疎かになっていた、ちょうどそこに水の入った桶が置いてあったのです。


「「きゃっ⁉︎」」


　バシャッと桶に足を引っ掛けて、転んだそのときにオルフレット様と繋がった……

「ロレッテ、こんばんは……はぁ、ロレッテ？　おい、どうした？」

　どのように転んだのか分からないのだけど、オルフレット様が驚くほど、頭からずぶ濡れの私がおりました。

「怪我はしていないか？」

「はい……会えるのが嬉しくって急いてしまい。この様な姿をお見せしてしまいました」

　恥ずかしい、オルフレット様にみっともない姿を見せてしまいましたわ。

「そんなに濡れていては風邪をひいてしまう、店に戻ってタオルを貰ってきなさい」

　この時の私は動いても胸にペンダントがあるのだから、映像が着いてくる事を知らなかった。

　せっかくお会いしたのに離れるのが嫌で。

「嫌です、この時間を楽しみにしてるのだもの、どこにも行きませんわ……うっ、うう離れたくないの」

「ロレッテ！」

　物凄く我が儘な子になり、彼の前で初めて泣いてしまいましたの。
　その後も駄々っ子になった私は、オルフレット様が何を言っても嫌々だと言い。
　心配してくださるオルフレット様を困らせたのだった。


　♢


　いま思い出すと、穴があったら隠れてしまいたいですわ。

「ロレッテ嬢のあんなに駄々をこねる姿、泣き顔も初めて見た……」

「その事はお忘れてください」

「嫌だ、忘れないよ。そのとき側に入れなくて残念だったよ。あ、そうだ、用事で二日後にそちらに戻るから会おうね」

「本当ですか！」

　後二日後にオルフレット様とお会いできるのね。

「嬉しい、待っております」

「私も嬉しいよ。いっぱいロレッテ嬢を抱きしめさせてね」

「はい、私もいっぱい抱きつきますわ」

　幸せそうに笑い合う、私たちを周りは温かく見守っていた。


  

 ♢

　二話続けて閑話で短くてすみません。