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第二章

40話

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 サタ様、アール君と私はホウキで。黒キツネのソーロ君はフワフワ浮く球体の、クラーケンのパワー様に掴まり、仲良くコーサックの森に移動していた。

 向かっている、コーサックの森の場所はアルクス王都から、南に1キロくらい進んだところにある森だそうだ。新しい森だと聞くだけで、新しい薬草、植物を発見できるのかとウキウキしてしまう。

 本当はマーレ港街に隣接していた、森も見たかったけど。いまは謎の病気に苦しむ、ソーロ君の家族が心配だ。
 
 だけど、どんな病に倒れているのか。
 サタ様とアール君は私なら出来ると言うけど、私と博士でソーロ君の家族が助けれるのか――緊張もしている。

「サ、サ、サタ様、みみ、みなさま……目の前に見えるのがコーサックの森です。森の入り口におりましょう」

 プカプカ浮かぶパワー様にしがみついていた、ソーロ君は疲れたのだろう、早く降りようと催促した。

「ソーロ君もつかまるのに、疲れたのならこっちに来る?」

 この言葉を待っていたと、ソーロ君は隣をホウキに乗り飛ぶ私の後ろに軽やかに乗った。

「ありがとうございます、実は限界が来ておりました!」
「ヌシは腕力が足らぬな」

「パワー様は球体なんです。どこを掴んでもツルッと行きます。前足後ろ足の肉球で、ここまで……つかまっていましたぁ!」

 ソーロ君は文句を言いながら、本当に怖かったのだろう"ビービー"泣いた。



 コーサックの森に着き、ソーロ君の家族がいる場所へと案内してもらう。だが、サタ様とアール君は森の中にいる魔物――コロ鳥、ウサーゴン、ニョンロロを見つけては、狩り血抜きをして、アイテムボックにしまっていた。

 先を急ぐ、ソーロ君はさぞかしイライラしているのかと思ったが。

「サタ様がイキイキと狩りをしてる……懐かしい」

 昔を思い出し、今度はポロポロ泣いていた。イライラしているのはパワー様だった。パワー様が魔法を繰り出す前に、魔物をどんどん狩っていく2人。

 見せ場のない、パワー様はムスッとしている。

「良いではないか、パワー。狩など、いつでもできるではないか」

「はい、パワー様も今度ボクたちと冒険に行きましょう!」

 プンスカ怒る1人、宥める2人と、感動に浸る1人を他所に。キウイフルーツに似た果物を見つけた。

 博士、食べれる?

《はい、野生のキウキウイといい。薄茶色の見た目、産毛に覆われるフォルムが特徴の果物です。中の果肉は爽やかなグリーンでその実は甘味と酸味があります》

 効能は?

《ビタミンC、ビタミンEが豊富。冷えの改善、むくみ予防になります》

 タネを頂戴。
 博士にタネをもらってキウキウイを、エルバの畑に植えた。
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