野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ

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第二章

29話

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 冒険者ギルドの応接間のソファーで、しばらく待つように言われた。その間、サタ様とアール君とで念話で話していた。

〈ギルドボードに、カルア草のクエストが貼られていたのか〉
 
〈うん、それでギルドで聞いたら驚かれちゃって、ここに案内されたの〉

〈おかしいですね。冒険者ギルドの職員が毒草を、知らないことはないと思われますが……〉

 アール君の言う通りかも、だったら何かを試すために貼っていたとか? 私が余計な事をしてしまった予感がした。

 コンコンコンとノックの後、応接間の扉が開き。
 ベストとシャツ、スラックスの白髪混じりの短髪の、おじさんと、さっきの受付のお姉さんが入って来た。

〈うむ。人間にしてはガタイがいいな〉
〈はい、Sランクの冒険者だったようです〉

 すかさず、おじさんのスキルチェックをしている2人。だけど、自分達よりも力の差があったのか……すぐに興味をなくした。

 目の前のソファーにドカッと座った、おじさんはクエストの紙を見せて。

「さて、君がこのクエストに書いてある――カルア草が毒草だと見抜いたのか?」

 私が「はい」と話すより先に、お姉さんが話した。

「はい。ここ王都では珍しいFランクの冒険者です。Fランクの冒険者と言えば――王都のギルドより街にある支店ギルドに多くいます。ここはSランクからBランクが多いんです、この冒険者ギルドにいる自体珍しい」

〈ん? 今軽く、デスられた?〉
〈Fランクは街の冒険者ギルドでクエストでも、受けとけと言ったようだな〉
〈面白い事を言いますね……エルバ様、気にするだけ疲れますよ〉

 そうだけど……ギルドカードを持つ冒険者はどこのギルドでも、クエストが受けるはずなのに。ランクが高い冒険者しかいないみたいな事を言うなんて、見下しすぎだ。

 こんな態度だからランクの低い冒険者は。
 バカにされる王都の冒険者ギルドより、街の支店ギルドに行くんだよ。

 そんなんだと、育つ芽を積んじゃうぞ!

「あんまりひどい事を言うな、といつも注意しているだろう! これはすごい事だぞ」

「そうですが、ギルドマスター! ギルドの質が落ちます!」

「質? なんだそれは! 冒険者はランクが低かろうが高かろうが冒険者だ! お前達のその態度が、低ランクの冒険者を遠ざけているんだ!」

 おじさん――ギルドマスターの剣幕に圧倒されるお姉さん。だけど、あまり効果がないみたいで、ツンとそっぽを向いた。

「すまんな……だが、よく毒草のクエストだと見抜いたな。これはひと月に一回行っている、AランクからBランクあたりの試験なんだ」

「し、試験ですか……」

「そうよ。低ランクのあなたが台無しにしたわ」
 
「おいおい、落ち着け。最近の冒険者は採取クエストを軽く見ていたな。薬草にあまり詳しくない……よく薬草と毒草を見間違えて採取してくる。それでな毒草のクエストを貼って、見抜けるのか試験をしている」

〈うむ。ランクの高い冒険者が討伐の片手間に、採取クエストを気軽に受けるからだな〉

〈報酬関係で、採取クエストだけを生業にしている、冒険家が減ったのかもしれませんね〉

〈ええ! 採取、面白いのに〉

 でも試験ならよかった。もしかしたら、カルア草のクエストの依頼主が……一瞬、アマリアさんで。毒草だと知らずに、クエストを貼っているのかと思った。

 キキさんに会ったばかりで、過剰に反応して、余計なことをしてしまった。
 
 まあ、カルア草は特殊指定クエみたいだし。あの子は黒魔術をかじっていたみたいだから……自分で集めるか、何処かで栽培してそうだ。

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