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第二章

26話

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 私達は学園の奥に生える、キバナの木の妖精キキさんのところへと向かった。あいも変わらず黄色い桜に似た花を咲かせる精霊のキキ。
 
 この木は枯れることなく花を咲けせ続ける。

「キキさん!」
「調子はどうだ?」
「ご機嫌いかがですか?」
 
[あら? エルバちゃん、サタ様、アール君来てくれたの? 会えて嬉しいわ]

「あれからどうだ?」
 
[そうね、グルナにローザンというお友達ができたの。2人でよくここに訪れてくれる……あの子はまだ、このキバナの木を毒にしようと……諦めていないみたいだけど。解毒薬のおかげか前より辛くないわ]

 フワフワ飛び、いつにも増して綺麗なキキさん。
 
 前の解毒薬が、まだ効いていてよかった……そうだ。「解毒薬まくね」と、私はマジックバッグから昨夜作った解毒薬を取り出し、キキさんの根元に撒いた。

 解毒薬が染み込んでいき、キキさんな体が緑色に光る。

[ああ、気持ちいい……体に染み込んだ毒が消えていく。ハァ、ありがとうエルバちゃん]

「フフ。どういたしまして、喜んでもらえて嬉しい」

「うむ。だが……まだ奥に残る毒までは解毒出来ないな……」

「そうですね。染み込んでしまっているので、地道に解毒していきましょう」

「「おう!」」

 学園からチャイムの音が聞こえ、休憩の時間のようだ。この場所にモサモサ君と新魔王くんたちが、来るのかと思ったけど――誰も来ない。

 まだ、お昼前だからかな?

「ねぇキキさん、グルナくんとローザン君が来ないね。彼らはお昼休みの時に来るの?」

[2人は今、王都から東側のマーレの港町に行っています……グラナからの話では、その港街に大型の魔物クラーケンが出たとかで、学園の実力者たちが2日前から研修も兼ねて遠征中です]

「「遠征中? 大型の魔物クラーケン⁉︎」」

 おう……クラーケンって、どんな魔物だ?
 知らない魔物に驚く私と、何やら知っているサタ様とアール君。

「まさか、あいつか⁉︎」
 
「サタ様、あり得ますね……あの方は滅多に人を襲うことはしませんが……かなり面倒な方です」

「……そうだな」

 人を襲わないけど、面倒?

「サタ様とアール君は、そのクラーケンという魔物を知ってるの?」

「うむ。実物を見てみないと何とも言えないが……多分、知っている」
 
「ええ。クラーケンの王、パワー様……かもしれません」

「パワー様?」

[王様? だからね。昨夜、疲れた様子のグラナからの報告が来たのだけと……剣と魔法を弾くそうよ。一緒に行ったローザンは側で何語かわからない言語で話しかけるのだけど――彼の話をまったく聞かないみたいで、自分は魔王なのに……『役ただずだ』と落ち込んでいるみたい]

 クラーケン王に新魔王様のローザン君の話が通じるのなら、私の話もサタ様経由で通じる⁉︎ 

 だったら、大型魔物のクラーケンとやらを見てみたい。

「サタ様、アール君! 私達も、その港街に行きましょう!」
 
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