野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ

文字の大きさ
上 下
67 / 171
第一章

64話

しおりを挟む
 ギルドでは先にカウンターに置かれた水晶をさわり、魔法、スキルを調べる。サタ様は氷属性、スキルは鑑定だと判断された。

 次に自己申告で名前、生年月日を確認する。偽名を使うものもいるため、生年月日を書かせて、同姓同名の登録者の区別するためでもある。

 登録を終えて戻ってきた、サタ様に冒険者ギルドガードを見せてもらった。体力、攻撃力、防御力などの数値はかなり低くしたらしい。

 見た目とは違い弱々設定なサタ様を、周りの女性冒険者は歳の割に、自分達よりも弱いサタ様にがっかりしているようす。しかたがない冒険者は常に命をかける世界、パーティーを組むなら自分と同じランクか、自分よりも強いほうがいい、弱いものは相手にされないのだろう。

 サタ様が出来たばかりのギルドカードに触れると、画面が飛び出し数値がわかった。

 名前 サタ(26歳)
 男性 誕生日 7月17日
 冒険者ランク Fランク
 職業 駆け出しの魔法剣士
 レベル 15
 体力  17
 魔力  20 
 攻撃力 25
 防御力 10
 俊敏性 13

 スキル 鑑定
 

「……へぇ、冒険者ギルドカードって、こんな風に登録されるんだね」

「うむ、前より使いやすくなっている。さあ、エルバ、行こうか」
 
「はい、行きましょう(アール君も行くよ)」

 これで専門店で、素材を売って王都に入れるだろう。
 素材買取り専門店に向かう途中、サタ様に聞いた。

「でもさ、サタ様はこんな弱々設定でよかったの?」

 弱々と聞きフッと笑い、サタ様は頷く。
 
「よい、この方が周りはすぐに諦めるだろう」
「すぐに諦める? え、サタ様は気付いていたの?」

「うむ、ギルドに入ったすぐ彼らに値踏みされた……それにワタシは他の者とパーティーを組む気はない。パーティーを組むなら、エルバ、アールのこの3人だけでいい」

「わかります、昔……女性陣がサタ様を取り合いましたものね」

「ハハハッ、あれには困ったな、純粋に冒険を楽しめなくなる。女性達の告白をお断りして、即パーティーを解散したあと、アール達と行方をくらましたな」

 そうでしたねと、アール君は頷いた。



 買取り専門店についてすぐわかった、ギルドカード『ある』『なし』で店の対応が違う。店のカウンターでサタ様がギルドガードを見せると、ランク関係なしに買り取がすぐ始まった。もち鳥の羽、オオトカゲの爪と牙、ビックベアの毛皮と爪と牙を、サタ様はアイテムボックスから取り出した。

「ただいま査定しますので、しばらくお待ちください」

 待っていると店の人に呼ばれてカウンター行く。
 素材を査定した結果、合計金貨7枚と銀貨の5枚(75000円)になった。これなら鬼人さん達に借りた銀貨も返せるし、王都にもすんなり入れる。

「サタ様、アール君、これで王都に入れますね」

「うむ。結構な金額にもなったな、王都に入都しても残る。いまのうちにアールとエルバ、冒険者ギルドに登録をするか?」

「いいですね。先にエルバ様が登録されればいいのでは? ギルドカードは身分証にもなるみたいですし」

「そうだな、ワタシと同じFランクになるように、いまの力を抑えなくてはならない。そのままギルドに行くとAランクか、それ以上か?」

 格好はローブのままでいいか。とか、見た目も変えなくていいな。とか、サタ様とアール君は話している。私が冒険者になればギルドでクエストを受けて、このあたりの森の中を自由に探索できる。

 新たな植物の発見、魔物の討伐もできる。冒険者ギルドで受けた、クエストを達成すれば報酬がもらえる。出来るのなら、冒険者らしく鎧を着て、カッコいい武器も持ちたい。

(これぞファンタジーの世界、楽しみだ!)
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。 人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】 前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。 そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。 そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。 様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。 村を出て冒険者となったその先は…。 ※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。 よろしくお願いいたします。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

乙女ゲームの世界に転生したと思ったらモブですらないちみっこですが、何故か攻略対象や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています

真理亜
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら...モブですらないちみっこでした。 なのに何故か攻略対象者達や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛されています。 更に更に変態銀髪美女メイドや変態数学女教師まで現れてもう大変!  変態が大変だ! いや大変な変態だ! お前ら全員ロ○か!? ロ○なんか!? ロ○やろぉ~! しかも精霊の愛し子なんて言われちゃって精霊が沢山飛んでる~! 身長130cmにも満たないちみっこヒロイン? が巻き込まれる騒動をお楽しみ下さい。 操作ミスで間違って消してしまった為、再掲しております。ブックマークをして下さっていた方々、大変申し訳ございません。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...