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第一章

40話

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 私達は原っぱの開けた場所でオオトカゲの肉を卓上コンロで焼いている、調味料は塩コショウのみ。焼き肉のタレ、ネギ塩タレ……なんてものはない。

(ニンニク、生姜、ハーブ類も発見まだなんだよなぁ)

 今、簡単に作れるのはレンモンと塩、コショウのレンモン塩タレ。
 お肉を焼く、サタナス様が近くの草を選別してちぎって、引っこ抜き魔法水で洗い、薄切りにしてお肉の上に乗せた。

「お肉の上に草?」

 驚く私に、サタナス様はニンマリ笑い。

「なんだ、エルバは知らないのか? これがローズマリーンという肉の臭み取りをするハーブで、コッチは風味付けの野生のニンニククだ。冒険者のときにおぼえた」

(ローズマリーとニンニク!)

 博士、2つの効能を教えて。

〈はい。ローズマリーンは老化の元となる活性酸素の成分を含んでいるため、若返りのハーブと言われています。野生のニンニククは疲労回復、冷え解消です〉

 博士に2つのタネをもらってエルバの畑に植えた。これでいつでも採取できる。若返りハーブのローズマリーンを乾燥させてお茶にすれば毎日とれるし、ニンニククの冷え解消は優れもの。

 それにニンニクはいろんな料理に使えるから便利、あと生姜を見つけたいなぁ。そういえばハーブって昔は薬としても使われていたはず。もっと、ハーブに詳しくなって。いろんなハーブを発見すれば料理の幅がひろがる。

 エルバの畑にハーブ園もできる。

「エルバ、アール、オオトカゲの肉が焼けたぞ。上のローズマリーンはクセがあるから食べなくていい」

「「はい、いただきます!」」

 アール君と焼き上がった、オオトカゲの肉にかぶりついた。
 
 んん、シュワシュワのおかげで硬いと言っていた、オオトカゲの肉は柔らかくてジューシー。一緒に焼いたローズマリーンの香りとニンニクク、塩コショウ、なんて最高な焼肉だ。

「おいしい、ローズマリーンの香りとニンニククがきいていて美味しい!」

「懐かしいオオトカゲのお肉です。シュワシュワに漬けたおかげでお肉が柔らかい」

「うむ、うまいな」

 3人でちいさな卓上コンロを囲み、焼き肉を食べるというより、取り合いながらむさぼり食べていた。
 



 
 

「コメが欲しい! コメの上にお肉を乗せて食べたら、絶対においしい!」

 焼いて塩ダレのお肉を、コメの上でバウンドさせて食べるか。豪快に塊を焚き火で焼いて薄く切って、コメの上に並べたステーキ丼。

「コメですか? いいですね炊きましょう!」
「お前たちはまだ食べるきなのか?」

「「食べます!」」

 サタナス様が呆れるなかメスティンでコメを炊いて、コンロではなく塊を焚き火に網を引いて豪快に焼き。ナイフで薄く切って、コメの上に並べレンモンの塩ダレを回しかければ――ステーキ丼レンモン塩ダレの完成。

 出来上がったステーキ丼をお皿に取り分け『いただきます』とコメと一緒に食べる。

「ヤバっ、ステーキ丼最高!!」
「美味しいです、ステーキ丼美味!!」
「……これは美味いな」

 3人でオオトカゲの肉はほぼ完食した。そして、疲労回復するニンニククのおかげで、体力、魔力がフルに回復もした。
 
「ふっ~、お腹いっぱい幸せ……しばらく休んでから、片付けて寝よう」

「はい、そうしましょう」

 食後にダイエットに効果があるブラックベリリーと、さっぱりするレンモンのシュワシュワをみんなで飲んでほっこりした。

 寝る前に洗い物のすべてを"クリーンの魔法"がほどこされている箱にしまい。かまどの火を消して、出た炭は炭入れにいれて、使用した道具をアイテムボックスの中に終えば片付け終わり。

 空間魔法が施された神様仕様のテントの前で私は想像する……大きなお風呂、トイレ。あと、天蓋付きの大きなベッドをお願いしますと。

 ここで、私は3人分と願うのを忘れていた。
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