10 / 166
第一章
9話
しおりを挟む
この黒猫のアール君との出会いは一週間まえ。
私は新作の"コメ団子"を食べながら、いつものエルブ原っぱにきている。
「おいしい! この新作モチモチ団子、作った人に感謝!」
この魔法都市に住む、実験好きな魔法使い、魔女、亜人達はコメ草が食べられると知ったやいなや。
野菜などの具をたっぷり挟んだお焼き、せんべい……いま私が食べているモチモチ団子……などなど。元から栽培している食材を掛け合わせて、新しい商品を産みだしている。
怒涛の勢(どとうのいきおい)とはこれの事ね。
いまに異世界風のカツ丼、親子丼、牛丼……ドリア、シチュー、カレーと、いった私が食べたい食べ物が、知らないうちに出来ているかもしれないくらいの勢い。
まあ、カレーはターメリック、クミン、コリアンダー……とか? スパイスがいくつも必要だから、いますぐ作るのは無理かな。
異世界の植物でそれらしい香草、薬草が見かかれば話は別だけど。でも、コムギン――小麦粉はある、あとバターと牛乳があればシチューもできる。
「ん?」
エルブの原っぱを探索中、足元に一センチくらいの丸い赤い実が落ちていた。私はしゃがんでその実をつまみ「博士、この実は何?」と聞いた。
《これはシュワシュワの実と言います》
シュワシュワの実?
博士、食べられる?
《はい、食用ですが。そのまま食べるのは危険です》
――なに? 危険な食べ物?
匂いは無臭、この赤いシュワシュワの実が気になる。
しばらく悩んだすえ……好奇心は勝ちマジックバッグから水筒を出して実を洗い、ペロリと舐めた……。
お、おお、舌の上で名前のとおり"シュワシュワ"する。
しかし、このシュワシュワはどこかで味わったことがある。
「あっ!」
そこでピンとひらめき、その実をポチャンと水筒に落とした。すると、水筒のなかでシュワシュワ、パチパチ聞き覚えがある音がする。
(私の記憶が間違っていなければ!)
「いただきます!」
私はシュワシュワ入りの水を一気に喉に流しこんだ。
シュワシュワ、炭酸を飲んだときの爽快感が過ぎていく。
「「お? おお――! ……やっぱり! 温いけど炭酸水だ!!」」
私のひらめきは間違っていなかった……で、この実はどこから転がってきたの? と、原っぱを見渡すと。
近くの低木(ていぼく)――私の腰くらいの木にその赤い実はみのっていた。
博士に低木の名前を"シュワの木"だと教えてもらい。
"タネ"をもらって畑に植えると、ページの一角にドンとシュワの木が実った。
(ほぉ、いつもの一マスとは違い、低木(ていぼく)は四マス必要なのかぁ……リンゴの木とか、果物の木はまるまる一ページ使うのかな?)
そうだ、博士。
シュワシュワの実効能は?
《整腸作用、腸内環境を整えます》
ほほう、お通じがよくなるのか……飲んどこ。
「プハァ、ひさしぶりの炭酸はうまし!」
"いつでも炭酸水が飲める!"と喜ぶ私は、後ろから鋭い視線を感じた。――だれ? だと振り向くと。
もふもふの黒猫が1匹、尻尾を揺らし、草の陰からこちらをジッと見ていた。
(私が一人原っぱで、ゴゾゴゾしているから気になったのかな?)
異世界の猫ちゃんか……この子の尻尾が二本だ、可愛い。もふもふ、ふわふな見た目の猫ちゃんにのほほんと声をかけた。
「君はどこからきたの?」
私が猫ちゃんにそう聞くと。
黒猫はいきなり"キッ"と膨らみ、威嚇して、バシバシニ本の尻尾を地面に打ちつけ。
「君はここで変わったものを食べて毒、麻痺になったのにもかかわらず。また、調べもせずに食べているのです? ……あなたは学習しないバカですか!」
「…………ええ?」
いきなり"モフモフ黒猫ちゃん"に怒られた。
私は新作の"コメ団子"を食べながら、いつものエルブ原っぱにきている。
「おいしい! この新作モチモチ団子、作った人に感謝!」
この魔法都市に住む、実験好きな魔法使い、魔女、亜人達はコメ草が食べられると知ったやいなや。
野菜などの具をたっぷり挟んだお焼き、せんべい……いま私が食べているモチモチ団子……などなど。元から栽培している食材を掛け合わせて、新しい商品を産みだしている。
怒涛の勢(どとうのいきおい)とはこれの事ね。
いまに異世界風のカツ丼、親子丼、牛丼……ドリア、シチュー、カレーと、いった私が食べたい食べ物が、知らないうちに出来ているかもしれないくらいの勢い。
まあ、カレーはターメリック、クミン、コリアンダー……とか? スパイスがいくつも必要だから、いますぐ作るのは無理かな。
異世界の植物でそれらしい香草、薬草が見かかれば話は別だけど。でも、コムギン――小麦粉はある、あとバターと牛乳があればシチューもできる。
「ん?」
エルブの原っぱを探索中、足元に一センチくらいの丸い赤い実が落ちていた。私はしゃがんでその実をつまみ「博士、この実は何?」と聞いた。
《これはシュワシュワの実と言います》
シュワシュワの実?
博士、食べられる?
《はい、食用ですが。そのまま食べるのは危険です》
――なに? 危険な食べ物?
匂いは無臭、この赤いシュワシュワの実が気になる。
しばらく悩んだすえ……好奇心は勝ちマジックバッグから水筒を出して実を洗い、ペロリと舐めた……。
お、おお、舌の上で名前のとおり"シュワシュワ"する。
しかし、このシュワシュワはどこかで味わったことがある。
「あっ!」
そこでピンとひらめき、その実をポチャンと水筒に落とした。すると、水筒のなかでシュワシュワ、パチパチ聞き覚えがある音がする。
(私の記憶が間違っていなければ!)
「いただきます!」
私はシュワシュワ入りの水を一気に喉に流しこんだ。
シュワシュワ、炭酸を飲んだときの爽快感が過ぎていく。
「「お? おお――! ……やっぱり! 温いけど炭酸水だ!!」」
私のひらめきは間違っていなかった……で、この実はどこから転がってきたの? と、原っぱを見渡すと。
近くの低木(ていぼく)――私の腰くらいの木にその赤い実はみのっていた。
博士に低木の名前を"シュワの木"だと教えてもらい。
"タネ"をもらって畑に植えると、ページの一角にドンとシュワの木が実った。
(ほぉ、いつもの一マスとは違い、低木(ていぼく)は四マス必要なのかぁ……リンゴの木とか、果物の木はまるまる一ページ使うのかな?)
そうだ、博士。
シュワシュワの実効能は?
《整腸作用、腸内環境を整えます》
ほほう、お通じがよくなるのか……飲んどこ。
「プハァ、ひさしぶりの炭酸はうまし!」
"いつでも炭酸水が飲める!"と喜ぶ私は、後ろから鋭い視線を感じた。――だれ? だと振り向くと。
もふもふの黒猫が1匹、尻尾を揺らし、草の陰からこちらをジッと見ていた。
(私が一人原っぱで、ゴゾゴゾしているから気になったのかな?)
異世界の猫ちゃんか……この子の尻尾が二本だ、可愛い。もふもふ、ふわふな見た目の猫ちゃんにのほほんと声をかけた。
「君はどこからきたの?」
私が猫ちゃんにそう聞くと。
黒猫はいきなり"キッ"と膨らみ、威嚇して、バシバシニ本の尻尾を地面に打ちつけ。
「君はここで変わったものを食べて毒、麻痺になったのにもかかわらず。また、調べもせずに食べているのです? ……あなたは学習しないバカですか!」
「…………ええ?」
いきなり"モフモフ黒猫ちゃん"に怒られた。
応援ありがとうございます!
14
お気に入りに追加
909
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる