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パンケーキに浮かれながら、教室でカルザード様を待っていた。
「ルリアちゃんお待たせ、行こうか……ってなんでここにマサク様とタイガー様がいるんだ! 二人きりで行くからお帰りください」
「カルザード僕がいると便利だと思うよ」
ニッコリと笑いカルザード様を見上げた。
マサク様がいると便利とはなんでしょう? と首を傾げていた。その言葉にハッとしてのはカルザード様。
「わかりました……みんなで行きましょう」
教室を出て向かうのかと思ったら、誰もいない書庫に連れてこられた。
カルザード様はマサク様に目で合図した。
「ルリア、今から君に変化の魔法をかけるよ、君は一応まだ、王子の婚約者だ。王子は違う子に夢中だけど、僕達と出かけたとルリアが噂になるのはよくないからね」
カルザード様とマサク様は私のことを考えてくれたんだ、変化の魔法? とはなんだろう。
マサク様は書庫の前に立つ、タイガー様に声をかけた。
「見られるとまずいからと、タイガー様に書庫の前で見張りを任せてすみません」
「いや、この中で耳が一番聞くからね。気にしなくていいよ」
じゃ、始めるねとマサク様は私の手を握った。手を握られたのと今からどんな魔法が始まるのか分からなくて、ドキドキしていた。
「ルリア目を瞑って違う自分をイメージして欲しい、そのイメージ通りの姿に変化するから」
「わかりました……マサク様、イメージできました」
じゃ、今からかけるねと目を瞑っている間に、物語のような魔法がかかっていた。
♢
「それが、ルリアちゃんがイメージした違う自分?」
「僕よりも小さい、可愛い」
「……お揃いだ」
三人が驚くのもわかるわ。今の私は赤い髪にマサク様より小さく、タイガー様と同じ耳と尻尾がついた女の子になっていた。
「これなら大丈夫かな?」
「呼び名はルリアちゃんじゃダメだな。リアちゃんと呼ぶことにしよう」
「リア、お兄ちゃんと行くか」
「それでは迷子になる、手を繋ごう」
小さいからか子供扱い。タイガー様と手を繋ぎ校内を歩く。周りの学生はタイガー様の妹? とか婚約者? などいっている声が聞こえた。
「リアさんと婚約者か悪くない」
「タイガー様、抜け駆けしないでください」
「そうだよ、お兄ちゃんとも繋ごうね」
こっ、これは周りに王子の婚約者なのにとか、皆さんを手玉にとってる悪女と言われない。
私だって最初は女性の友達が欲しかった。しかし、王子様の婚約者だという肩書が邪魔をした。集まった子達は良い人との結婚を狙い、家の利益などを考える女性達ばかり。
悪口に妬み。はたまた私の名を語り、ヒロインをいじめるものまでいた。
王子様に相手されないと笑うものもいた。
それらが言われないのなら、学園の終わりまでこの姿でずっといたいわ。
私の気持ちを知ってか知らずか、後ろを歩くカルザード様が周りを見て。
「こんなに効果があるとはな」
「そうだね。いつもだと悪口が飛ぶのに今日はないね。この魔法を覚えて正解だったね」
「うん、正解だ。いつもの酷い話は聞こえてこないよ」
あら、皆さんも知っていたのですね。
口に出して言えないことも、言われているものね。
この方達だけだったの、私のことを悪く言わなかったのは……笑顔を向けてくれたのは。
あざとくてもいいの。婚約破棄までご一緒に過ごしたい。
一人では周りの目と悪口に耐えれない。
私が婚約破棄をされて、平民に落ちるまでで、あなた達に好きな人が現れるまででいいの。
邪魔はしないわ。
「ルリアちゃんお待たせ、行こうか……ってなんでここにマサク様とタイガー様がいるんだ! 二人きりで行くからお帰りください」
「カルザード僕がいると便利だと思うよ」
ニッコリと笑いカルザード様を見上げた。
マサク様がいると便利とはなんでしょう? と首を傾げていた。その言葉にハッとしてのはカルザード様。
「わかりました……みんなで行きましょう」
教室を出て向かうのかと思ったら、誰もいない書庫に連れてこられた。
カルザード様はマサク様に目で合図した。
「ルリア、今から君に変化の魔法をかけるよ、君は一応まだ、王子の婚約者だ。王子は違う子に夢中だけど、僕達と出かけたとルリアが噂になるのはよくないからね」
カルザード様とマサク様は私のことを考えてくれたんだ、変化の魔法? とはなんだろう。
マサク様は書庫の前に立つ、タイガー様に声をかけた。
「見られるとまずいからと、タイガー様に書庫の前で見張りを任せてすみません」
「いや、この中で耳が一番聞くからね。気にしなくていいよ」
じゃ、始めるねとマサク様は私の手を握った。手を握られたのと今からどんな魔法が始まるのか分からなくて、ドキドキしていた。
「ルリア目を瞑って違う自分をイメージして欲しい、そのイメージ通りの姿に変化するから」
「わかりました……マサク様、イメージできました」
じゃ、今からかけるねと目を瞑っている間に、物語のような魔法がかかっていた。
♢
「それが、ルリアちゃんがイメージした違う自分?」
「僕よりも小さい、可愛い」
「……お揃いだ」
三人が驚くのもわかるわ。今の私は赤い髪にマサク様より小さく、タイガー様と同じ耳と尻尾がついた女の子になっていた。
「これなら大丈夫かな?」
「呼び名はルリアちゃんじゃダメだな。リアちゃんと呼ぶことにしよう」
「リア、お兄ちゃんと行くか」
「それでは迷子になる、手を繋ごう」
小さいからか子供扱い。タイガー様と手を繋ぎ校内を歩く。周りの学生はタイガー様の妹? とか婚約者? などいっている声が聞こえた。
「リアさんと婚約者か悪くない」
「タイガー様、抜け駆けしないでください」
「そうだよ、お兄ちゃんとも繋ごうね」
こっ、これは周りに王子の婚約者なのにとか、皆さんを手玉にとってる悪女と言われない。
私だって最初は女性の友達が欲しかった。しかし、王子様の婚約者だという肩書が邪魔をした。集まった子達は良い人との結婚を狙い、家の利益などを考える女性達ばかり。
悪口に妬み。はたまた私の名を語り、ヒロインをいじめるものまでいた。
王子様に相手されないと笑うものもいた。
それらが言われないのなら、学園の終わりまでこの姿でずっといたいわ。
私の気持ちを知ってか知らずか、後ろを歩くカルザード様が周りを見て。
「こんなに効果があるとはな」
「そうだね。いつもだと悪口が飛ぶのに今日はないね。この魔法を覚えて正解だったね」
「うん、正解だ。いつもの酷い話は聞こえてこないよ」
あら、皆さんも知っていたのですね。
口に出して言えないことも、言われているものね。
この方達だけだったの、私のことを悪く言わなかったのは……笑顔を向けてくれたのは。
あざとくてもいいの。婚約破棄までご一緒に過ごしたい。
一人では周りの目と悪口に耐えれない。
私が婚約破棄をされて、平民に落ちるまでで、あなた達に好きな人が現れるまででいいの。
邪魔はしないわ。
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