婚約破棄されましたが、辺境の地で幸せになれそうです。魔石爆弾(グレネード)が幸せを呼ぶ⁉︎

深月カナメ

文字の大きさ
上 下
14 / 25

十四

しおりを挟む
 いくら、2人にお断りの手紙を書いても、2人は諦めずしつこい。一つ手紙を送れば、その倍になって帰ってくる。

「僕を助けてくれ」
「君だけが頼り」
「なぜ助けてくれない?」

「カエサルは私のことが大切でしょう」
「かわいそうな私を助けたくないの?」
「ねぇ、助けて!」

 彼らは自分のことばかりしか、考えていない。

 いま、お義母様と魔石爆弾(グレネード)の精密度を上げる研究と魔石回復の研究をしているのに、迷惑極まりない。カエサル様はお義父様が手助けてくださるとは言え、執務、領地経営、魔物討伐と忙しいのに。

「カエサル、あまり無理しないでね」
「大丈夫、僕はローリスが居るから頑張れる。ローリスも無理するなよ」

「……はい」


 
 一年後。カエサル様、辺境騎士が魔物討伐に魔石爆弾と魔石回復を使用出来るまできた。いまは火魔石爆弾、水魔石爆弾など魔物の弱点に合わせた爆弾も開発中だ。

「ただいま戻りました」

 本日はメイドのキャロルと鉱山行った帰り、カエサル様の執務室へと呼ばれた。そこで王家の封蝋が押された、手紙を渡される。

「え? また妹から手紙ですか?」

「ああ、ローリスのところにも、バカ王太子からきている」

「……そうですか」

 ミサロ殿下は一月前に王太子となり、妹も王太子の婚約者となったのにもかかわらず、辺境伯には2人からの手紙が毎月届く。

「手紙の内容も、ずっと一緒ですね」

「ああ、僕達が夫婦となったと伝えても、2人は僕達を王都に呼ぶ……あの人達は僕達に何をさせたい?」

「ほんと、何をさせたいのかしらね」

(それが分かればいいのだけど、「話がある、いちど王都へ来てくれ」と、手紙に書いてあるだけ)

 行くとしても、辺境地から王都へは馬車を早朝から夜まで飛ばしても、1日半はかかる。今は魔石爆弾、回復があるから、大型の魔物でなければ魔物討伐を騎士達に任せられる。

(お義父様とお母様は、美肌のお湯が出ると噂の隣国へ、温泉旅行中だし)

「ねぇカエサル。2人に手紙をやめてもらうよう言いに、王都へ行ってみる?」

「そうだな、ここで考えていても埒があかない。僕達の仲を見せつけてこよう」

 と笑い、カエサルは私を抱き寄せた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました

楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。 王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。 アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。 薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。 魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。 ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。 婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...