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第三章 獣人の国に咲いた魔女の毒花編
第17話
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まだ終わってはいない。
わかっていても涙が止まらなかった。
精霊さんから始まったなでなでは、リズ様、最後にシーラン様になった。
「シャルロットちゃん、みんなで力を合わせようね」
[はい、リズ様]
「シャルロット嬢そうだ、1人じゃないみんなでこの問題を終わらせよう」
[はい、シーラン様]
種を飲まされた竜人王様のこと、赤い花の真実…魔女の毒花、それら全てに関わるあの男の存在が危ない。
あの男を止めなくてはならない。
男が持つ、憎悪の種を人々に飲ませないようにしなくては…飲んだ後止める薬も必要になる。
私も何かお手伝い出来ればいいな。
(あ、懐かしい魔力だ)
(そうだね)
(来るのが遅い!)
精霊さん達が誰かを見つけて飛んでいく。
「貴方達はルルの精霊?…どうしてここにいるのです?」
空からの声に上を向くと、ホウキに跨った、アル様とラーロさんがいた。
(ルルに呼ばれたよ)
(うん、呼ばれたの)
(呼ばれたの2回目だからね)
「2回?そんなはずはありません…彼女はとうの昔にこの世を去っています」
高度を下げて、アル様とラーロさんは降りてきた。
「…アルちゃん?」
「…えっ?あ、ああ」
ルルさんがアル様に声をかけた…アル様は私を見て一瞬、驚きの表情になり、直ぐに険しい顔になった。
「嘘だ!」
すぐさまアル様はホウキを降り、ルルさんに駆け寄る。
「シャルちゃんの中から、ルルの魔力を感じる…戻ってきてしまったのか?」
違うと首を振る。
「ねぇアルちゃん、私の子孫は途切れることなくシャルロットさんまで続いたみたい。竜を助ける時にシャルロットさんが嗅いだ、魔女の毒花の香りで蘇った残留思念かな…」
残留思念…。
「ルルの作った花は魔女の毒花じゃないと、伝えましたよね」
「でも、この毒花を作ったのは私なの…私は大事な人を死に追いやった毒の魔女…」
「それは違う」
「違うんだ…」
アル様とセルト様が同時に叫んだ…アル様はフォルテ様を見て、また、険しい顔を浮かべた。
「貴方はセルト様ですか?…貴方までフォルテ王子の中にいらっしゃるのですね」
「どうやらそうみたいだ…この私の子孫に迷惑をかけている、心奥深くにいた俺をルルが呼んだ気がしたんだ」
「はぁーっ…兄貴だな…全部私の兄貴の仕業ですね…魔女の毒花が嫌に強化されたのも、そこに咲く赤い花もか…」
みんなは黙ってしまった…やはり、アル様に似ていたあの男はお兄様だったんだ。
「なあ、話を途切れさせて悪いがちょっといいか、シャルちゃんの中にはルルっていう人がいるんだろう、シャルちゃんは?本人はいまどこにいる?」
「そうですね、シャルちゃん?」
[あ、ラーロさん、アル様。私はここにいます]
シーラン様の後ろから顔を出すと、ラーロさんにアル様が私の状態にさらに声を上げた。
「シャルちゃん?」
「自分の体から追い出されたのですか?」
[…えっと、はいそうです]
私は先程あった事を2人に伝えた。
癒やしの枝の中で眠る竜人王様や、奥の屋敷には魔女の毒花に侵された人達がいる事などを話した。
話を聞いていくうちに段々と、顔色が悪くなるアル様はふらつき膝をついた。
「ああ、なんて事だ。ロワが私の兄貴に憎悪の種を飲まされた…直ちに処置をしなくてはならない…もうすぐ解毒剤を乗せた荷馬車が来るはずです、先に魔女の毒花に侵された人々を治療しないと…」
「アル様、赤い花を持って帰りますか?」
「お願いします…いや、ラーロ荷馬車が着いたら。地面に落ちた赤い花の花びらだけを、回収してください」
「はい、畏まりました」
アル様は気が付いていた、この赤い花はこの国の獣人の人の成れの果てだという事を。
アル様は立ち上がりシーラン様とリズ様の所に行き。
「チビ竜2人に頼みがあります。先にロワを癒やしの木の下に連れて行ってください、ルルの精霊達も着いて行っていただけますか?」
(はい)
(任せて)
(さあ、行くわよ)
「わかりました、シャルロット嬢また後で」
「シャルロットちゃん危ないマネはダメだからね」
[うん]
私が頷くのを見て、シーラン様とリズ様は竜人王様を抱えて、魔法協会の癒やしの木へと飛んで行った。
それから暫くして荷馬車を操るヘルさんとホウキに乗った、エシャロットさんが着いた。
「タサがここにいるってほんと!」
「ああ、エシャロット奥の屋敷にいるらしい」
「頼まれて作った解毒剤と、ラーロこれを見て」
エシャロットさんが持ってきた、カバンから出したのは、3センチぐらいのガラスの瓶に入る、青く光る綺麗な液体だった。
ラーロさんはその液体を見て、声を震え上がらせた。
「エシャロット…お、お前それって、青桜か?まじか、入手困難な薬が手に入ったのか」
「そうよ、手に入ったのはこれだけだけどね、でも、凄い頑張っちゃったんだから、さあ奥の屋敷に行くわよ!」
わかっていても涙が止まらなかった。
精霊さんから始まったなでなでは、リズ様、最後にシーラン様になった。
「シャルロットちゃん、みんなで力を合わせようね」
[はい、リズ様]
「シャルロット嬢そうだ、1人じゃないみんなでこの問題を終わらせよう」
[はい、シーラン様]
種を飲まされた竜人王様のこと、赤い花の真実…魔女の毒花、それら全てに関わるあの男の存在が危ない。
あの男を止めなくてはならない。
男が持つ、憎悪の種を人々に飲ませないようにしなくては…飲んだ後止める薬も必要になる。
私も何かお手伝い出来ればいいな。
(あ、懐かしい魔力だ)
(そうだね)
(来るのが遅い!)
精霊さん達が誰かを見つけて飛んでいく。
「貴方達はルルの精霊?…どうしてここにいるのです?」
空からの声に上を向くと、ホウキに跨った、アル様とラーロさんがいた。
(ルルに呼ばれたよ)
(うん、呼ばれたの)
(呼ばれたの2回目だからね)
「2回?そんなはずはありません…彼女はとうの昔にこの世を去っています」
高度を下げて、アル様とラーロさんは降りてきた。
「…アルちゃん?」
「…えっ?あ、ああ」
ルルさんがアル様に声をかけた…アル様は私を見て一瞬、驚きの表情になり、直ぐに険しい顔になった。
「嘘だ!」
すぐさまアル様はホウキを降り、ルルさんに駆け寄る。
「シャルちゃんの中から、ルルの魔力を感じる…戻ってきてしまったのか?」
違うと首を振る。
「ねぇアルちゃん、私の子孫は途切れることなくシャルロットさんまで続いたみたい。竜を助ける時にシャルロットさんが嗅いだ、魔女の毒花の香りで蘇った残留思念かな…」
残留思念…。
「ルルの作った花は魔女の毒花じゃないと、伝えましたよね」
「でも、この毒花を作ったのは私なの…私は大事な人を死に追いやった毒の魔女…」
「それは違う」
「違うんだ…」
アル様とセルト様が同時に叫んだ…アル様はフォルテ様を見て、また、険しい顔を浮かべた。
「貴方はセルト様ですか?…貴方までフォルテ王子の中にいらっしゃるのですね」
「どうやらそうみたいだ…この私の子孫に迷惑をかけている、心奥深くにいた俺をルルが呼んだ気がしたんだ」
「はぁーっ…兄貴だな…全部私の兄貴の仕業ですね…魔女の毒花が嫌に強化されたのも、そこに咲く赤い花もか…」
みんなは黙ってしまった…やはり、アル様に似ていたあの男はお兄様だったんだ。
「なあ、話を途切れさせて悪いがちょっといいか、シャルちゃんの中にはルルっていう人がいるんだろう、シャルちゃんは?本人はいまどこにいる?」
「そうですね、シャルちゃん?」
[あ、ラーロさん、アル様。私はここにいます]
シーラン様の後ろから顔を出すと、ラーロさんにアル様が私の状態にさらに声を上げた。
「シャルちゃん?」
「自分の体から追い出されたのですか?」
[…えっと、はいそうです]
私は先程あった事を2人に伝えた。
癒やしの枝の中で眠る竜人王様や、奥の屋敷には魔女の毒花に侵された人達がいる事などを話した。
話を聞いていくうちに段々と、顔色が悪くなるアル様はふらつき膝をついた。
「ああ、なんて事だ。ロワが私の兄貴に憎悪の種を飲まされた…直ちに処置をしなくてはならない…もうすぐ解毒剤を乗せた荷馬車が来るはずです、先に魔女の毒花に侵された人々を治療しないと…」
「アル様、赤い花を持って帰りますか?」
「お願いします…いや、ラーロ荷馬車が着いたら。地面に落ちた赤い花の花びらだけを、回収してください」
「はい、畏まりました」
アル様は気が付いていた、この赤い花はこの国の獣人の人の成れの果てだという事を。
アル様は立ち上がりシーラン様とリズ様の所に行き。
「チビ竜2人に頼みがあります。先にロワを癒やしの木の下に連れて行ってください、ルルの精霊達も着いて行っていただけますか?」
(はい)
(任せて)
(さあ、行くわよ)
「わかりました、シャルロット嬢また後で」
「シャルロットちゃん危ないマネはダメだからね」
[うん]
私が頷くのを見て、シーラン様とリズ様は竜人王様を抱えて、魔法協会の癒やしの木へと飛んで行った。
それから暫くして荷馬車を操るヘルさんとホウキに乗った、エシャロットさんが着いた。
「タサがここにいるってほんと!」
「ああ、エシャロット奥の屋敷にいるらしい」
「頼まれて作った解毒剤と、ラーロこれを見て」
エシャロットさんが持ってきた、カバンから出したのは、3センチぐらいのガラスの瓶に入る、青く光る綺麗な液体だった。
ラーロさんはその液体を見て、声を震え上がらせた。
「エシャロット…お、お前それって、青桜か?まじか、入手困難な薬が手に入ったのか」
「そうよ、手に入ったのはこれだけだけどね、でも、凄い頑張っちゃったんだから、さあ奥の屋敷に行くわよ!」
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