55 / 65
五十二
しおりを挟む
本日は学園の休み、私は王子に会いに王城へ来ていた。
最近、舞踏会の準備などで忙しい王子と、学園、王城で会えずにいた。
(忙しいのだもの、仕方がないにゃ)
まったりと、オフトゥン馬車に揺られて城に到着した。
王城に着いても、しばらくはオフトゥンの上で欠伸して、ゴロンゴロン、ウネウネ、気分を変える背伸びした。
そろそろ迎えが来るかなにゃ?
ナターシャが準備してくれた1人でも着れるワンピース、それを手に取りモソモソ着替え始めた。
私を出迎えに来てくれる王子の側近リルは、気を利かせて十分ほど遅れて迎えに来てくれるから、私ものんびりしていた。
(王子と今日は何する? ベッドでまったり? 書庫で読者もいいなぁ)
王子と過ごす時間を考えながら、ワンピースの着替え途中に、バーンと、乱暴に馬車の扉が開いた。
「ミタリア、会いたかった!」
そこに嬉しそうな王子と、猫から戻りワンピースに着替え途中、恥ずかしながら下着丸出しの私。
「ひぇっ、リチャード様ぁ!」
「下着姿……ミタリアは相変わらず、俺に見せるのが好きだな」
「す、好きじゃないです。いま着替えておりますので、リチャード様は馬車から降りてください!」
王子の胸を押したけど、ビクともしない。
反対に、その手を取られた。
「嫌だね、あと二週間で開催される舞踏会の話し合いなどで会えずにいた、愛しのミタリアに会えたのに我慢などできるか!」
「にゃっ!」
ほんとうに素直な王子は馬車の中で、私を後ろから捕まえてベンチシートに座ると、首筋に鼻を擦り寄せた。
そして「ミタリアの香りだ、癒される」とスリスリした。
きゃあぁー!
王子は癒されるとか言うけど、捕まった私はたまったもんじゃない。
「ん、んんっ、……リチャード様、首筋の香りを嗅がないで、大人しく待っていて……く、ださい」
「またない、ミタリアをもっと堪能させろ!」
こうなったら、やめてと尻尾で顔をペチペチしても王子は効かない。かえって気持ちいいと尻尾に擦り寄られた。
「ふわぁっ!」
「ミタリア、俺の頭を撫でてくれ」
「はぁ、い?」
珍しく甘えモードの王子に困惑しつつ、馬車の中で王子の髪をしばらく、撫でてまったり過ごした。
+
それから王城に来ると王子の側近ではなく、王子が自ら出迎える様になった。今日はブラッシングの櫛を二本も持って。
「リチャード様。リチャード様の部屋でブラッシングをなされば……いいのではないでしょうか?」
「それはそうだが……近ごろますます忙しくてな。この前、昼寝中にリルに呼ばれたろ?」
「えぇ、呼ばれましたけど……」
五日前「陛下がお呼びです」と、ぐっすり眠っていたところを起こされた。
王子は寝起きで、不機嫌な顔で向かって行った。
二時間後、王妃殿下と妹の王女様に会えたらしく、戻ってき王子は機嫌が良くなっていた。
馬車の中。
「ふうっ、可愛い妹のミリアに会えるのはいいが、ミタリアとの二人の時間が減る、スキンシップが足りない、コレでは頑張れない」
「リチャード様、舞踏会が無事に終われば、学園でも、王城でも会えます」
「それは、そうだが。いま、ミタリアに甘えたい! 甘えさせろ、ブラッシングしてくれ!」
ブラッシングの櫛を側に置き、馬車の中でブレスレットを取り、狼の姿になってしまった王子。本日はなんと私専用の櫛まで王子は持ってきていた。
最近、舞踏会の準備などで忙しい王子と、学園、王城で会えずにいた。
(忙しいのだもの、仕方がないにゃ)
まったりと、オフトゥン馬車に揺られて城に到着した。
王城に着いても、しばらくはオフトゥンの上で欠伸して、ゴロンゴロン、ウネウネ、気分を変える背伸びした。
そろそろ迎えが来るかなにゃ?
ナターシャが準備してくれた1人でも着れるワンピース、それを手に取りモソモソ着替え始めた。
私を出迎えに来てくれる王子の側近リルは、気を利かせて十分ほど遅れて迎えに来てくれるから、私ものんびりしていた。
(王子と今日は何する? ベッドでまったり? 書庫で読者もいいなぁ)
王子と過ごす時間を考えながら、ワンピースの着替え途中に、バーンと、乱暴に馬車の扉が開いた。
「ミタリア、会いたかった!」
そこに嬉しそうな王子と、猫から戻りワンピースに着替え途中、恥ずかしながら下着丸出しの私。
「ひぇっ、リチャード様ぁ!」
「下着姿……ミタリアは相変わらず、俺に見せるのが好きだな」
「す、好きじゃないです。いま着替えておりますので、リチャード様は馬車から降りてください!」
王子の胸を押したけど、ビクともしない。
反対に、その手を取られた。
「嫌だね、あと二週間で開催される舞踏会の話し合いなどで会えずにいた、愛しのミタリアに会えたのに我慢などできるか!」
「にゃっ!」
ほんとうに素直な王子は馬車の中で、私を後ろから捕まえてベンチシートに座ると、首筋に鼻を擦り寄せた。
そして「ミタリアの香りだ、癒される」とスリスリした。
きゃあぁー!
王子は癒されるとか言うけど、捕まった私はたまったもんじゃない。
「ん、んんっ、……リチャード様、首筋の香りを嗅がないで、大人しく待っていて……く、ださい」
「またない、ミタリアをもっと堪能させろ!」
こうなったら、やめてと尻尾で顔をペチペチしても王子は効かない。かえって気持ちいいと尻尾に擦り寄られた。
「ふわぁっ!」
「ミタリア、俺の頭を撫でてくれ」
「はぁ、い?」
珍しく甘えモードの王子に困惑しつつ、馬車の中で王子の髪をしばらく、撫でてまったり過ごした。
+
それから王城に来ると王子の側近ではなく、王子が自ら出迎える様になった。今日はブラッシングの櫛を二本も持って。
「リチャード様。リチャード様の部屋でブラッシングをなされば……いいのではないでしょうか?」
「それはそうだが……近ごろますます忙しくてな。この前、昼寝中にリルに呼ばれたろ?」
「えぇ、呼ばれましたけど……」
五日前「陛下がお呼びです」と、ぐっすり眠っていたところを起こされた。
王子は寝起きで、不機嫌な顔で向かって行った。
二時間後、王妃殿下と妹の王女様に会えたらしく、戻ってき王子は機嫌が良くなっていた。
馬車の中。
「ふうっ、可愛い妹のミリアに会えるのはいいが、ミタリアとの二人の時間が減る、スキンシップが足りない、コレでは頑張れない」
「リチャード様、舞踏会が無事に終われば、学園でも、王城でも会えます」
「それは、そうだが。いま、ミタリアに甘えたい! 甘えさせろ、ブラッシングしてくれ!」
ブラッシングの櫛を側に置き、馬車の中でブレスレットを取り、狼の姿になってしまった王子。本日はなんと私専用の櫛まで王子は持ってきていた。
0
お気に入りに追加
354
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
悪役令嬢ってこれでよかったかしら?
砂山一座
恋愛
第二王子の婚約者、テレジアは、悪役令嬢役を任されたようだ。
場に合わせるのが得意な令嬢は、婚約者の王子に、場の流れに、ヒロインの要求に、流されまくっていく。
全11部 完結しました。
サクッと読める悪役令嬢(役)。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
平和的に婚約破棄したい悪役令嬢 vs 絶対に婚約破棄したくない攻略対象王子
深見アキ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・シェリルに転生した主人公は平和的に婚約破棄しようと目論むものの、何故かお相手の王子はすんなり婚約破棄してくれそうになくて……?
タイトルそのままのお話。
(4/1おまけSS追加しました)
※小説家になろうにも掲載してます。
※表紙素材お借りしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる