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四十七

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 私とリチャード様は王都から離れた獣化研究所に来ている。
 研究所でさっき受けた特殊能力検査の結果を、応接間でリチャード様と2人待っていた。

「なぁ、ミタリア。所長と助手が水晶玉に移されたミタリアの特殊能力を見て、かなり驚いていたが……闇属性とはそれほど貴重な特殊能力なのだな」

 ほんとうに闇属性なら……

「もしそうなら貴重かもしれませんけど……。リチャード様、まだ私の特殊能力が闇属性とは、限らないのではないでしょうか……」

「どうして、そう思ったんだ?」

「ただ、なんとなくです」

(そんなに特殊ならもっとあの2人は深刻にならない? 何故か私の特殊能力を見た助手の人が、笑みを噛み締めてメモっていたのが、少し気になっていた)

「俺はミタリアの特殊能力が闇でも気にしないぞ。ミタリアを守る力をますます身に付けて強くなるから、安心して俺に守られろ」

「本当ですか、嬉しい。ありがとうございます、リチャード様」

 応接室で2人たわいもない話をしながら、まったり桃のコンポートを食べて、果実水を飲んでいた。突如、隣に座る王子があっ、と何か思い出したのか、じっと私を見はじめた。

(えっ、なに?)

「リチャード様? そんなにじっくり私の顔を見て、なんですか?」

「ん、いや、兎の手紙に書いてあった事をな、ミタリアに城に帰ってから聞くか、いま応接間で聞くか、考えている」

「兎の手紙? あ、リリネ君が持ってきた、手紙の事ですか?」

「そうだ。あの手紙に転生者がどうとか書いてあったろ? 普通なら聞き慣れない言葉で、それはなんだ? と気にするところ。ミタリアは気にもせずにスルーしていたから、もしかして転生者の事を何か知っているのかな? って、気になっている」

 王子、鋭い……私はその転生者なんです。
 この乙女ゲームが好きで、異世界に来る前、私にとってこのゲームは癒しだった。

(転生者か……王子に聞かれたら、なんて伝える? 上手く説明できるといいのだけど……)

 しばらく王子は、どちらにするか悩み。

「決めた、城に戻って俺の部屋でじっくり聞く事にした。ミタリア、今日は城の客間に泊まっていけ」

「えっ、泊まるのですか」

 心配するな、両親には早馬を送ると王子は言ってくれた。
 学園は今日から3連休だからいいけど…… 

 ……私に少し困ることがある。それは最近になって王子に触れらると……お腹のアザが前よりも熱くなって、体が変になる。
 突拍子もなく王子に触れたくなったり、王子に触られたくなってしまう。
 
(自分だけ、その、モヤモヤしてしまうから……恥ずかしいやら、なんやら照れてしまう)

「ミタリア、泊まっていくだろう?」

「は、はい……でも、リチャード様の執務は忙しくないんですか?」

「執務? それは大丈夫だ。学園に入ったから学業に専念しろと父上に言われてな。それなりにこなせる量になった……既に休み中の執務は、昨日のうちにリルと済ませてある」

 まぁ、空いた時間は読書か騎士団との稽古に使う。
 私との、昼寝の時間にしてもいいな。と言ってくれた。



 +



 応接間の扉が開き。デンス所長と助手が戻って来た。
 所長が手に持つ封筒の中に、私たちの特殊能力検査の結果が書いてあるのだろう。

「リチャード様、ミタリア様、特殊能力検査の結果が出ましたので、お渡しいたします」

 1人ずつに封筒が渡された。
 この中に私の特殊能力が何か書かれている。
 王子は早速、紙を出して検査の結果を確認し始めた。私もと検査結果の紙を取り出して確認する。

(はぁ?)

 思わず検査結果に驚き、声を出してしまうところだった。えっ、これほんと? 私の特殊能力は兎さんが教えてくれた、闇属性ではなかった。

 全く別物。

 私の特殊能力は『オフトゥン召喚』と『癒し』(オフトゥンの上のみ効果あり)って。どれだけオフトゥン好きなの! ……もちろん、好きだけど。

 しかし、私のこの特殊能力って、王子専用にしか見えない、よね。
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