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じゅうなな
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甘い、どこまでも甘い彼の香りに包まれていた。
「それで、サローナは俺と結婚してくれるの?」
「はい、よろしくお願いします」
嬉しい、好意を寄せていたユバのお嫁さんになれるなんて幸せだわ。
「はぁ、よかった。俺はサローナだけを愛し、幸せにするな」
「私もユバだけを愛するわ」
ユバの顔をが近付きキスをされるのかと目を瞑ると、彼の鼻が私の鼻をすりすりして、そのすりすりは頬へと移った。
この行動ってキスよりも恥ずかしくない! さっきは止めたのに騎士の2人は笑って見守っている。
「これ、ユバ! ワレの上で求愛行動は慎め」
「すみません、止まらない! ドラーゴ様、いまだけ許してくれ!」
求愛行動……彼の止まない頬のすりすりを全身で受け止めていた。
そのとき一雫の水滴が私の頬に落ちる。
「あの、ユバ?」
もしかして、泣いてるの?
ぽたぽたと落ちる彼の涙。
「あははっ、みっともないな……でも、すげぇ嬉しいんだ、サローナが俺の嫁に来てくれるなんて……番だってわかったとき既に婚約者がいた。サローナは人間で俺は獣人だ何度も諦めようと思ったけど、諦められなかった」
もう、嬉しくて死にそうだと彼は胸に私を抱き寄せた。
♢
「……うむ、番は邪魔をしに行かぬのか?」
「ドラーゴ様は酷いことを言いますね。お嬢様があんなに喜んでいらっしゃるのですよ……私はお嬢様がユバ様を好きなのは知っていました。邪魔なんてもってのほか行けるわけがない!」
「ワレの番は良い奴だな。そうか、ワレが後で慰めてやろう」
「チョコチップクッキー10枚で……ううん、もっとください」
「よいよい、わかった。後で好きなだけワレの城にそのチョコチップクッキーを用意してやろう」
♢
ドラーゴ様は「降りる」とガート村の近くに降り立った。
「サローナ俺の両親が待ってる、挨拶をしに行こう!」
「はい、ユバ」
手を繋ぎ村に入っていく私たちの後ろを、ラトナと人型になったドラーゴ様は着いてきていた。
「ほら、しけた顔しないの! 私たちも行くわよ」
「……やだ、手を引っ張らないでください」
ドゴッ!
「「えっ⁉︎」」
「サローナお嬢様⁉︎」
馬車を村の前に置き持ってきた荷物を持ち、みんなは村の中に入って行ったのだけど……
「おでこ打った、いったぁ……」
「サローナ?」
「何これ?」
これはどんな状態?
なんで、私だけ置いてけぼり?
私は村の入り口で何かに阻まれおでこを強打して、ガート村の中に入れなかった。
「それで、サローナは俺と結婚してくれるの?」
「はい、よろしくお願いします」
嬉しい、好意を寄せていたユバのお嫁さんになれるなんて幸せだわ。
「はぁ、よかった。俺はサローナだけを愛し、幸せにするな」
「私もユバだけを愛するわ」
ユバの顔をが近付きキスをされるのかと目を瞑ると、彼の鼻が私の鼻をすりすりして、そのすりすりは頬へと移った。
この行動ってキスよりも恥ずかしくない! さっきは止めたのに騎士の2人は笑って見守っている。
「これ、ユバ! ワレの上で求愛行動は慎め」
「すみません、止まらない! ドラーゴ様、いまだけ許してくれ!」
求愛行動……彼の止まない頬のすりすりを全身で受け止めていた。
そのとき一雫の水滴が私の頬に落ちる。
「あの、ユバ?」
もしかして、泣いてるの?
ぽたぽたと落ちる彼の涙。
「あははっ、みっともないな……でも、すげぇ嬉しいんだ、サローナが俺の嫁に来てくれるなんて……番だってわかったとき既に婚約者がいた。サローナは人間で俺は獣人だ何度も諦めようと思ったけど、諦められなかった」
もう、嬉しくて死にそうだと彼は胸に私を抱き寄せた。
♢
「……うむ、番は邪魔をしに行かぬのか?」
「ドラーゴ様は酷いことを言いますね。お嬢様があんなに喜んでいらっしゃるのですよ……私はお嬢様がユバ様を好きなのは知っていました。邪魔なんてもってのほか行けるわけがない!」
「ワレの番は良い奴だな。そうか、ワレが後で慰めてやろう」
「チョコチップクッキー10枚で……ううん、もっとください」
「よいよい、わかった。後で好きなだけワレの城にそのチョコチップクッキーを用意してやろう」
♢
ドラーゴ様は「降りる」とガート村の近くに降り立った。
「サローナ俺の両親が待ってる、挨拶をしに行こう!」
「はい、ユバ」
手を繋ぎ村に入っていく私たちの後ろを、ラトナと人型になったドラーゴ様は着いてきていた。
「ほら、しけた顔しないの! 私たちも行くわよ」
「……やだ、手を引っ張らないでください」
ドゴッ!
「「えっ⁉︎」」
「サローナお嬢様⁉︎」
馬車を村の前に置き持ってきた荷物を持ち、みんなは村の中に入って行ったのだけど……
「おでこ打った、いったぁ……」
「サローナ?」
「何これ?」
これはどんな状態?
なんで、私だけ置いてけぼり?
私は村の入り口で何かに阻まれおでこを強打して、ガート村の中に入れなかった。
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