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二十八(最終話)
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私の力か……嬉しくって顔がにやけちゃう。
でも、この力は大切に使わないと。
「安心しろ、ヒーラギの"癒しの力"は変な奴には使わせない」
「ありがとう、頼りにしてるよブラン」
「やっぱり、ブランとヒーラギちゃんはいい夫婦になるわ。これからも、ウチの子をよろしくね!」
「母さん!」
「ジジ!」
「だって、二人とも私達みたいに仲良いじゃない。お母さん、早く孫を抱きたいの。もう、いいじゃない。夢ぐらい見させてよ!」
「わかった。俺が頑張るから、いまは黙ってくれ!」
真っ赤な顔のブランに止められる、お母様だった。
可愛いお母様だ。
+
話は終わったのかと、ロンとスラが玄関から顔を出した。どうやら癒しの力で怪我が治った、村の人達がこのまで感謝を言いに集まったらしい。
「そんな、感謝だなんて」
照れる。
「ヒーラギちゃん、みんなの感謝の気持ちを、受け取ってあげて欲しい。僕からもありがとうを言いたい」
「ニュ、ニュ!」
「スラ、わかったよ」
ロンとスラに急かされて外に出ると、村の人達は手に食べ物を持って集まっていた。なかには泣いてる人も見えた。
最初に目を真っ赤にした、小さな羊の男の子が駆け寄ってきた。
「せ、聖女のお姉ちゃん、お父さん、お母さんと妹の怪我を治してくれてありがとう」
それを皮切りに、次々と感謝の言葉を聞いた。
「聖女様、動けるようにしていただき感謝します」
「ありがとう聖女様。僕、自分の足で歩けるよ」
「聖女のおねちゃん、本当にありがとう!」
「聖女様、お父さんの傷を治してくれてありがとう」
村のみんなの感謝の言葉が心に響く。
「よかった、みんなに癒しの力が届いて本当によかった」
私の瞳から、ポロポロと涙が流れ落ちた。
ーーこの癒しの力に感謝します。
「よかったな、みんな……んー、それにしても結構な食べ物が集まったな、これを使ってみんなで鍋にするか?」
「鍋? どんな料理か分からないけど食べたい。お腹もちょうど空いてきたし、村のみんなで鍋を食べましょう!」
「「おー!」」
マジックバッグの中から鶏肉と豚肉、お野菜と、村のみんなからのお礼に貰った野菜、魔物肉を使って鍋パーティーが始まる。
「材料は集まった、後は具材を煮込む鍋が必要だな……ちょうど、家の中にどデカい鍋があったよな。ロン、父さん手伝って」
「いいよ」
「わかった」
と、ブランとお父様、ロンは家から大きな鍋を持ってきたのだけど……
「それ、ポーションを作るときに使う、大鍋じゃない?」
「そうだけど、洗ったし、別にいいだろ」
「いいっか!」
ブランの両親も参加して、残っていたお米を全部炊き、ブランの庭にカマドを作り鍋を作り始めた。
お肉と野菜たっぷり鍋の味付けはピリ辛味噌鍋で、いつの間にかたくさんのお酒も用意されていた。
「ご飯が炊けたぞ!」
「食べやすいようにおにぎりにするわ」
炊けたご飯はおむすびにしてみんなに配り、できたピリ辛鍋も配って宴が始まった。
「ヒーラギ、食べているか?」
「ええ、たくさん食べているわ。この黄色いと、赤い果物が美味しい」
「それは……この村で栽培されているバナナンとリンゴンだな。ロン師匠が言うには元々、エルフの国で作られていたんだって」
「へぇ、甘くて美味しい」
他にも私の周りに見たことがない果物、食べ物がたくさん用意されている。
みんなでカマドを囲い鍋を突っつき、ある者は体が自由に動くと、足が動く、手が自由に動くと。
みんなで喜び手を取り合い踊り、笑い泣きした。
そして最後にみんなは、
「「ブラン嫁のお陰だ!」」
と私を呼び、この喜びの宴は朝方まで続いたのだった。
+
数日後。
魔王城にブラン、スラ、ロンと共に魔王様と王妃様に食事に誘われたり。二人とも絶世の美男美女で見惚れてしまった。
なんと、魔王城にいたアリカちゃんにも会った。
話してみると彼女はとても可愛い人で、向こうの世界の不思議な話をたくさん私にしてくれた……帰るまでの一年間は魔王様でのんびり暮らすらしい。
でもね、アリカちゃんは魔王の側近の人に恋をしたらしい。帰りるに日に告白するんだと彼女は言っていた。
魔王様に制圧された人の国は隣国に吸収される。魔王様は人の国は人に任せると"我々は攻めて来なければ何もしない"と言った。
隣国は発展途上国で、任せれば平民達の暮らしは今よりも遥かに良くなるだろう。
(魔王様の話だと……隣国には素敵な王子と聖女様がいると、言っていたかれ安心だわ)
ブランの国はヤンとリコ、ロンが中心となり、立て直すと言っていた。元の国王と息子達、騎士団はロンの魔法で力を制限されてヤン達の下で働くらしい。
そして、一ヶ月後。
私とブラン、スラ入りマジックバッグ、ブランに作って貰ったマジックバッグを持ち、ブランの家を後にする。
「違う国を見たり、美味しいものを食べてみたい」
と言った私の言葉に、ブランとスラが賛成してくれたのだ。
「ブランのお父様、お母様、ロンさん、みなさま、いってきます!」
「ロン、母さん父さん、みんな、いってくる」
「ニュ、ニュ!」
「ブラン、ブラン嫁、スラ、気を付けて行っておいで」
「ブラン、ヒーラギちゃんをしっかり守るのよ」
「聖女様、ブラン、スラ、気を付けて」
みんなに見送られて私達は旅立つ。
「行こう、ブラン、スラ!」
「ああ、行こう! 疲れたら言えよ、俺の背に乗せてやる」
「うん」
「ニュ、ニュ!」
「え、スラも抱えてくれるの」
「スラ、ヒーラギだダメだ」
「ニュ!」
「二人とも喧嘩しない、ほら行くよ!」
この旅はいつまでとか日にちも決まっていない。
自由でアテのない旅、お金がなくなったら冒険者になってギルドで稼ぐんだ。
◆最後までお読みいただき、ありがとうございました。
でも、この力は大切に使わないと。
「安心しろ、ヒーラギの"癒しの力"は変な奴には使わせない」
「ありがとう、頼りにしてるよブラン」
「やっぱり、ブランとヒーラギちゃんはいい夫婦になるわ。これからも、ウチの子をよろしくね!」
「母さん!」
「ジジ!」
「だって、二人とも私達みたいに仲良いじゃない。お母さん、早く孫を抱きたいの。もう、いいじゃない。夢ぐらい見させてよ!」
「わかった。俺が頑張るから、いまは黙ってくれ!」
真っ赤な顔のブランに止められる、お母様だった。
可愛いお母様だ。
+
話は終わったのかと、ロンとスラが玄関から顔を出した。どうやら癒しの力で怪我が治った、村の人達がこのまで感謝を言いに集まったらしい。
「そんな、感謝だなんて」
照れる。
「ヒーラギちゃん、みんなの感謝の気持ちを、受け取ってあげて欲しい。僕からもありがとうを言いたい」
「ニュ、ニュ!」
「スラ、わかったよ」
ロンとスラに急かされて外に出ると、村の人達は手に食べ物を持って集まっていた。なかには泣いてる人も見えた。
最初に目を真っ赤にした、小さな羊の男の子が駆け寄ってきた。
「せ、聖女のお姉ちゃん、お父さん、お母さんと妹の怪我を治してくれてありがとう」
それを皮切りに、次々と感謝の言葉を聞いた。
「聖女様、動けるようにしていただき感謝します」
「ありがとう聖女様。僕、自分の足で歩けるよ」
「聖女のおねちゃん、本当にありがとう!」
「聖女様、お父さんの傷を治してくれてありがとう」
村のみんなの感謝の言葉が心に響く。
「よかった、みんなに癒しの力が届いて本当によかった」
私の瞳から、ポロポロと涙が流れ落ちた。
ーーこの癒しの力に感謝します。
「よかったな、みんな……んー、それにしても結構な食べ物が集まったな、これを使ってみんなで鍋にするか?」
「鍋? どんな料理か分からないけど食べたい。お腹もちょうど空いてきたし、村のみんなで鍋を食べましょう!」
「「おー!」」
マジックバッグの中から鶏肉と豚肉、お野菜と、村のみんなからのお礼に貰った野菜、魔物肉を使って鍋パーティーが始まる。
「材料は集まった、後は具材を煮込む鍋が必要だな……ちょうど、家の中にどデカい鍋があったよな。ロン、父さん手伝って」
「いいよ」
「わかった」
と、ブランとお父様、ロンは家から大きな鍋を持ってきたのだけど……
「それ、ポーションを作るときに使う、大鍋じゃない?」
「そうだけど、洗ったし、別にいいだろ」
「いいっか!」
ブランの両親も参加して、残っていたお米を全部炊き、ブランの庭にカマドを作り鍋を作り始めた。
お肉と野菜たっぷり鍋の味付けはピリ辛味噌鍋で、いつの間にかたくさんのお酒も用意されていた。
「ご飯が炊けたぞ!」
「食べやすいようにおにぎりにするわ」
炊けたご飯はおむすびにしてみんなに配り、できたピリ辛鍋も配って宴が始まった。
「ヒーラギ、食べているか?」
「ええ、たくさん食べているわ。この黄色いと、赤い果物が美味しい」
「それは……この村で栽培されているバナナンとリンゴンだな。ロン師匠が言うには元々、エルフの国で作られていたんだって」
「へぇ、甘くて美味しい」
他にも私の周りに見たことがない果物、食べ物がたくさん用意されている。
みんなでカマドを囲い鍋を突っつき、ある者は体が自由に動くと、足が動く、手が自由に動くと。
みんなで喜び手を取り合い踊り、笑い泣きした。
そして最後にみんなは、
「「ブラン嫁のお陰だ!」」
と私を呼び、この喜びの宴は朝方まで続いたのだった。
+
数日後。
魔王城にブラン、スラ、ロンと共に魔王様と王妃様に食事に誘われたり。二人とも絶世の美男美女で見惚れてしまった。
なんと、魔王城にいたアリカちゃんにも会った。
話してみると彼女はとても可愛い人で、向こうの世界の不思議な話をたくさん私にしてくれた……帰るまでの一年間は魔王様でのんびり暮らすらしい。
でもね、アリカちゃんは魔王の側近の人に恋をしたらしい。帰りるに日に告白するんだと彼女は言っていた。
魔王様に制圧された人の国は隣国に吸収される。魔王様は人の国は人に任せると"我々は攻めて来なければ何もしない"と言った。
隣国は発展途上国で、任せれば平民達の暮らしは今よりも遥かに良くなるだろう。
(魔王様の話だと……隣国には素敵な王子と聖女様がいると、言っていたかれ安心だわ)
ブランの国はヤンとリコ、ロンが中心となり、立て直すと言っていた。元の国王と息子達、騎士団はロンの魔法で力を制限されてヤン達の下で働くらしい。
そして、一ヶ月後。
私とブラン、スラ入りマジックバッグ、ブランに作って貰ったマジックバッグを持ち、ブランの家を後にする。
「違う国を見たり、美味しいものを食べてみたい」
と言った私の言葉に、ブランとスラが賛成してくれたのだ。
「ブランのお父様、お母様、ロンさん、みなさま、いってきます!」
「ロン、母さん父さん、みんな、いってくる」
「ニュ、ニュ!」
「ブラン、ブラン嫁、スラ、気を付けて行っておいで」
「ブラン、ヒーラギちゃんをしっかり守るのよ」
「聖女様、ブラン、スラ、気を付けて」
みんなに見送られて私達は旅立つ。
「行こう、ブラン、スラ!」
「ああ、行こう! 疲れたら言えよ、俺の背に乗せてやる」
「うん」
「ニュ、ニュ!」
「え、スラも抱えてくれるの」
「スラ、ヒーラギだダメだ」
「ニュ!」
「二人とも喧嘩しない、ほら行くよ!」
この旅はいつまでとか日にちも決まっていない。
自由でアテのない旅、お金がなくなったら冒険者になってギルドで稼ぐんだ。
◆最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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