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幸せの帰り道 5 (前編)

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 翌日、レオが今から行くと言った国はーーエルフの国とドワーフの国だった。エルフ? ドワーフ? と聞き返したら、ティーは知らないかとレオは笑った。

「よかった、ティーのびっくりした顔が見たかったから」

 エルフは森で精霊と共に暮らす森人と呼ばれていて。
 ドワーフは岩穴に居住があって、武器、鎧、盾、日用品、包丁などを制作をする、優れた鍛治職人が多いらしい。

 この双方の国には簡単には入国出来ない。入国するには『亜人種族パスポート』という物がいるらしく。
 モコとルフから借りてきたとレオは言った。

 モコはエルフが栽培する人の国には無い、珍しい薬草を求めてエルフの国へ。ルフはドワーフが作る魔法の剣を求めてドワーフの国へ、年に二回ほど訪ねていて。

 二人が双方の国に注文した物を受け取りに行くついでに、滅多に入れない双方の国を楽しんでおいでと、モコとルフはレオに言ってくれたらしい。

「ティー、このペンダントを見える様に胸にかけてね。後、このモコが作った飲み薬も飲んで」

 レオに言われるままペンダントを首に掛けて、飲み薬を飲んだ。飲み薬は甘いシロップの様な味で、飲んだすぐに体に異変が現れる、体が熱くて鼓動はドクンドクン鼓動して、呼吸がハアハアと速くなる。

「レ、レオ、なにこれ?」

「今日一日だけティーは俺と同じ種族になるんだ、すぐに終わるから……我慢して」

「……う、うん」

 今日一日だけレオと同じ種族? ということは。
 私は獣人になるというの? 熱が通り過ぎて鼓動と呼吸は元に戻る。

「ティー、落ち着いた?」

 隣で心配そうに見つめる、レオに"大丈夫"だと頷く。
 そのレオの瞳が大きく開き。

「おお、モコの薬はすごいな。ティー、こっち、洗面所の鏡を見てみて」

「はい?」

 レオに洗面所まで連れて行かれ鏡を覗く、そこにはレオと同じ、ライオンの耳と尻尾を持つ私がいた。

「私、レオと同じになった……耳がピコピコ動いて、尻尾がユラユラして可愛い」

「うん、可愛い……ティーはどっちでも可愛いね」

 私の頬にスリスリした。







 エルフの国とドワーフの国――双方の国には貨幣がなく、主に物々交換が当たり前。

「モコとルフに交換する物を貰ってきたから」と言って。モコからは手作りのアクセサリーを数種類。
 ルフからは冒険のときに集めた、鉄鉱石などの鉱石をリュックサックに入れて背負った。

 大国ビーラン国から北の森に歩いて向かい。
 森の中を真っ直ぐに進んでいくと、パスポートのペンダントが反応して双方の国に着くらしい。

「俺も初めて行くからよく分からないけど、もし森に魔物がいたら、今日はティーを守って戦うね」

「はい。……レオ、よろしくお願いします」
「あぁ、任せてね」

 レオはいつもとは違い、動きやすい格好と腰に剣を装備している。

 魔物、エルフ、ドワーフと初めて聞くことばかりで、私は緊張していた。「ティー、行くぞ!」とレオが私の手を握り森の中を進む。
 一歩、一歩、進みほんの一瞬、体を通る何かを感じた。

 それはレオも感じたみたいで、森の中でキョロキョロ見渡し、琥珀色の瞳をまん丸にして私を見た。

「ティー、いま外と次元が変わった? 森の中に入った途端に、まとわりつく空気が変わったよね」

 私も頷く。

「うん、変わったかも? なんだか、空気が澄んで冷たくなった気がする」

「じゃ進むぞ、ティー」
「行きましょう、レオ!」

 二人して初めてのことで、ウキウキ、ドキドキしていた。





 そして着いたエルフの国とドワーフの国。
 エルフ国の中央には大木が生い茂り、木々の中に彼らの住処はあった。
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