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おまけの話 酔っ払いのレオさん

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 明日は仕事が休みだからと、レオさんが珍しく酔っ払って帰って来た。玄関に入るとすぐにライオンの姿に戻った。

「帰ったよ、ティ」

 こんなに酔っ払って、家に着くまでにライオンの姿に戻らなかったことに、少し驚いた。

「ティ、ティおいで、どこにいるの? ティ」

 玄関で大声で何度も私を呼ぶ、上機嫌なレオさん。

「はい、いま行きます。レオさんお水飲んで、今日はもう寝ましょう」
「うん、そうする。その前にティ」

 私をぎゅっと抱きしめると、頬をつけてすりすり、すりすりした。
 レオさんは何度もすりすりして、満足したのか、笑って。

「ティ、からもやって」
「えっ、私からも?」

「うん、ほら早くやって」

 やってと顔を近づけてきた。恥ずかしいけど、レオさんの頬にスリスリした。

「ふふっ、ティ」

 レオさんの次の行動に、声にならない声がでた。

(レ、レオさん⁉︎)

 ベロンとレオさんは私の頬を舐めたのだ。初めてのことで一気に頬に熱が篭る。

 レオさんは頬では飽き足らず、首筋もベロンと舐めた。

「んっ、レ、レオさん」
「ティ、照れてる? 可愛い、もう一回」

 ベロン、ベロンと楽しそうに頬と、首筋を舐める。
 もしかして、レオさんに毛繕いをされたらこんな感じなの?

「やっ、レオさん……んっ、やだ、辞めて」
「嫌だ、辞めない」

 駄々っ子になってしまったレオさん。いいだけベロン、ベロンと舐められた。

「次は、ティ、ここに座って」

「へっ? こうですか?」
「違う、正座して」

 レオさんの言う通り正座をすると、私の膝の上にゴロンと音と共に、大きな体が仰向けに寝そべった。
 
「……レオさん⁉︎」
「ふふっ、ティ撫でて」

 いつものレオさんでは言わない事を言う、酔っ払いのレオさん。
 
 可愛い。

「では、撫でますよ。レオさん」
「どうぞ」

 少し仕事の終わりに、たまに飲んで来ることはあったけど。
 こんなに酔っ払いのレオさんは初めて、もふもふなレオさんのたてがみを撫でると、彼は顎もと顔を上げた。

 レオさんは気持ちいいのかゴロゴロと喉を鳴らした。
 たくさん撫でられて満足したのか。

「ティ、寝よう」
「レオさん⁉︎」

 膝枕から起き上がり、ひょいと私を脇に抱えて、寝室に連れて行く。
 キッチンにはレオさんが帰って来て、小腹が空いたというかもと、パンケーキを焼いておいた。

「レオさん、お腹空きませんか? パンケーキを焼いたの食べませんか?」
「明日でいい、寝る」

 部屋まで私を連れて行き、着替えもせずにベッドの中、私を抱きしめて寝てしまったレオさん。

 キッチンの片付けをするために抜け出そうとしても。しっかりと抱きとめられていて抜け出せない。
 仕方がない私も寝てしまおうと、レオさんのたてがみをひと撫でて。

「おやすみなさい、レオさん」

 レオさんの寝息を聞きながら、私も彼の腕の中で眠った。



 ♢

 
 次の日の朝

「んんっ、あれっ……ティ? 僕は昨日どうした?」

 お酒も抜けたのか、目が覚めたレオさんは慌て出す。昨日の格好のままだし、隣にはエプロン姿の私が寝ているのだもの。

「んっ……おはようございます、レオさん」

「おはよう、ティ。僕は昨日何かした? 祝いだと言われて、たくさん飲まされたから……」

 かなりお酒に酔っていたため、覚えていないのか慌てるレオさん。

「昨日はかなり酔って帰られて、私の頬をスリスリして、頬と首筋をベロンと舐めて、膝枕を要求されました」
「スリスリはいいとして、僕はティの頬と首を舐めたのか……膝枕まで」

「撫でてと言って、とても可愛いレオさんでした」

 うわぁぁっと叫び、顔を赤くして頭をかいた。

「ティ、その……ごめん」

「謝らなくていいですよ。余り飲みすぎないでと言いたいです。他の子に昨日と同じ事をして欲しくないもの」

 レオさんはブンブンと、音がなるくらいに首を振る。

「そんな事はしない。嫌、初めてだ。あんなに飲んだのも、ティにした事もこれまではなかったのに……ごめん」

 昨日したことは、レオさんの初めての事なの?
 他の子にはしたことがないんだ。
 何だか嬉しいな、顔の緩みが止まらなかった。

「ティ、その、ふにゃって笑った顔、僕以外、誰にも見せちゃだめだよ」

 ふにゃ? 

「これは……レオさんの前でしか出ません」
「そうなの? ふふっ、僕もしない。余り飲まないように、これからは家で飲むよ」

「そうしてくださいと言いたいけど。仲間の方とお付き合いで飲むのはいいと思います。皆さんはレオさんの事を好きですから」

 皆さんいつもレオさん、レオさんって頼りにしてるもの。

「そうかな。みんなを呼んで家で飲めればいいんだけど、酒が入るとティにちょっかいを出すからな。特にルフとニカはティに絡むから」

 それは、この前のことを言っているのかな? 皆さんを呼んで家での食事会を開いた時。
 お酒も入ってきて、ルフさんとニカさんに呼ばれて、二人の真ん中に座り、二人にお酌して、二人が私の頬と髪に触れた所で、レオさんが大声をあげてお開きになった。

 帰り間際にレオさんをよろしくと言われ「はい、任せてください」と、答えだんだ。

「ふわぁっ、レオさん、もう少し寝ませんか?」

 私のあくびがレオさんに移る。
 今日はレオさんは休みだし、まだ、レオさんの腕の中に居たかった。

「そうだな。ティ、おいで」
「はい、レオさん」

 もう少し、二人でお寝坊をした。
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