城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

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「本日から復帰させていただく次第となりました。今後もよろしくお願いします」

しばらくベッドの上から下りられなかった私ですが、本日無事に便利屋に復帰です。
深々とお辞儀をし挨拶をしましたが、皆さんの顔色があまり宜しくありません。

「えっと……マリーって、殿下の婚約者になったんじゃ?」

「ええなぁ。玉の輿やん」

「次期王妃がこんな所に来ちゃダメでしょ!?」

ルイスさん、クルトさん、シモーネさんが私に物申してきました。
ゴリさんなど私の顔を見るなり「うお!?マリーか!?」と化け物扱いです。

殿下との婚約話はあっという間に世間に知れ渡り、ニルスさんは殿下の暗殺を企て、ユリウス様は駆け落ちを持ちかけ、料理長のエリック様は殿下の料理にわざと塩と砂糖を間違えて出したり、殿下の嫌いなものしか出さなかったり、第二騎士団副団長のニコラ様は殿下の仕事を全て断るなど、何故か殿下への嫌がらせが増えました。

当の殿下はあまり気にもせず「甘んじて受けよう」と受け身の姿勢です。

そんな中、第二王子のライナー様だけは陛下へ直談判したようです。私と殿下は不釣り合いだと。
正直、ライナー様の意見がごもっともだと思っております。
しかし、陛下は頑なに婚約を破棄しなかったと。

──ライナー様にとっては義理の姉になるのが私では腑に落ちないのでしょう。嫌われたものですね……

しかし、世間に公表してしまったからには腹を括るしかありませんが、どうしても私には譲れないものがあるのです。
それは、便利屋に在籍し続けること。

借金は殿下が肩代わりしてくれましたが、要は殿下に借金しただけです。
ですから、その借金を返す為には便利屋の仕事を辞める訳にはいかないのです。

その事をゴリさん達に話すと

「いやいやいやいやいやいやいや!!!それ、もう返さなくて良くない!?」

「そうよ!!王妃が副業なんて聞いた事ないわよ!?」

「あはははは!!!ええやん!!武闘家王妃!!」

クルトさん以外は否定的でした。
こうなると、全ての判断はゴリさんへ委ねられます。
ゴリさんは腕を組み、目を閉じ真剣に考えて……

「──……あれ?ボス寝てるとちゃう?」

クルトさんの言葉にヤンさんが後ろから素敵などつきをかましてくれました。

「何すんだヤン!!!いい気分で寝て──」

そこまで口を開いたところで、ゴリさんは「しまった!!」と言う顔をしたのを皆さん見過ごしません。
当然ゴリさんは袋叩きの刑です。

「すまんすまん!!昨日飲みすぎて寝不足なんだ!!勘弁してくれ!!」

「また朝まで飲んできたの!?いい加減にしないとキャリーに言いつけるわよ!?」

そうレナさんが一喝すると、ゴリさんは平謝りです。
この姿を見たら、この人が元隠密部隊隊長で、便利屋ここのボスだと言うのを疑う人多数でしょう。

「あ゛~。──……なんだっけ?マリーの事か?」

ようやく落ち着きを取り戻し本題へ。

「──いいんじゃないか?」

「「はあ!?」」

まさかの答えに私含め、皆さん声をあげました。

「マリーは、俺らの仲間だろ?王妃になろうが関係ない。仲間が一緒にいたいと言うならそれを聞き入れるのが当然だろ?」

いつもの様に私の頭をガシガシ撫でなら仰いました。
私はいつのように接してくれるゴリさんが嬉しく、思わずゴリさんに抱きつきました。

「おおお!!?なんだなんだ!?珍しい事もあるもんだなぁ!!」

豪快に笑いながらからかって来ますが、抱きついた私を引きなす事はしません。

そんな私とゴリさんの様子を見た皆さんからも「そうだね」と返ってきました。

「まあ、マリーは城に大人しくしてる様なやつじゃないし、王子様も行き先が分かってる方が安心じゃない?」

「そうね。マリーには城で働いてる男を紹介してもらなきゃいけないし」

「…………」

『マリーがいないとつまらんしな』とヤンさんまで……

そして、私が皆さんの方を向くと一斉に

「「おかえり!!マリー!!」」

と笑顔で迎え入れてくれました。

その瞬間、涙がとめどなく溢れてしまい慌てた皆さんが必死に私のご機嫌を取ろうとする姿がとても面白かったです。
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