城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

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「なるほどね。ファニーが黒幕なのね」

城へ着くなり、真っ直ぐ殿下の執務室を訪れました。そこにはオスカー様もおり、丁度良いので一緒に話を聞いてもらう事に。
ですが……

「……一歩遅かったな」

「はぁぁ~」と溜息混じりにオスカー様が仰いましたが、何を言っているのか分かりません。

「ファニーは二日前に侍女ここを辞めているのよ」

「はっ?」

オスカー様から聞いたところによれば、ファニーさんは二日前突然侍女を辞めたいと言い出し、その日のうちに城を出てしまった様です。
テレザ様が引き止めたようですが「やらねばいけない事がある」と頑なに譲らなかったそうです。
やらねばいけない事と言うのは東の教会襲撃の事でしょうか?

──これはまずいことになってきましたね……

そう言えば、ここ数日ファニーさんから追撃がなかった事に今気づきました。
私とした事が、とんでもないミスです。
仮にも対象者を見逃していたんですから……
友達と言われて少々安心していた部分もあったのでしょう。

──はぁ~。友達と言うのは厄介なものですね……

いえ、これは友達と言われ簡単に絆された私の失態。
騙せれまいと気を張っていたつもりが、無意識の内に気が緩んでいたのでしょう。
己の失態の責任は己が取るのが父様の教え。
そうなれば……

私はキッと殿下とオスカー様に向き合い

「今回の失態は私のミスです。ファニーさんは私が責任を持って見つけ出します」

そう伝え、執務室を後にしようとした所で「ちょっと待ちなさい」と殿下に止められました。

「良かったわ。無駄にならなかったみたいで」

そう言いながら指をパチンと鳴らしました。
すると、黒ずくめの方が殿下の前に現れ跪いています。
この格好は隠密部隊の方で間違いありません。

「マリー、紹介するわ。隠密部隊隊長のキャリーよ」

「初めまして。貴方がマリーちゃんね」

膝を着いていた黒ずくめの方がスっと立ち上がりながらフードを取ると、サラサラの金色の長い髪を頭の上で纏め目元のパッチリとした美しい女性がお目見えしました。
一瞬見とれてしまいましたが、直ぐに気を取り戻しキャリー様が差し出していた手を握り返しました。

──まさか、エルさんの上司が女性だとは思っても見ませんでした。

「実はね、キャリーに頼んでアンデッドが作られている現場を探してもらっていたのよ」

なんと手際の良い事でしょう。
いつもこれぐらい仕事をこなしてくれれば、オスカー様の悩みの種が一つ減りますのに……
そんな事を思いながらジト目で殿下を見ていると「何となく言いたいことは分かるわ」と仰いながら私の目を逸らしました。

「簡潔に伝えると、現場は南の沢のほとりにある洞窟ですね」

キャリー様が腕を組みながら殿下に伝えました。
どうやら、場所を暴けぬよう道中何かしら細工が施されたいた様で特定するのに時間が掛かってしまったと笑いながら仰っておりました。
前に殿下がエルさんは他の任務に付いている様なことを仰っておりましたが、この事ですね。

──……という事は、ファニーさんは今現在その洞窟にいる可能性が高いです。

ファニーさんの居場所が分かれば執務室こんな所に長居は無用。

「あぁ~と、マリー。そんな急いでどこ行く気なの?」

「その洞窟ですが?」

再び殿下に止められました。
中々この部屋から出してもらえません。私は急いでおるのですが。

「……貴方はダメよ。とても行かせられない」

殿下は私に鋭い目を向けて仰いました。

「ここから先は、こちらの仕事なの。貴方の仕事はお終いよ。大人しく、通常の仕事に戻ってちょうだい」

珍しく殿下から厳しい言葉が掛かりました。
しかし、大人しく殿下の言うことを聞くような人間でないことは皆さんご存知でしょう。

「マリー、今回の件は少し厄介だ。お前の身に危険が及ぶかもしれん。今回は大人しく手を引いて、俺らに任してくれないか?」

オスカー様にも言われてしまいました。
ですが、私からしたらアンデッドぐらいでこの言われように腹が立ちました。ついこの間までグロッサ国で戦闘をしてきたのですのよ!?と言いたいところをグッと堪えました。

「貴方の実力は買っているけど、今回ばかりはダメよ。これは王子命令。背いた場合には仕事を辞めてもらう。いいわね?」

私が返事をしないものですから、痺れを切らした殿下が爆弾を投下して来ました。
こういう時だけ権力をかざしてくるんですから、たまったものじゃありません。
「仕事をクビにする」と言えば大人しく従うと思ったのでしょう。
むしろ逆ですね。

──散々良いように使っておいて、いざとなったらお前は邪魔と言う事ですか?

良いでしょう。そちらがその気ならこちらもクビ上等です。
私は私の意思で動きます。

「──分かりました。失礼します」

イラつきながら最後になるであろう挨拶をし部屋を出る際キャリー様が私の肩に手をやり、顔を近付けたかと思っていたら耳元で

「──ルッツに宜しくな」

そう囁かれ驚きキャリー様の顔を見ると、不敵な笑みを浮かべながら口元に人差し指を添えておりました。
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