城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

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次の日は侍女の仕事は休みでしたので、ゆっくり起床しルーナと一緒に森へ出掛けようと計画しています。
動きやすい格好に着替え城を出ようとした所で挙動不審なジャックさんを発見致しました。

──おやおや、これはいけませんね。

「ルーナ、すみません。ちょっと付き合ってくれますか?」

そうルーナに尋ねると「キュッ!!」とよい返事が返ってきました。

早速ジャックさんの後をルーナと共に追います。
ジャックさんも本日お休みのようで調理服ではなく町着。
相変わらずキョロキョロと周囲を警戒しながら城の外へと出て行きました。
気づかれぬ様距離を取っていますが、空からルーナが見張ってくれているので安心です。

しばらく付けて行くと、ある事に気づきました。

──この道は、東の教会に向かっていますか?

ジャックさんの足取りは迷わず東の教会に向かって行きます。

──どうゆう事ですかね……もしかして、黒幕は東の神父ですか?

色んな思考が巡りますが、答えは分かりません。
そんな事を考えている内に、ジャックさんは東の教会へと入って行きました。
私は何処か中に入れそうな所を探しますが見つかりません。

──こうなれば、正面突破ですかね。

正面の扉に手をかけた時……

「キュルルルル!!!」

ルーナの鳴き声が聞こえたのと同時に手を離し、素早く身を隠しました。
私が身を隠したほんの数秒後に扉が開き、中からジャックさんと東の神父が出てきました。
間一髪の所でルーナに助けてもらい、ホッとしていると二人の話し声が聞こえてきます。

「──では、引き続きお願いしますよ」

「はい。任せてください」

聞こえた内容はこれだけ。
しかし、これだけでもジャックさんが何らかの手引きをしている事が分かりました。

──まあ、これだけでも収得ですね。

私は頭上を飛んでいるルーナを呼び寄せ、当初の目的だった森へと向かう事にしました。
ルーナは喜び、久しぶりに汗だくになるまで森で遊び倒しました。


◇◇◇


森から戻るとまず汗を流し、さっぱりしたところでジャックさんの事を報告する為、殿下の執務室を訪れました。

コンコン

「失礼します。殿下お話があるのですが」

「あら?珍しいわね。何?愛の告白かしら?」

殿下は机に肘を付きニコニコしながら私を招き入れてくれましたが、一言多いのがこの方の特徴です。

室内を見渡しますが、殿下しかおりません。どうやらオスカー様は席を外しているらしく不在。
仕方ないので、殿下にジャックさんの動向を報告しました。

「そう。ジャックは東の神父の者ね……」

「目的は分かりませんでしたが、定期的に教会へ足を運んでいる様でした」

私の報告を聞いた殿下は何やら考え込んだかと思うと、大きく溜息を吐きました。

「……実はね、アンデッドに襲われている貴族は全員東の教会を支持しているか、寄付をしている者達なの」

殿下が仰った言葉に耳を疑いました。

──襲われていたのは、東の教会を支持している方々!?

そうなると、東の教会自分を支持している方々を襲っていると言うことになります。

──何の為に!?

「おかしいと思わない?正直、東の教会は潤っているわ。金品強奪なんてしなくてもね」

殿下の仰ることは最もです。
殿下は西の神父を疑っているのでしょう。
ですが……

「そうなると、ジャックさんとの繋がりはなんでしょうか?」

あの感じは結構親しい感じでした。

「そこが、分からないのよ。……ジャックはろくに料理ができないくせに料理人見習いになりたいと言って入って来た子でね。その熱意に負けたエリックが私にゴリ押ししてきてね。仕方なく雇ったのよ」

料理が出来ないのは分かっておりました。
ジャガイモの皮剥きもろくに出来ない料理人見習いなんて見たことありませんでしたから。

ジャックさんは城に忍び込む為、料理人になりたいと仰っていたのでしょうか?
上手いこと騙されてくれたエリック様のお陰ですね。

「どちらにせよジャックは引き続き要注意人物として監視してちょうだい」

そうですね。
結論を出すにはまだ早いですし、謎が余計深まりました。
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